バスケ×ダンスを融合!アグレッシブ ダンス ステージ『DEAR BOYS』が遂に開幕!

©八神ひろき・講談社/アグレッシブ ダンス ステージ『DEAR BOYS』製作委員会

開幕レポート!

開演前から、会場にはボールをドリブルする音が響いている。まるで、バスケの試合が行われる場所に足を踏み入れたかのようなワクワク感とちょっとした緊張感。バスケ×ダンスが融合したステージ、とは?一体どんな試合が繰り広げられるのか……。

そんな観客の想いと想像を超えた、アグレッシブ ダンス ステージ『DEAR BOYS』が、6月1日(木)、東京・Mixalive TOKYO Theater Mixaにて遂に開幕。

原作は、シリーズ累計発行部数が4500万部を突破した、八神ひろきによる人気バスケットボール漫画『DEAR BOYS』。2020年、コロナ禍の影響を受けて開幕直前に全公演が中止となってしまったが、演出・伊藤今人(梅棒/ゲキバカ)と脚本・畑 雅文が再びタッグを組み、主演に新 正俊を迎え、3年越しの悲願を遂げた。

インターハイも夢ではないと注目されていた瑞穂高校男子バスケットボール部。藤原拓弥(森田桐矢)が起こしたある事件がきっかけで、残った部員は藤原を含め4人という廃部寸前の状態。そこに、バスケの名門校から突如転校してきた哀川和彦(新 正俊)。明るく純粋にバスケを楽しむ哀川の姿が、バスケから離れてしまっていた4人の部員たちの心を徐々に突き動かしていく。

顧問の氷室(高木勝也)のサポートもあり、活動を再開した瑞穂バスケ部。そんな彼らに氷室が与えた試練は、因縁ある成田中央高校との練習試合。その高校のバスケ部には、藤原が起こした事件に大きく関わる元顧問の下條(高木トモユキ)がいる。それぞれの思惑が交差するなか、負けられない試合が幕を開ける──。

瑞穂バスケ部のエースであり、天真爛漫な哀川を演じるのは、新 正俊。動きや表情はもちろん、客席に真っ直ぐに届く声色。登場した第一声から、明るく純粋な哀川のキャラクターが容易に想像できた。

そんな笑顔を絶やさない哀川だが、普段は出さない、笑顔の裏に隠した本心を見せる瞬間もあり、本番前のインタビューで「人前で明るく振る舞うことは得意」と話していた新と、どこかリンクする。陰と陽を併せ持ち、どこか儚さも感じられる哀川を、新はとても魅力的に演じている。

そんな哀川を中心に、バスケを通して絆を深めていくメンバーたち。キャプテンの藤原をはじめ、お調子者の石井 努(坂田大夢)、器の大きい土橋健二(鹿子島光人)、チームの頭脳とも言える三浦蘭丸(三井淳平)。そして、バスケの実力を持つ個性豊かな5人を影ながらまとめる、顧問の氷室。性格の違いはあれ、バスケを好きな気持ち、そして、お互いを思いやる気持ちにあふれた瑞穂バスケ部の面々。

一方、下條が率いる成田中央高校は、キャプテン森山敦司(灰塚宗史)を中心に、岸本 忍(瀬名陽斗)、児嶋章男(飯田寅義)、武内純一役(楚南 慧)、玉置直也(小林優太)と、高さと戦術に長けた選手が揃う。

ブランクがあるとはいえ、元々インハイを期待されていた瑞穂高校。実力ある2校の試合がダイナミックかつ、エキサイティングに展開されていく様子は、まるで実際のバスケの試合をダイジェストで観ているような興奮を覚える。

スポーツを題材にした舞台作品としては珍しく、実際のボールを使って、ドリブルをしたりパスをしたりとステージ上をボールが飛び交うのも今作の見どころのひとつ。そこに、“バスケ×ダンスの融合”と謳っているだけあって、オープニングから贅沢に盛り込まれたダンスシーンもまた、試合の熱をさらにヒートアップさせていく。

バスケのルールを知らずとも楽しめるのだが、各ポジションだけでも覚えて行くと、さらにバスケの試合が楽しめる。たとえば、藤原と岸本の「ポイントガード(PG)」は、いわば司令塔。哀川と森山の「スモールフォワード(SF)」はオールラウンドで得点を狙う役割を担う。「シューティングガード(SG)」はPGのサポートや得点を奪うポジションで、「パワーフォワード(PF)」と「センター(C)」はゴール下でリバウンドを取る……など。これが分かると、実際の試合を観ているような気持ちになってくるはずだ。

バスケは、シュートした位置で点数が変わってくるため、残り1分1秒まで油断ができないスポーツ。このバスケならではの面白さも存分に体験できるのも、アグレッシブ ダンス ステージ『DEAR BOYS』の魅力。

開幕に際し、「稽古初日から今日まで全員で部活のように稽古を重ね、最高に青春な作品が完成した」と語っていた新。彼らの息遣いまで聞こえてきそうなほど熱い物語と激しいダンスが融合する、休憩なしの約1時間20分があっという間の新感覚ステージ。

アグレッシブ ダンス ステージ『DEAR BOYS』の公演は、6月18日(日)まで。夏の始まりにぴったりの今作を劇場や配信でぜひ。

レポート/佐藤則子