キングオブコントを狙う上で、重要な単独ライブに!
今年1月、自身初となる東京・大阪・広島と3都市での単独ライブを敢行したザ・ギース。その興奮も覚めやらぬ中、夏に東京・大阪での単独ライブを行うことが決定した。わずか半年ほどと短いスパンでの単独公演となる今回。安定した秀逸なコントに定評のある彼らが、静かに“攻め”の時期を迎えている。
――前回公演で初めて、大阪と広島でも単独ライブを行いました。手ごたえはいかがでしたか?
尾関「大阪は我々が思っていたよりもお客さんが入ってくれて。昔、10年以上前に出演していたテレビで見ていてくださった方々が意外と多くて“やっと大阪に来てくれた”と言ってくださったのが、本当に嬉しかったですね」
高佐「アンケートも毎回とっているんですけど、大阪広島は回収率も良くて。初めて行ったからというのもあるとは思いますが“また来てください”という声も多くて、それが手ごたえにもつながっていますね」
尾関「正直なところ、東京の初日よりも盛り上がったかもね(笑)」
高佐「まぁ、東京が最初だったから緊張もあったし。でも、大阪は特にお笑いの本拠地というイメージだったので、どうなるんだろうと思っていたんですけど…意外と、、東京と同じような感覚でできました。それは発見でしたね」
尾関「スタッフもみんな一緒にトラックで移動したりして、機材も我々も含めて一緒に運んでやっていたので、しっかりみんなが仕事をしてきた!って感じですね」
高佐「一致団結してね」
――みんなで一緒に今回の3都市公演を成功させたという感じですね。
高佐「でも、全公演が終わって、僕らは次の仕事もあって先に新幹線で戻ったんですが、舞台監督さんや制作マネージャーさんたちは機材と一緒にトラックで移動だったんです。でもちょうどその日、関東がすごい豪雪で。1日で帰れなくなってしまって、沼津で一泊させてしまったんです。それは申し訳なかったですね」
尾関「次はやる時期を考えないとね(笑)」
――大変なこともありましたが、地方公演の楽しみといえばやはり食だと思います。何かご当地っぽいものは召し上がりましたか?
高佐「大阪は公演が終わったらすぐに広島に移動だったので、実はあまり食べることができず…」
尾関「ファンの方が察してくださったのか、差し入れでたこ焼き味のお菓子をくださったので、それをしっかり味わいました!」
高佐「広島はやっぱり尾関が詳しくて。“うにほうれん”とか、“こうね”とか」
尾関「広島ならではの食べ物なんですよ。うにとほうれん草を焼いて炒めたものです。“こうね”はお肉なんですけど、広島だとどこでも食べられるんですよ」
高佐「それがメチャクチャうまくって」
尾関「割としっかり脂がある牛肉なんですけど、あっさりしていて。薄いのでペロッといけるんです」
高佐「広島のお好み焼きも旨かったなぁ。こっちで食べるヤツと全然違うんですよ!」
――ライブの手ごたえもあったうえで、いろいろ堪能できたようで何よりです(笑)。初めての地方公演を終えてみて、何か変化などはありましたか?
尾関「僕はピンで広島でも仕事をしているので、関係者の方も広島のライブに来てくださって。広島では僕が芸人をやっていることを意外と知らないんですよ。コンビであることも知られていなかったりで“尾関さんって相方いたんだ”みたいな(笑)」
高佐「そう。実は相方なんです、みたいな(笑)」
尾関「でも今回のライブが終わって“一緒にコントもやろうよ”って言ってくださる人もいて。そういう動きが広島でもできればいいなと思っています」 ――新しいムーブメントが起こり始めてますね。新しいことという意味では、高佐さんが脚本にも挑戦されていますね。
高佐「2年位前に『ドブ恋』っていう舞台に出演させていただいて。それでまた次回の舞台にも出演できないかとオファーを頂いたんですが、スケジュールが合わなかったんです。それで脚本に興味はありませんか?とお声かけ頂いたのがきっかけです。出れない分、そういった形でも参加させて頂きたかったという部分はありますね」
――実際に挑戦してみていかがでしたか?
高佐「発注が、悲しくてあったかい話だったんですけど…どうやら、僕は悲しい人生を送っていると思われているみたいで。悲しい話ならイケるんじゃない?って(笑)。何とかひねり出しました」
――なるほど、どんどん新しいことにも挑戦されているんですね
尾関「そうやって新しいことをやりながらも、やっぱり単独ライブって大事だなと思ったんです。多くの人に見てもらえるし、コントライブを全国の人に観てもらいたいという思いがあるので、今回は短いスパンでまたライブをやろうと決めたんです。そこは、新しいことというよりも、今までやってきたことをもっと頻繁に観てもらおうと」
――その情熱が、今回の単独ライブ「その他の人々」につながるわけですね。今回のタイトルはどのように決まったんでしょうか。
高佐「テーマについては、メインストリームと言うよりも、選ばれている人たち以外のところにスポットが当たればいいなと思って決めました」
尾関「僕らもメインストリームではないですからね(笑)」
高佐「初日には毎回、事務所の社長が来てくれるんです。前回の単独ライブの時、初日打ち上げで社長と“もっと改善点があるんじゃないか”と話しをして、2日目、3日目とだんだんアップデートしていくスタイルだったんですね。手ごたえはありつつも、やっぱり改善点は見えてくる」
――そういう改善点をアップデートしていく中で、気になってきたのが「その他の人々」だった、という感じでしょうか。
尾関「どうでしょうね(笑)。でも、僕らとしては、これを乗り越えられたら今後もっと頻繁に単独ライブができるような気がしていて。この短いスパンでどれだけいいものを出せるか。そういう意味では今までで一番大事な単独ライブになるんじゃないかな。そういうスタイルを作っていきたいですね」――そんな短いスパンでありながら、今回も東京・大阪と2カ所となっていますね。
尾関「ただ、大阪でやるにしても、ここ1~2回でちゃんとお客さんが増えていかないとダメ。そこは後がない気持ちでいます」
――初回を成功させてからの2回目は重要なところですよね。決して派手に動いているわけではないですが静かに“攻め”に入っているような印象があります。
尾関「なんていうか、マラソンみたいなものですから。売れたら売れたでネタはやらなくなるし、売れなきゃ売れないで疲れちゃってネタも作らない。でもそこでしか勝負ができないのが我々ですから。作り続けて、ライブをやり続けるしかないんですよね」
高佐「やっぱり、テレビも出てて、ネタも作り続けてて、ライブもちゃんとやっている人って芸人からの支持も厚いんです。廃れることもないんですよね」
――周りは進み続けているわけで、歩みを止めることは後退しているのと同じと考えれば、攻めるのが一番ですからね。今回の単独はどんなイメージでやっていく予定ですか?
高佐「今回も大阪に行かせていただくので、会場を満席にできるような仕掛けは何か考えていきたいところですね」
尾関「単独ライブの後、9月にキングオブコントという賞レースがあるので…そこにつなげられるようなネタを作りたくはあるんですけど。賞のために作ろうと思って作れるものでも無いんですけど…それでも、この間よりもはっきりと見据えたうえでネタを作っていきたいとは思っています」
――単独ライブがキングオブコントの行方を占うような形になりそうですね。
尾関「とはいえ、キングオブコントがすべてではない。たくさんある夢の中のひとつではあります。すごく大切な大会だし、それをきっかけにたくさんのひとに知ってもらいたい気持ちもある。でも、それだけにならないようにはしたい」
高佐「単独ライブを一番大事にしているから、やっぱりそっちが一番で。キングオブコントはその次。単独ライブで出来たネタでキングオブコントに挑戦できる、というのが一番いい流れですよね。でも、賞レースの中に門戸を開けて入っていかないと、単独ライブにも来ていただけない。避けては通れないものだし、でも、100%キングオブコントためにネタを作るのは違う気がしていて。まだ漠然としていますが、そこはうまく気持ちをもっていきたいですね」――芸人でコントをやっていれば、キングオブコントに参戦するのは当たり前で、“目指す”というのはちょっと違うのかもしれないですね。
尾関「単独ライブをやると、お客さんのアンケートの中に“このネタはキングオブコントで行けそうだ”とか“コレはキングオブコントに向いてない”とか言ってくれたりするんですよ(笑)。そういうのも大事にして、お客さんと一緒にキングオブコントに行きたい」
高佐「お客さんも一緒に、ザ・ギースを作っていってほしいですね」
尾関「なんでも受け止めますけど、お手柔らかにお願いします(笑)」
高佐「アンケートって基本いいことを書いてくださるんですけど、たまに辛辣なことも書いてあって。ちょっと落ち込んで帰るときもあります(笑)」
――それくらい、真剣にザ・ギースのコントを見てくださっているということですもんね。
尾関「なんでも、書いてくれることがありがたいからね。“無”で帰られちゃうのが一番つらい」
――いろんな声を聞きつつ、キングオブコントまできれいな流れで向かいたいですね。ところで、単独ライブでは毎回何かしらのチャレンジをしてらっしゃるそうですが、今回は?
尾関「前々回はマジックをやって、前回はたて笛をめちゃくちゃやったんです(笑)。今回はまだ決めていませんが、何か目に見える形のものにチャレンジしたいと思っています。なんだろう…サックスとか?」
高佐「なるべく手垢のついてないところがいいけどね(笑)。あんまりやってる人がいないやつ」
尾関「決めた、とりあえず楽器は何かやります!」
――楽しみにしておきます! 単独ライブに向けて何か実践していきたいことはありますか?
高佐「なんだろう。…僕、スマホのゲームをやっちゃうんですよ。ついやっちゃうんです。1日30分くらい費やしているんですけど、それを別のことにできれば…いや、無理だな。やっちゃう。面白いわ(笑)」
尾関「なんだよそれ(笑)。僕はずっとウェイトトレーニングをしていて、筋トレしているとコントにつながってくるんですよ。動きとか。今までだとよろけたり、きれいな動きにできなかったものが、できるようになってて。今、ベンチプレス75キロなんですけど…90キロは…無理かな。85キロを上げられるようになりたいですね」
高佐「コントとコントの間、生着替えをやらせてもらっているんですが、薄明かりの中で着替えるので…」
――おっ、これは90キロを上げたな?って分かるかもしれないですね(笑)
高佐「前回も来てくださった方は“あれ?前回よりもなんか動きがキレてるぞ”って気づくかも(笑)」
尾関「でも、大竹まことさんにマジのトーンで“お前、筋肉があって気持ち悪いぞ”って言われて(笑)。コントに筋肉は必要ないから。実際、そんなに筋肉はないんですけどね」
高佐「いや、実際のところ自分だとあんまり変わってないと思ってるかもしれないけど、久しぶりに着替えてるところを見たりすると、ちょっと気持ち悪いくらいデカくなってるよ(笑)」
尾関「いや、俺身長がデカいから、それは言われるけど、筋肉は言われないし」
高佐「でもベンチプレスは90キロ上げたいんでしょ?」
尾関「上げたい。でも、筋肉はコントの邪魔をするから、ゴツくなりすぎないようにね」
高佐「僕はスマホゲームを我慢する」
尾関「僕はベンチプレスを90キロ上げる」
高佐「大丈夫かな、これでみんな来てくれるかな?(笑)」――集客は大事なところですからね(笑)。何か戦略は考えていらっしゃいますか?
高佐「実は、プレイベントをやるんですよ。多くの方に単独ライブの雰囲気を知っていただいて、来ていただくために初めてやることにしました。過去のベストネタやプレイベントだけの特別企画を考えています」
尾関「やはり、これまでザ・ギースの単独ライブに来たことのない人にたくさん見ていただきたいので、今回のプレイベントには“おそらくザ・ギースの単独ライブに来たことが無いのではないかと思う職業”の方々を無料で招待することにしました」
――それはすごい試みですね!
高佐「そのほかの方々も手ごろな値段で見ていただけるように考えています」
尾関「やっぱり前回、大阪と広島とでライブをやってみて、いろんな人に全国でライブを観てもらいたいというのが基本的な思いとしてあることがはっきりしたんです。だからこそ、スパンを短くやっていくし、たくさんの人に観ていただけるような形をとりたいですね」
――最後に、単独ライブ「その他の人々」、そしてその先に向けて意気込みをお願いします!
高佐「前回に続き大阪公演を含めた単独ライブを成功させて、翌月のキングオブコントでファイナリストに残り、優勝して、その波に乗って2018年の年末に楽しいイベントが出来ればいいですね」
尾関「もし、キングオブコントで優勝したら、全国ツアーをやるという目標があるんですよ。皆さんの声を参考にしながら、全国ツアーができるようにしたいですね。なので、今回の単独ライブのネタが、キングオブコントのネタになります!」
――いっそう見逃せない単独ライブになりますね! 本日はありがとうございました。
インタビュー・文/宮崎新之