舞台「曇天に笑う」 玉城裕規 インタビュー

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撮影:渡部孝弘

新キャストを迎えてパワーアップ!
人気コミック原作の話題作が早くも再演

 

 アニメにもなった人気コミックを原作に、昨年2月に初舞台化された「曇天に笑う」が早くも再演!「もう1回、あの世界で生きられることはすごくうれしい。でも再演という感覚ではないんですよね」と、初演成功の立役者で、主人公・曇 天火(くもう てんか)役を演じる玉城裕規。

玉城「周りのキャストが替わってくるので、またゼロから作る気持ちでやっていかないと、新しいメンバーに対して失礼にあたると思うので」

 

 明治の文明開化の世が舞台の、サスペンスチックな冒険活劇。曇神社の当主である天火ら曇三兄弟と、この神社に居候する忍の風魔一族・白子(しらす)を中心とした物語だが、再演は次男・空丸役に植田圭輔、白子役に松田 凌の新キャストとなる。

玉城「二人とも共演経験があって、よく知っている間柄。ゼロからといってもやっぱり初演キャストのあの世界で一度生きた現実と記憶があるので、植ちゃんと凌ちゃんに替わってどうなるのか、まだ想像がつかない! 特に空丸は、前回の岳ちゃん(佐野岳)と植ちゃんでは見た目も人間性も似ていないんです。岳ちゃんは体育会系のガッチリした感じで、植ちゃんはカワイい感じ。でも見た目と裏腹にしっかりしているのが植ちゃんで、その逆というか(笑)、裏では三男・宙太郎役の朔ちゃん(百瀬朔)と関係性が逆転していたのが岳ちゃん(笑)。演じる役者のタイプはまったく違うだけに未知数で、だから僕としてもすごく楽しみですね」

 

 前回も、人気の若手男優たちが多数出演するなかで座長を務め上げた玉城だが、「初演は全員に支えてもらっていました」と、口ぶりは謙虚だ。

玉城「作品への取り組み方が、皆さんすごく素直ですてきだったんですよね。年齢が近くて、いちばん身近で支えてくれていた圭ちゃん(細貝)や(小澤)亮太が今回もいるというのは、やっぱり心強いです。前回助けられた分、今回は僕が周りを助けたいですね」

 

 玉城演じる天火は、弟たちを支えながら自身の宿命や悪と闘う、長男らしいキャラクター。

玉城「僕自身は一人っ子だし、お兄ちゃん感はまったくないです。基本的には、年下にもイジられる人なので(笑)。カラっと明るくて引っ張って行く力のある天火も、僕自身とは遠いキャラクター。最初に原作を読んだときにもそう感じたんですが、演出によって、より離れました。言ってみれば『原作を忘れていい』っていう(菜月)チョビさんの演出は、僕のなかで画期的だったんですよ。舞台ならではの、生身の人間がやる意味のある天火像の作り方でした。僕も〝生身の人間がやるからこそ〞というのはいつも思っていることなので、今回もチョビさんとディスカッションを重ねて、より深めていけたら」

 

 初演時は、「ゼロからのスタートだったので、プレッシャーはまったく感じなかった」と話す。だが主役としての責任感の強さは人一倍。だからこそ周りは、彼を支えたのだろう。

玉城「演出家の描きたい作品に近づくために、チョビさんの言うことを僕がいちばん聞いて具現化していかないと、とは思っていました。僕は言葉では何もできない人なので、そういう稽古場での居方というようなところでみんなを引っ張っていけたらなと思っています」

 

■WEBこぼれ話

 演出は、劇団鹿殺しの座長でもある演出家兼俳優の菜月チョビ。「曇天に笑う」初演は、菜月の初の外部演出舞台でもあった。少女役も似合う小柄でキュートな女性だが、生み出す舞台は劇団テイストに満ちて泥臭く、実にパワフル! 男優が大半を占める「曇天」カンパニーも、玉城いわく「あのかわいらしい感じからは想像つかないような力強さでまとめて、引っ張っていってくれた」のだそう。「初演のときの顔合わせでチョビさんは、『人見知りなんでよろしくお願いします……(ボソボソ)』みたいなあいさつだったんです。あまり目も合わせないような感じで。でもモノ作りとなると瞬間でガラっと変わって、『ウソつけ!』と思いました(笑)。稽古の最初の1時間はカンパニー全体で筋トレをするんですけど、そのときのスパルタ具合がまたすごい!ギャップがすてきです(笑)」

 2.5次元舞台に新風を吹き込む、彼女の演出にも注目したい。

 

インタビュー・文/武田吏都
構成/月刊ローソンチケット編集部 3月15日号より転載

 

【プロフィール】

玉城裕規
■タマキ ユウキ ’85年、沖縄県出身。’04年より舞台を中心に活躍。代表作は「ロボ・ロボ」「弱虫ペダル」など。そのほか映画「血まみれスケバンチェーンソー」や、4/2[土]公開予定の「のぞきめ」に出演している。

 

【公演情報】

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舞台「曇天に笑う」

日程・会場:
2016/5/27[金]~6/5[日] 東京・天王洲 銀河劇場
2016/6/10[金]・11[土] 大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!