舞台「クジラの子らは砂上に歌う」 赤澤 燈 インタビュー

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自分自身が楽しみながら
ファンタジー世界の住人に

 

  「このマンガがすごい!2015」オンナ編の10位にランクインし、注目を集めているマンガ「クジラの子らは砂上に歌う」が舞台化される。周りを砂の海に囲まれた世界で、その形から「泥クジラ」と呼ばれる大きな船に暮らす人々。彼らの穏やかな暮らしはとある少女との出会いで大きく変わっていく――。

 主人公である記録係の少年・チャクロを演じるのはミュージカル「テニスの王子様」や「ライチ☆光クラブ」など、多くの舞台で活躍を見せる赤澤 燈だ。

赤澤 「砂の海がどう表現されるのか、この世界の住人が持つ超能力・サイミアをどう見せるのか……原作の世界観が細かな部分まで作り込まれているからこそ、それがどんな形で舞台に現れるのか、僕がいちばん楽しみにしていると思います(笑)」

 

 赤澤が演じるチャクロは、超能力を持ってはいるものの、それをうまくコントロールすることができない。その代わり、自分が見たできごとをひたすら書きつづける。どちらかといえば地味な少年だ。一方、赤澤は見るものをはっとさせる華やかな笑顔を持つ青年だが、意外にもチャクロとの共通点を感じているという。

赤澤 「まだまだ経験も浅いですから、全然自信なんてないですし、こう見えてけっこう内向的なタイプなんです。その部分はちょっとチャクロと似ているかもしれない。現実とは違うファンタジーであっても、脚本のなかから自分との共通点を見つけて、稽古を重ねていくなかで役に近づいていくことができたら」

 

  デビューして6年。舞台経験豊富な赤澤だが、今年に入ってから初めての経験をしたという。

赤澤 「今年初頭に出演した『回転する夜』という舞台で、演出家の方にものすごくしごかれました。本当に、これまで経験がないくらい怒られた。大人になってこんなに怒られることってなかなかないです(笑)。でも、それは単に作品を良くするためだけじゃなく、僕が役者として成長できるかということも考えてくれたうえでの言葉だったんですよ。だから、すごくうれしかった」

 

  厳しい言葉を受け止め、さらなる成長を目指す赤澤。目の前に観客がいて、その空気を感じながら生で演じることができる舞台の楽しさを最近はさらにかみしめているのだとか。

赤澤 「これまでは、毎公演同じ芝居をすることが大事だと思っていたし、それができてこそプロだ、と思っていたんです。でも最近は、毎回変わる空気にうまく呼応して演じることのほうが大切なんじゃないかと思っています」

 

  舞台への意識を新たにするなかで、大勢のキャストが登場する『クジラの子らは砂上に歌う』という作品を主演として引っ張ってゆく。

赤澤 「今まではいちばん年下として共演者の皆さんに甘えて、助けていただくことがとても多かった。でもだんだん、僕より年下のキャストも増えてきた。この作品でも先輩と後輩とをうまくつなげながら、みんなで原作ファンの方にも満足いただけるような、この作品ならではの美しい世界観を舞台の上に作り出したいと思います」

 

インタビュー・文/釣木文恵
Photo/堀内慶太郎
構成/月刊ローソンチケット編集部 3月15日号より転載

 

【プロフィール】

赤澤 燈
■1990年、東京都出身。2010年「美童浪漫大活劇『八犬伝』」で舞台デビュー。以降ミュージカル「テニスの王子様」芥川茲郎役など様々な作品に出演。「カニを喰べる。」「羊をかぞえる。」など映画でも活躍。

 

【公演情報】

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舞台「クジラの子らは砂上に歌う」

日程:2016/4/14[木]~19[火]
会場:AiiA 2.5 THEATER TOKYO

★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!