写真左から)岩永洋昭、後上翔太、酒井一圭、白川裕二郎
歌謡コーラスグループ純烈が座長を務める『明治座新春純烈公演』が2025年1月7日(火)から28日(火)まで東京・明治座にて、『新歌舞伎座純烈公演』が2025年2月6日(木)から17日(月)まで大阪・新歌舞伎座にて上演される。
明治座では3回目、新歌舞伎座では2回目となる座長公演、さらに2025年3月でグループを卒業する岩永洋昭にとって最後の純烈座長公演となる本作。純烈の酒井一圭、白川裕二郎、後上翔太、岩永洋昭を囲んだ取材会の模様をお届けする。
「今回は岩永が主人公なんじゃないかな」
――まずは公演への意気込みをお聞かせください
後上 明治座公演は3回目なのですが、これは1回目、2回目の(反響の)うえでお声がけいただいたと思っています。ということは4回目の有無で今回の結果が証明されると思うので、これからも純烈の座長公演が続いていくように、皆さんに楽しんでいただけるいい公演になるよう務めたいです。
白川 座長公演をやらせていただいく時はいつもいろんなことが起きている純烈なんですけれども、今回は岩永が3月に卒業ということで、この4人での座長公演は最後になります。たくさんの方に観ていただけるよう精一杯やらせていただければと思います。
岩永 3月末で卒業なので、ラストスパートに近い公演です。座長公演というものは、純烈に入るまで(俳優として)やったことがありませんでした。僕自身もですし、来ていただくみなさんとスタッフの一生に残る思い出にしたいです。
酒井 今回は明治座と新歌舞伎座での公演となりますが、このような長丁場は初めてになります。ですが3月に岩永が卒業するまでは休まねーぞ!という心持ちで、なんとかみんなで力を合わせていければいいなと思います。すごく長いマラソンに挑む感覚です。
――今回も、芝居とコンサートの2部構成となります。第1部のお芝居『俺たちはダディじゃねえ!』(作:横山一真/演出:村上大樹)はどのような作品になりそうですか?
酒井 僕らもまだあらすじくらいしかわかっていないのですが、ポスター撮影で自分は野球選手の格好をしていますので、一人で大谷さんと通訳の方を兼ねているのかな?と(笑)、そのようなイメージです。脚本の横山さんも演出の村上さんも1回目、2回目とご一緒してきた方々で信頼していますし、台本が来るのが楽しみです。
――みなさんから要望は出されたのでしょうか?
白川 そうですね、僕は極力台詞を少なくしてくれって(笑)。最近、物覚えが悪くなっているので。僕の役名はポール・ホワイトリバーなんですけど、僕の「白川」を英語に変えただけじゃないかっていう、その辺もいじってくれているのかな(笑)。横山さんと村上さんと組ませていただくのはこれが3回目で、自分たちのお芝居もわかってくださっていると思いますので、また新たな作品になるんじゃないかなと思っています。
酒井 今回は多分、岩永が主人公なんじゃないかなと思ってる。
岩永 そうです?
酒井 今回で卒業するというのもあるし。おもしろい感じになると思うんだよね。ただ(岩永は)集中力がないから。
一同 はははは!
酒井 それももうバレちゃってるので、なんだかんだ後上が説明していくのかな(笑)。それもふまえて岩永にとっておいしい台本がくるんじゃないかなと思ってる。
岩永 考えてなかった。
酒井 考えろよ(笑)。
岩永 前回の台本は「ここは日替わりでお願いします」と空白になっている日替わりネタのシーンがあったんですけど、今回は公演数が多いので勘弁してほしいなっていうのが僕の希望です(笑)。
後上 その要望はものの見事に叶わないだろうな。
一同 (笑)。
後上 今あるものから変わっていって、最終稿(台本の完成形)ができてもさらに稽古中に出てきたアイデアとか、それこそ(1回目から出演している)曽我廼家寛太郎さんもスパイスを足してくださったりして、最終的なカタチができあがっていくんですよ。そういうこともあり、僕らからの要望はゼロでしたね。
酒井 あ、でも曽我廼家寛太郎さんのスケジュールを押さえてほしいという要望は出した。前回公演のメンバーで食事をしている時に僕が「寛太郎さんがおれへんとでけへん」って言ったら、寛太郎さんが「やりたいです」と言ってくださったから、すぐプロデューサーに「寛太郎さんのスケジュールを押さえてほしい」と伝えました。寛太郎さんがいてくださると一定のクオリティは必ず保てるので。
後上 こないだ寛太郎さんから連絡が来たんですけど、僕は巨人ファンで寛太郎さんは阪神ファンなので「やられました」っていう内容でした。以上です。
一同 (笑)。
――ビジュアル写真が発表されましたが、みなさんの役どころはもう決まっているのでしょうか?
酒井 これまでの経験からして、このビジュアルのままじゃないと思います。村上さんの演出でどんどんおもしろくなっていくんですよ。多分そのままは白川くらい?
白川 僕は花形パイロットの役なんですけど、怪しい要素もあるのかな?っていうふうに聞いています。が、それがほんとかもわからないです(笑)。
酒井 今回は全員インチキ臭いよね。
一同 (笑)。
酒井 でもそこが見事な見抜き方。純烈って正面から見ると「お客さんにやさしくてほっこりするグループ」みたいなイメージがあると思うんですけど、「とはいえほんまは○○ちゃうん」「こんなニコニコしてるわけないやんか」って見方をすると、途端に詐欺師集団に見える。
白川・後上・岩永 あははははは!(大ウケ)
後上 「純烈は詐欺師集団」って見出しになっちゃう(笑)。
酒井 今回のプロットを読んで、きっと村上さんや横山さんは僕らとのこれまでの付き合いの中で、こっち側に持っていけるイメージが見えたんやろうなと思いました。
「僕らがなんとかしますので!」
――2部のコンサートについてなにか決まっていることはありますか?
後上 現段階(※取材時/10月初旬)ではまだですね。
酒井 純烈は11月に日本武道館でライブをするのですが、そこでも自分が決めるのは脚本や演出や映像など主要なスタッフだけなんです。あとはおまかせする。それと同じで、明治座公演に関しても、自分たちは座長という立場ではありますが、演出の村上さんやスタッフのみなさんにまる投げして、そこに乗っかってきた。今回もそうなると思います。
――ではみなさんは、出てきたプランをそのまま受け止めるようなイメージですか?
酒井 そうそう。(大変なこともあるけど)スタッフが笑ってくれたりお客さんが笑ってくれたら、自分たちもノッてくるし。
後上 前回の公演で言えば、この年齢でうれしそうに上半身裸はさらさないですが、「意外とお客さんが笑ってくれたな」とかね。「恥ずかしいんだけど」と思いながらやったことも、拍手が起きたり笑いが起きたりしたら「まあ、いっか」と思う。それを何公演も重ねると「楽しかったね」と言っておうちに帰れる、みたいなことがすごくあります。
酒井 その辺は健康センター時代から変わってない気がしますね。
――純烈さんはいつも新しい挑戦をされていますが、その原動力はなんですか?
後上 僕は、例えば3か月後に明治座公演があるとか半年先にこれがあるとか、そういう時間的距離がちょっと遠い位置の話よりは、「今日一日」なんです。ステージならお客さんが目の前にいたり、収録ならスタッフさんが目の前にいたり、今日だったら取材に来てくださったみなさんが目の前にいたりっていう、「誰かの前でなにかをする」ことが僕らは多いので、その「目の前にいる人たちが楽しそうに帰って行く姿を見られるように努めていこう」の繰り返しです。そこで新しいことを求められたら「じゃあそれやってみようかな、目の前の人がやってほしいって言ってるから」を積み重ねていく。そういう気持ちの在り方です。お客さんがあまりいなかった時代が長いからかもしれないんですけどね。
白川 僕もファンのみなさん。あとは自分の親族です。生きていると、日々のいろんなことで疲れたり元気がなくなったりってたくさんあるじゃないですか。でも僕たちのステージやテレビを観てくれて、それで元気が出たとか、ファン同士でコミュニティができたとか、そういう話を聞くと僕たちはすごく嬉しかったりするんですよ。それとこれは僕自身の話ですが、純烈は「夢は紅白!親孝行!」というキャッチフレーズでずっとやらせてもらっていますが、うちの母が今年で91歳なんです。僕の名前をちょっと忘れちゃったりベッドで寝たきりなことも多いんですけど、僕がテレビに出ると目の色が変わるんです。「裕二郎が出てる」って。そういう姿を見ると、僕はもっとがんばんないといけないなと思います。病院で処方される薬もあるけれど、うちの母ちゃんにとっては僕がテレビに出ることが一番の薬になるんじゃないかなと僕自身は思っています。なので「純烈をやり続ける、テレビに出させてもらう」ということが僕にとっての原動力ですし、一番の力なのかなと思います。
岩永 純烈に入る以前の俳優時代からそうなのですが、原動力は僕の地元・長崎の親族や友達の存在です。俳優時代はドラマや映画に出たら観てよろこんでくれて、純烈に入ってからはコンサートに来てくれたりして。ファンの方はもちろんのこと、それプラス自分の一番身近な人たちが喜んでくれる。シンプルですけど、それが原動力です。
酒井 僕は、気持ちの悪い言い方をすると「この肉体が使いものにならなくなるまで」というか。寄生虫みたいな感じで、「この身体を利用していけるところまでいったろう」という感覚が小さい頃からあります。怪我とかいろんなこと関係なしに突き進む、みたいな。その根性が消え去らないんですよ。だから身近な人たちとはある意味年々離れていっている。逆に近くなっていっているなと思うのが北島三郎さん、吉幾三さん、前川清さんといった先輩方。お会いすると、「似てる人、いるやん」と安心します。だから自分は、自分のためにやっていると思います、究極言うとね。もちろんファンや家族に支えてもらっているし、喜んでいただきたいという思いでやるんですけど、でも「ゼロイチ」の部分はもう“魔物”というか。そこで不安になった時に誰を見るかというとやっぱり北島三郎さんです。あれだけやり切った方がいらっしゃる。自分もどこまでできるかわからないけど、そういう方々のバトンを感じているので。次の人にバトンを渡すまではがんばろうという感じです。
――最後にこの公演を楽しみにされている方へのメッセージを、代表でリーダーからお願いします
酒井 多くの方にお越しいただきたいのはもちろんですが、特に元気がなかったり沈んでいたり疲れていたり……ちょっと矢印が下がっちゃってるなっていう方に(お勧めしたい)。ご来場するのもしんどいかもしれないけど、思い切って劇場の客席に座っていただければ、僕らがなんとかしますので!ぜひともお集まりいただければと思います。
取材・文/中川實穗
撮影/田中亜紀