美術家・川俣正、デザイナー・廣川玉枝、音楽家・原摩利彦らトップ・クリエイターが集結!
森山未來が描く新作パフォーマンス『FORMULA』ー 没入型アートコンプレックスとは?
10月15日(土)からの東京芸術劇場 プレイハウスを皮切りに、宮城・福岡・大阪・愛知・高知で開催される 新作パフォーマンス『FORMULA』 。俳優、ダンサーなど表現者として幅広く活動する森山未來と、脳科学者の中野信子、イスラエル出身の振付家・ダンサーのエラ・ホチルドが共同制作を進める本作の合同取材会が、8月15日に東京都内で行われ、森山未來が登壇した。
〈人間が人間であるための条件とは何なのか〉――ダンス×脳科学による新たなプレゼンテーションというコンセプトのもと、森山、中野、エラならではの視点でキュレーションし、“没入型パフォーミング・アーツ”として、各業界の第一線で活躍するトップ・クリエイターと共に作り上げていくという本公演。セノグラフィー/舞台美術は、国内外で斬新な現代アートプロジェクトを数多く展開し、国際的に高い評価を受けてきた美術家の川俣正が、国内では初となる舞台美術を総合的に手がける。衣裳デザインは、自身のブランド「SOMARTA」で「第二の皮膚」と評される無縫製ニット“ Skin series ”など、唯一無二の衣服を手掛けることでも知られる廣川玉枝が参加。アシックスと協業した東京2020オリンピックの表彰台ジャケットは大きな話題となった。音楽は、今年ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展でも新作を発表したボーダーレスなアーティスト集団“ダムタイプ”にも参加し、最近は積極的に話題の映像、舞台作品にも楽曲提供をする原摩利彦を起用。グラフィックデザインには、建築、美術、ファッション等の文化領域を中心に、観察とコンセプチュアルな思考に基づいた、編集的/構造的なデザインを探求し、数々の広告も手がける*岡崎真理子が担当。一歩足を踏み入れると、まるでアートコンプレックスのような劇場空間に――。これまでにない新たな試みとなる『FORMULA』に期待が高まる。
合同取材会に登壇した森山は、まず今回の『FORMULA』を制作することになったきっかけとして、「ここ数年、コンテンポラリー・ダンスの魅力、パフォーミング・アーツの魅力をより多くの人たちに知ってもらうという目的で、いろいろな演目で全国ツアーを行ってきましたが、今回、東京芸術劇場という大きな劇場で、さらに展開させていきたいというオファーを頂いてスタートしました。作品を作っていくうえで大きいのは、中野信子さんとの出会いです。数年前に彼女とお会いしたとき、認知科学者としての身体や振る舞いに対する視点が独特で、とても強度があるものでした。彼女の言語や科学的な根拠から立ち上がってくる身体的なイメージに、すごく興味が湧きました。あと、イスラエル出身の振付家/ダンサーで、10年来の仲であるエラ・ホチルドとは、これまでも一緒に作品を作ってきました。彼女自身、現在も世界中のカンパニーに所属してツアーに参加したり、日本の舞台作品でも振付に関わったり、自身の作品を発表したりと、かなり精力的に活動をされている振付家の一人です。僕と同世代で、今回これまでに培ってきたお互いのキャリアを共有しながら、強度のある作品を展開させられれば面白いなと思い、声を掛けました。この三人でコンセプトから立ち上げたいという思いをきっかけにスタートしたのが、今回の『FORMULA』です」と説明。
続いて、今回の公演で観客に注目してほしいポイントを聞かれるとー
「僕自身、5歳からダンスを始めて、そこから映像、舞台の世界に関わり、ここ10年ぐらいは現代アートにも関わる機会が多くなりました。いろんな文脈で作品が作られていく中で、問題意識や美意識を強く持って、作品を創造している同時代の人たちとの出会いに感化され、僕の中で素晴らしいセンスや実力をお持ちの方々に声をかけ、コンセプトに賛同して頂いて、みなさんと一緒にものを作っていくことになりました。現代美術家の川俣正さんに入って頂いたり、「SOMARTA」というファッションブランドの代表でもある廣川玉枝さんにコスチュームを制作して頂いたり、音楽家の原摩利彦さんに曲を作って頂いたり……。それぞれが多方面で活躍されている方なので、観客の皆さんにはただ劇場に訪れてパフォーマンスを観るというだけではなく、ある種の作品展示を鑑賞しに来るような内容にしたいと考えています。お客さんが入場したロビーから、それぞれのアーティストの作品に触れ、その流れの中で劇場内でのパフォーマンスがあり、全体を通して体感してもらえるような…“没入型”と僕は呼んでいるんですが、そんな没入型のパフォーマンスになっていければ面白いなと思っています」と語った。
会場にお越しいただく方へのメッセージとして、「今回『FORMULA』において「人間が人間であるための条件とは何なのか」というコンセプトのもと、一流のアーティストの方々に集まって頂きました。それをピュアに体験できる場を提供できればと思っています。座席に座って舞台を鑑賞するという固定化された視覚体験にとどまらず、劇場に入ってから出るまで、自分の足で歩いて鑑賞し、実際に作品に触れるなどして、さまざまな感覚を使って楽しめる劇場体験にしたいと考えていますので、これはもう実際に来ていただくしかないです。ぜひお越しいただければと思います」という言葉で締めくくった。
*岡崎真理子 の「崎」は(たつさき)が正式表記