伝説的なギャグミュージカル
抱腹絶倒の舞台が3年ぶりに再演!
出会いから、12年になる。とあるバラエティ番組でユースケ・サンタマリアを初めて見た放送作家の福田雄一は、とにかく一瞬で恋に落ちた。
福田「追い込まれると、とにかくわけの分からないことを急に言いだす。そこに惹かれました。当時の僕はお笑い芸人さんたちとバラエティ番組を作ることが多かったんですけど、でも芸人さんとはまるで違う、想像の範疇外からボールが飛んできた感じがして。ユースケさんと仕事がしたい!って方々で言って回って、ようやくかなったのが『熱血!サンタマリア』(2002年)でした」
ユースケ「土曜夕方の、1クール(3カ月)で終わることが最初から決まってた30分番組。短いドラマとか料理コーナーとか、手間をかけまくりましたよね。それ以来、あんまりべったりじゃなくて、何か絶妙なタイミングで福田さんとは出会うんですよ。いつもは外から『福田さん、今こういうことやってるんだー』っていうのを見ているんだけど、いざ、福田さんから何かが噴出する!となったときに、僕も一緒にいたい! みたいな」
福田「それはありますね。しばらく会わないでいるから、再会すると、お互いが面白くてしょうがないっていう珍現象が起きるんです(笑)」
そしてまた、噴出の季節がやってくる。ミュージカル「モンティ・パイソンのスパマロット」。イギリスの国民的コメディ・グループ「モンティ・パイソン」が作り上げた抱腹絶倒のミュージカル。2012年の日本版初演から3年を置いて、このたび、再演が決まったのだ。
福田「日本ではミュージカルって、少し格式が高いじゃないですか。でもそれを、僕は微力ながら覆したいと思っていて。もっとくつろいだ気分で、ざっくばらんに観て、みんなで笑う。そんな空気に、なんとかならんもんかなあと思っています。そのためにこの演目は、最大限の爆発力を持っているんですよ」
描かれるのは、大英帝国のアーサー王(ユースケ)の珍道中である。様々な人に出くわし、出来事に出くわし、すっとんきょうな事態が旅人たちを飲み込んでいく。
福田「笑い、というものを使ってミュージカルへのハードルを下げられるのであれば、なんだってしたいと思っています。ずっとやっていきたいですね、この作品は」
ユースケ「でも稽古場は過酷ですよ。ちょっとでもつまらないことを言うと、シーーーン!! ってなる。死んじまおうかな!と思いますよね(笑)」
福田「役者さんが繰り出す笑いと、芸人さんのそれとはまったく別物なんですよ。役者さんは言葉だけじゃなく、言い方、表情、動きなど、色んな角度からアプローチできる。今回はこれだけの精鋭が集まっているわけだから、きっと笑いにかなりの深みを出すことができると思うんですね。そりゃあ毎日バトルだろうなあと思いますよね」
座組のほとんどが30~40代。傷だらけで笑いに挑むキャストたちの行く手に幸あれ。
インタビュー・文/小川志津子
Photo/今村拓馬
【プロフィール】
■ユースケ サンタマリア ラテンロックバンドのボーカル&MCとしてデビュー、司会者や俳優としてマルチに活躍。福田雄一との相性は映画「薔薇色のブー子」(’14年)でも証明済み。
■福田雄一(フクダ ユウイチ) 放送作家として数々のバラエティ番組を手がけ、ユースケとは「熱血! サンタマリア」(’02年)で初仕事。最近では映画監督や舞台演出でも辣腕を発揮している。