CONTEMPORARY STAGE「ケイ×ヤク」│立花裕大×長田光平インタビュー

©薫原好江・講談社/CONTEMPORARY STAGE「ケイ×ヤク」

2022年には連続ドラマも放送された人気コミック『ケイ×ヤク-あぶない相棒-』。警視庁公安部の捜査官・国下一狼が、未解決の失踪事件で失踪した先輩刑事の弟であり、ヤクザの英獅郎と手を組み、周囲の目を欺くため“恋人”のフリをしながら事件の謎を追うという本作が立花裕大と長田光平を主演に迎えCONTEMPORARY STAGE「ケイ×ヤク」として舞台化される。気になるのは本作がダンサーたちの存在をのぞき、立花と長田の2人だけで展開していくという点。2人の演技とダンス、そして生演奏も加えたCONTEMPORARY STAGEの舞台上でどんな表現が展開されるのか?

――最初に脚本を読んでの印象を教えてください

立花 タイトルを聞いて警察官とヤクザの話ということで渋い物語になるのかな?と思ったんですけど、読んでみたら笑える部分も多くて、展開の速さ、2人の距離感の近さもあり、想像もしてなかった世界に誘われていく感じがありました。光平は前から知っているし、作品の性質上、話し合いながら作っていくことになりそうですが、素敵なものになるんじゃないかと思いました。

長田 職業柄、絶対に交わらない2人が交わるということで、僕もちょっと重い感じの物語かと思ったら、コメディ要素もあったり、日々のほんわかした描写もあって、ヤクザの日常ってこんな感じなんだ(笑)っていう部分も面白かったです。

――昨年、連続ドラマが放送され、そちらは多くのキャストが出演していたのに対し、今回の舞台はダンサーをのぞいて、お2人だけで進んでいくという特異な構成になっています。正直、原作のファンもドラマを視聴していたという人も「どうやってやるの?」と想像がつかない状態かと思います

立花裕大

立花 最初に聞いた時、僕も「どうすんの…?」って思いました(笑)。でも、2人だけでやるって、これこそ舞台でしかできないことだなと思って、映像はリアリティを追求してつくっていく面白さがありますが、舞台はそこに「ない」ものを想像で補いながら見せていくもので究極の表現方法ではないでしょうか。他の登場人物たちさえも、自分たちの肉体とダンサーさんたちや照明、音楽によって「魅せる」わけで、逆にいうと、舞台上で何だって表現できるんだという事を示す作品になると思います。緻密に作り上げていかないといけないですが、すごく楽しみですね。

長田 素直な気持ちとして、僕自身もまだ全く想像がついていないんですけど、2人だけでやる「ケイ×ヤク」――しかも今回はCONTEMPORARY STAGEということで、どうなるのかという不安もありますけど、楽しみな気持ちのほうが強いです。僕自身、お芝居経験は浅いですし、最初は「自分にできるのかな?」と思ったりもしましたが、できることを精一杯やりつつ、楽しみたいです。

――公安捜査官の一狼を立花さん、ヤクザの獅郎を長田さんが演じますが、自身の役柄についてどんな印象をお持ちですか? 最初に配役を聞いて「俺がそっちか!」みたいな思いはありませんでしたか?

立花 確かに最初にまず企画のお話をいただいて、配役を知らされたのはその後だったので、最初は「どっちだろう? ヤクザか警察かで全然違うぞ…」と思いました(笑)。相手が光平だとは聞いてたんですけど「これ、どっちでもありうるな」と。

長田 思った(笑)。

立花 役としては、バリバリの警察のエリートとヤクザのトップということで、2人ともその社会では立派なポジションにいるのだけど、どこか人間的に欠けているところがあって、あまりにピュアだったり、ちょっとお茶目なところもあったりして、どこか似通っている部分もある2人だなと思いました。

2人の関係性がどんどん変わっていく部分と、展開の速さも魅力なので、そこは守りつつ、CONTEMPORARY STAGEの緻密さ、丁寧さみたいな部分もしっかりとバランスをとりながら演じていきたいなと思います。

―狼はとにかく真っ直ぐでピュアです。ひたすら目指すところに向かっていくがゆえに、ちょっと変なんですよね(笑)。その感じを表現できればいいなと思っています。

長田 僕もどちらの役もありうるとは思っていたんですけど、とはいえヤクザを演じるのは初めてというのもあって、すごい挑戦だなと…。どうしても言葉遣いとかで乱暴な部分があったりするんですけど、僕自身、普段から“言葉”がすごく気になるタイプなんですよね(笑)。

そういう乱暴な言葉遣いも魅力のひとつなんですけど、その中でも獅郎が持っている“品”みたいなもの、彼のバックボーンをしっかりともちつつ演じていけたらと思いました。

物語の中で、獅郎がヤクザの世界に足を踏み入れたきっかけも描かれますけど、そういう部分も自分の中にしっかりと落とし込んで、人間らしい部分――もしヤクザになっていなかったら、どんな人生を歩んでいたんだろう?という部分がチラッと垣間見えたり、お客さんに想像させるような人物になったら面白いのかなと思っています。

警察とヤクザという、相反する立場にいる2人だけど、人間としての魅力が見えてきたら素敵な芝居になるんじゃないかなと思って、いまはいろんなヒントを探している状態です。

長田光平

――お互いの印象についてもお聞かせください。お2人だからこそできるんじゃないかと感じていることなどはありますか?

立花 光平とはうまがあうというか、自然体で接していけるので、それは本当に良かったなと思います。どうしてもこの先、いろんな話し合いが必要になってくる作品だと思うので、そこで気を遣わずにいろいろ話せそうだという部分は安心ですね。

一狼も獅郎も“攻めた”表現が必要になってくる部分が出てくると思うので、そこはすごく楽しみだし、すごくやりがいのある作品になりそうだなと感じてます。

長田 僕は、相手が裕大くんだと聞いて「よかったぁ!」って(笑)。

立花 ホントに(笑)?

長田 「ありがとう!」って(笑)。裕大くんは、僕なんかが言うのはおこがましいけど、お芝居が本当にストレートで素直で、エネルギーがワーッと伝わってくるんですよね。一緒にできるというのはすごく嬉しいです。お互いに知ってはいたけど、共演するのは実は初めてなのですごく楽しみです。勉強させてもらえたらという気持ちです。

――まだ、お2人もどんな舞台になるのかわからないということですが、楽しみにしている部分などはありますか?

立花 僕ら2人とダンサー2人というごくわずかな演者の中で、ものすごく速い展開で進んでいくので、そこは実際、どういうふうに描かれるのかすごく楽しみです。そういう部分で、いままで見たことのない「ケイ×ヤク」を見せたいですね。

長田 舞台は“生モノ”なので、原作の漫画でもドラマでもない舞台ならではの「ケイ×ヤク」、しかも僕らがやることによって生まれる2人の関係値や日常の見せ方はメチャクチャ楽しみですね。裕大くんも言ってましたけど、限られた空間でどれだけ、見えない部分を魅せられるか?2人の距離を生で感じられるのは舞台だからこそだと思うし、じっくりと練って作り上げていけたらと思っています。

――最後にお2人のファンはもちろん、どんな「ケイ×ヤク」ができあがるのかと楽しみにしている人たちに向けてメッセージをお願いします

立花 間違いなく誰も見たことのない「ケイ×ヤク」になると思います。正直、いま僕らが想像しているのとはかけ離れた到達点、やってみて、初めて見えてくる景色があると思います。僕らもまだ見ぬ「ケイ×ヤク」――2人とも面白いものを作りたいと思っているし、いま持っている以上のものを表現できればと思っていますのでぜひ楽しみにしていてください!

長田 まず第一に「ケイ×ヤク」と出会えたことに感謝してますし、裕大くんと2人芝居ができる機会をいただいたことにも感謝しています。できることをしっかりとやりつつ、いまはできないこともできるようになるように、さらに高みを目指して、未知数の「ケイ×ヤク」をみなさまにしっかりと届けたいと思います!

インタビュー・文/黒豆直樹