ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇│久保田秀敏 インタビュー

役者としての生き様を土方歳三にのせて、新たな伝説となる作品を作りたい

新選組の史実をモチーフとした大人気ゲーム『薄桜鬼』を原作とした、ミュージカル『薄桜鬼』シリーズ。12年目の最新作、ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇が4月に関西・東京で上演される。2021年の「真改 相馬主計 篇」から土方歳三を演じている久保田秀敏が、並々ならぬ決意で今作に臨む思いを明かしてくれた。

「まだまだ先かなと思っていたのですが、数カ月後には舞台の上に立っていることを想像して、ワクワクドキドキが強まってきてます」

「薄ミュ」出演をきっかけに、人物像を深掘りしたという土方歳三への思い入れは深い。

「この作品に関わるまでは、時代を作るために奔走して敗れていった熱く悲しい男というイメージでした。でも『薄桜鬼』の中に入ることによって、農民出身の土方の熱い思いや魂、思いがあれば絶対になんとかできると口にして有言実行で突き進んでいく生き様が見えてきて。それが僕の負けず嫌いな性格とか、こう思ったら突き詰めたいという信念とリンクして、『薄桜鬼』と土方歳三にハマってしまいました。もうズブズブです(笑)。一番自分を投影させられる役かもしれないです」

今作で目指すのは、強靭な新選組副長。

「誰が見ても副長と言われるような、圧倒的に敵わないという存在感を出していきたいです。今まで何作かやってきて、すべてのエネルギーを吸われてしまい、僕自身の体力が追い付いていなかったんです。それでこの「真改 土方歳三 篇」が決まってから、ジムに通ったり、3日に一回10キロ走ったりして、5キロくらい体重も増やしました。生きるか死ぬかの時代を過ごしていた人の強靭な肉体を宿すために、肉体改造をやっています」

脚本・演出は、ミュージカル『薄桜鬼』を初演から作り上げてきた毛利亘宏が再び担当する。

「毛利さんと2人でご飯に行かせていただいていろいろお話させていただきました。今までの「土方歳三 篇」とは違う、全く新しい、より土方中心の話を描くつもりだとおっしゃっていて。出ずっぱりになるかもしれませんけど、僕としてはワクワクでしかないです。その食事会に近藤(勇)さん役の井俣太良さんも呼んで話したんですけど、今回は血生臭い泥臭い土方の生き様と死に様を、とにかく観てほしい。もちろん恋愛要素も入ってはいますけど、そこに生きている熱い人間の散りざまを届けたいと思います」

ストイックに役作りに励む久保田の2024年の抱負は――。

「昨年は年男で挑戦の年としたのですが、1年終えたときに全然できてなかったなと思って。6つ取るつもりだった資格も、乗馬のライセンスと大型バイクの免許と日本酒検定5級しか取れなかったので。今年は残りの3つも取りたいですし、辰年ということでさらに登っていける年にしたいです」

登っていきたいという1年。まずは、渾身の土方歳三を楽しみにしたい。

「久保田秀敏の役者としての生き様を土方歳三にのせて、辰のごとく昇華していって、新たな伝説となる作品を作っていきたいと思います。千秋楽の日は、本当にぶっ倒れているかもしれません(笑)」

インタビュー&文/井ノ口裕子
Photo/篠塚ようこ
ヘアメイク/城本麻紀

※構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

【プロフィール】

久保田秀敏
■クボタ ヒデトシ
数多くの2.5次元作品に出演。近作はミュージカル『憂国のモリアーティ』シリーズ、『HIGH CARD theSTAGE-CRACK AHAND』など。