
フランス現代サーカス界を牽引するラファエル・ボワテル率いるカンパニー・ルーブリエ、6年ぶりの来日公演!
フランスの現代サーカス界を牽引する存在として異彩を放つ演出家・振付家のラファエル・ボワテル。
日本を拠点とするサーカスアーティストとの国際共同制作による『フィアース5』(2021、23年)の演出も記憶に新しい彼女が率いるカンパニー・ルーブリエが、6年ぶりに世田谷パブリックシアターに登場。
今作『Ombres Portées/キャストシャドウ』の演出・振付を手掛けるラファエル・ボワテルは、現代サーカスの発信地であるフランスを拠点に活躍する気鋭の演出家・振付家だ。2021年には、ジョセフ・ナジやフィリップ・ドゥクフレなどが担当してセンセーションを巻き起こしたフランス国立サーカスアートセンター(CNAC)の卒業公演のディレクターに抜擢され、大きな話題となる。さらに、2024年パリ五輪・パラリンピックに向けた大規模文化プログラム「カルチュラル・オリンピアード(Cultural Olympiad)」の一環として、パリのパレ・ロワイヤルを舞台にした『ホライズン(Horizon)』を発表。都市空間を活かした、身体表現による斬新な演出で世界的に注目を集めるなど、その活動は常に存在感を放ち続けている。
ラファエルを中心に2012年に設立されたカンパニー・ルーブリエは、演劇、ダンス、音楽、映画といったさまざまな表現をボーダーレスに取り入れた“総合芸術”としての現代サーカスと、オリジナルの装置によって生み出される唯一無二のパフォーマンスで世界各国の観客を魅了しているカンパニーだ。2019年の初来日公演『When Angels Fall/地上の天使たち』では、ディストピアと化した世界を舞台に、希望を求めて立ち上がろうとする人々の内なる強さを圧巻の空中パフォーマンスとともに力強く描き出し、日本の観客に衝撃を与えた。

©Pierre Planchenaul
言葉と肉体が交錯する現代サーカスの新境地
光に照らされ、影とともに立ち現れる、秘密と不穏をまとった家族の物語
本作『Ombres Portées/キャストシャドウ』は、クラウド・スウィング、コントーション、アクロバット、エアリアルなどの迫力あるサーカスアクトとともに、ラファエルの作品ではこれまでになかった“言葉”が役割を持って登場する。
ラファエル自身が「私が思い描いた“総合芸術”としての舞台作品」と語る本作では、身体表現、演劇、ダンス、映画、そして登場人物たちの紡ぐ言葉がボーダーレスに融合され、そられすべてが、まるでひとつの夢をみているかのように交錯しながら作品世界を作り上げる。
光と影が織りなす舞台空間の中で展開されるのは、秘密と不穏をまとった家族の物語。タイトルの『キャストシャドウ』とは、ビジュアル・アートにおいて、光を受けた物体によって別の物体の上に落ちる影を指す言葉。ラファエルの最大の理解者であるトリスタン・ボドワンによる芸術的な照明と、アルチュール・ビゾンによる音楽の中で、パフォーマーたちが家族、秘密、変わりゆく運命を圧倒的な身体表現で体現する作品世界は、息をのむほどの美しさに満ちている。
カンパニー・ルーブリエが放つ、言葉と肉体が交錯する現代サーカスの新境地を、劇場で体感しよう。

©Christophe Raynaud de Lage