東京ゲゲゲイ BOW・MARIE・MIKU・YUYUインタビュー 5人でのラストツアー「KIRAKIRA 1PAGE」

【左から】MARIE BOW MIKU YUYU

シンガーソングライターであり映像クリエイター、ダンサーのMIKEYが、BOW、MARIE、MIKU、YUYUの4人と活動するアーティスト集団、東京ゲゲゲイ。2013年の結成当時から、唯一無二の世界観で人気を集め、2021年には「東京2020オリンピック開会式」にも登場して話題を呼んだ。独自の存在感で注目を集め、順調な活動を続けてきた東京ゲゲゲイだが、先日、BOW、MARIE、MIKU、YUYUが2022年7月をもって卒業することを発表。合わせて、5人のメンバーによるラストツアー・東京ゲゲゲイ歌劇団 vol.V「KIRAKIRA 1PAGE」が、7月1日から全国10都市にて開催されることも決定した。BOW、MARIE、MIKU、YUYUの4人に卒業に至った心境や、さらにはラストツアーに懸ける思いを聞いた。

 

――卒業に至るまで、さまざまな思いがあったかと思います。どのような経緯で卒業となったのでしょうか。

BOW「MIKEYさんは、作っては壊すということを続けてきた方なので、そもそも東京ゲゲゲイが9年間も続くと思っていなかったんですよ。なので、むしろ9年も続いたんだってびっくりしている感じです。今、このタイミングでそれぞれがこれからどうしようと思った時に、外の世界を見てみようという思いが一致して、MIKEYさんから卒業という提案を受けて決まったという経緯でした」

MARIE「BOWさんもおっしゃった通り、私も我々が飛び立つタイミングが今だったのかなと感じています」

MIKU「東京ゲゲゲイを結成する以前から、メンバーとは長い間、一緒に作品を作ったり、同じ時間を過ごしてきたので、家族みたいな存在なのですが、私も今がここから巣立つ時だと思って、この先に向けて“親離れ”をして、再び頑張っていこうという気持ちでいます」

YUYU「この9年間、東京ゲゲゲイで重ねてきた経験や思いは宝物ですし、ここで培われた信念はこの先もずっと変わりません。もし、今後、新しいことにチャレンジするとなった時も、変わらない気持ちを大切にしたいと思います。東京ゲゲゲイのみんなで作り上げてきた、私たちに流れる“血”は、この先も私の体に流れていくのだと信じています。応援してくださっている皆さんの中には、卒業を残念に思う方もいらっしゃると思いますが、そういう方々にも、こうなって正解だったんだなと思っていただけたるよう、これからも自由に自分らしく生きて、一生懸命頑張ってけたらと思っています」

――東京ゲゲゲイで過ごした9年間、たくさんの思い出や素晴らしい体験があったことだと思いますが、特に印象に残っている出来事を教えてください。

BOW「東京ゲゲゲイでなかったら行かないだろうという場所にたくさん行かせていただいたことが思い出深いです。例えば、フィリピンのスラム街を歩いて、現地の人と旅行とはまた違う関わりができたのはすごくいい体験でした。二人乗りの自転車に乗ったり、日本ではあまりしないような遊びが空き時間にできたので、それも楽しかったのを覚えています」

MIKU「私は、東京ゲゲゲイ歌劇団が1番の思い出です。単独公演でどんどん地方公演も増えていき、いろいろな場所でたくさんのお客さんと出会って、こうして5人でツアーを回れたことが、私にとって楽しくて、大好きな時間でした」

YUYU「イベントに出演するために、香川の女木島に行った時のハプニングは忘れられません(笑)。その時、私たちは、日本エレキテル連合さんの『未亡人 朱美ちゃん』のパロディをやっていたので、そのショーに使うライターやおもちゃの銃を持っていかなくてはいけなかったんです。それで、手荷物で飛行機内に持ち込もうとしたメンバーたちが荷物検査で引っかかってしまったんですよ。私はメンバーよりも先に入ってしまったので、それに気づかずに飛行機に乗ってしまって…。遅いなと思って、携帯を開いたら『飛行機を止めておいて』ってメールが来ていて、焦ってしまって(笑)。飛行機って止められるものなんですか?(笑)。結局、私以外のみんなは新幹線に乗ってギリギリに到着したのですが、私の中で『思い出のハイライト』といえば、この話です」

MARIE「思い出が多すぎて、選ぶのは難しいですが…東京ゲゲゲイにいたから出来た経験だったなと思うのは、タイのバンコク最大のスラムにある図書館に行き、そこに通う、ダンスをしたことがない子どもたちとパフォーマンスを一緒にしたことかな。公演前に、何度か練習して、短い時間の中で作ったのですが、みんなすごくかわいくて、元気で、言葉を越えて繋がれる、ダンスの強みを改めて感じました」

BOW「私は、その時のMARIEのTシャツの臭さは今でも忘れられない(笑)」

MARIE「フィリピンとタイに行った時のTシャツは人生で一番臭かったですね(笑)。私も忘れない(笑)」

――皆さんにとって、「東京ゲゲゲイ」とはどんな存在ですか?

MIKU「これまでの人生で一番、魂を注いで夢中になった場所です。ゲゲゲイとしての活動は9年間ですが、メンバーやMIKEYさんと出会った時から数えたら、私の人生の半分以上を注いできた場所なので、やはり特別な思いがあります」

BOW「ワクワクできるところです。こっちに行ったと思ったら、今度はこっちに行くんだ!? という感じで、MIKEYさんがどこに行くか分からないし、何をするのか分からないので、まるで冒険をしているようにドキドキワクワクしています。着いて行くのは大変ではあるのですが(笑)、次は何をやるんだろう、何ができるんだろうという楽しみが大きいです」

MARIE「エナジーです」

YUYU「生かしてくれた場所かな。家族なのかなと思うほど団結力があって、肩を寄せ合ってチャレンジをして、支え合ってきた9年間だったと思います。私は、東京ゲゲゲイをやっていなかったら、もっとヤバい人間になってたんじゃないかな(笑)。そのヤバさも表現することに生かされていたと思うので、東京ゲゲゲイに私は救われたなとも思います」

 

――7月1日から始まるツアー「KIRAKIRA 1PAGE」は、どのような公演になりますか?

BOW「東京ゲゲゲイを結成当初から観てくださっている方も、最近知った方も、全ての方が楽しめるような、私たちの9年間が詰まった集大成のセットリストになっています。お客さんのエネルギーを吸い取って、自分たちのエネルギーにして昇華しようと思っていますので、ぜひたくさんの方に来ていただきたいです」

MARIE「やりきれるかな・・・(汗)と思うくらいボリュームのある内容になっているので、観に来てくださったお客さん達にも「ゲゲゲイは見切った!もうお腹いっぱいだ!」と思っていただけるような、贅沢な時間と空間にしたいです。そしてこれまでにはなかったメンバーのソロパフォーマンスも楽しみにしていただけたら嬉しいです!」

YUYU「東京ゲゲゲイ結成前からMIKEYさんのファンだという方が観ても嬉しい内容になっていると思います。内容は言わない方が楽しめると思うので、ここでは言いませんが、サプライズの時間があります。きっと楽しい時間になると、ここでは匂わせしておきます(笑)」

――今回は、ラストツアーということもあり、昔からのファンの方はもちろんですが、初めて会場を訪れるファンの方も多いのではないでしょうか。

BOW「そうだと嬉しいです。はみ出したことをやっているので、ファンの方たちも偏っているんじゃないかと思われがちですが、私たちも驚くくらい、老若男女さまざまな方たちがいらっしゃいます。なので、ぜひ怖がらずに来てほしいです。これが5人でやる最後のパフォーマンスになるので。ひとりで来ても楽しめると思うので、ぜひ足を運んでください」

 

――今回のツアーは、沖縄からスタートし、全国10都市を回ります。ラストツアーで全国各地を回るというのも、楽しみですね。

MARIE「沖縄からスタートというのは初めてなので、それも楽しみです。沖縄では、今回、公演に合わせてファンミーティングも行う予定です。ファンミーティングは、これまで東京でしかやったことがなかったので、沖縄でできるというのも嬉しいですし、きっと盛り上がっていただけるイベントになると思います」

YUYU「YUYUは寒いところが本当に苦手なので、沖縄が大好きなんです。沖縄に行くたびに『ここに住めたらどんなにいいだろう』と思っているので、今回も楽しみにしています」

MIKU「初めて東京ゲゲゲイとして地方公演を行なったのが長野と大阪でした。今回、長野はありませんが、最初に行なったという意味でも大阪公演も楽しみです。大阪はこれまでにも何度も公演していて、色々なショーをしてきた場所だという印象もあるので、馴染み深い場所でもあります。それから、九州で美味しい焼酎がまた飲みたいです(笑)」

――改めて今回のツアーへの意気込みと、ファンの方にメッセージをお願いします。

BOW「9年間ずっと私たちのことを応援してくれた方にも、昨日から応援してくれている方にも、平等に感謝を伝えたいと思います。ぜひ会場に足を運んで、生のパフォーマンスを見ていただけたらうれしいです」

MARIE「肉眼で見て、同じ空間で体感しないと伝わらないものもあります。私たちはそれをずっと大事にしてきました。私たちが情熱を注いだその熱気を、直に味わいに来てほしいです」

MIKU「この9年間の集大成を皆さまに観ていただけるように、魂を込めて、情熱を注いで、最後に向けて準備をしていきたいと思っていますので、ぜひ、観に来てください」

YUYU「私はチャレンジしたいことがあるんです。過去の作品の中で、私はMIKUともMARIEちゃんともキスをしている。でも、BOWちゃんとだけしてないんです。これは、絶対に東京ゲゲゲイであるうちにしなきゃいけないなという使命感に駆られています。こういうご時世でありますから、PCR検査をした後にでも、どこかでチャレンジできたらなと思っているので、それも楽しみにしていただければ(笑)」

 

取材・文:嶋田真己