ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.5 -最後の事件-|久保田秀敏インタビュー

©竹内良輔・三好 輝/集英社 ©ミュージカル『憂国のモリアーティ』プロジェクト

歌が届けてくれる言葉の力に改めて気づかされた

“モリミュ”の略称でファンに愛されているミュージカル『憂国のモリアーティ』の第5弾、ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.5 -最後の事件-が上演される。原作はコミックス発行部数累計660万部突破の人気漫画『憂国のモリアーティ』で、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」を原案に、ホームズ最大の宿敵モリアーティ教授視点で再構築された物語。上流階級の人間に支配され差別が蔓延する19世紀末の「大英帝国」を舞台に、階級制度による悪を取り除き理想の国を作ろうとするウィリアム・ジェームズ・モリアーティと、シャーロック・ホームズの戦いが、今作でどう展開するのか期待が高まる。

この注目作でOp.1からモリアーティ家3兄弟の長兄、アルバート・ジェームズ・モリアーティを演じる久保田秀敏は、「2019年の1作目からメインキャストがほぼ変わらずやってきたので、4作目まで重ねるごとに役者各々が得意としている演技プランとか、空気の出し方、間の取り方、緩急のつけ方が、話し合いをしなくても自然に感じ取れるようになっている」と話す。

Op.4では、「モリアーティチームのキャストで何回か集まって話し合うこともあって、5人(久保田、鈴木勝吾、山本一慶、井澤勇貴、長江峻行)の絆が深まった作品になった」とも明かした。

役作りにストイックな久保田が、アルバートの役作りで心がけているのは、腹式呼吸を意識して深いところで呼吸することだという。

「アルバートが持っている、貴族としての居方や、物語のことの発端として存在している人間という深みを出す上で、呼吸に重点を置いています。呼吸が浅くなると台詞が軽くなりますし、キャラクターがブレないようにどっしりと構えることを意識しています。物語が進むにつれて、ウィリアムに対しての罪悪感が強くなって、だんだんと演じていて苦しくなってきています。次のOp.5では、アルバートの中の罪悪感が最高潮に達するところではあるので、今まで以上に心構えを持って臨まなければと思っています。今までのアルバートでは出せなかった感情を、“静”ではなく“動”で出していきたいです」

ピアノとヴァイオリンの生演奏、迫力のある楽曲と歌唱で観客の心を揺さぶる音楽も“モリミュ”の魅力の一つだ。

「生演奏で歌えるというのは、役者としてすごく幸せなこと。でも、感情の少しの変化も繊細に届けていかないといけない題材なので、とても気を使います。歌が届けてくれる言葉の力がこんなにもあるのかというのは、“モリミュ”で改めて気づかされました」

Op.5の注目ポイントを久保田は「“生きる”ことが、テーマのひとつの柱として置いてあるので、死にゆく者たちと生かされる者たちの、その意思の重さをピックアップして創っていきたいと思います」と語る。

久保田は今作に熱い思いを持って臨む。

「ミュージカル『憂国のモリアーティ』が始まって4年が経ちますけれど、自分たちが世の中を変えていこうという、そのワクワクした感じが、毎回この作品に入るとすごく出てくるんです。自然に自分の中にはなかったスイッチを入れられて、覇気が出てきます。Op.5では、今まで以上に“モリミュ”という作品の持っている凄まじい力を、歌の力と共に届けたいと思います。ぜひ生で、僕らの力、歌の魅力の偉大さ壮大さを味わっていただきたいので、劇場でお待ちしております!」

インタビュー・文/井ノ口裕子

※構成/月刊ローチケ編集部 5月15日号より転載

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【プロフィール】

久保田秀敏
■クボタ ヒデトシ 
ミュージカル『薄桜鬼』シリーズなど、数多くの2. 5次元作品に出演。