子どもたちとかつての子どもたちに贈る
不朽のファンタジーミュージカル
1981年の日本初演から36年間にわたり、多くの子どもたちの夏の思い出とともに歴史を刻んできたブロードウェイミュージカル「ピーターパン」。その9代目を担い、最も愛らしいピーターパンとも評される唯月ふうかが、この夏も抜群の歌唱力と華麗なフライングで客席を魅了する。今年で4年目。振り返れば、自身にとっての初演はまだ16歳のときだった。
唯月「男の子役はもちろん、本格的なミュージカルもお芝居も、それにフライングもアクションも初めてだったので、最初は『私にできるのかな?』という気持ちしかありませんでした(笑)。それまでは、歌を歌いたいとは思っていたけれど、ミュージカルに出ている自分を想像したことがなくて。稽古場では右も左も分からず、自分らしく取り組むというより、周囲から言われたことを素直に聞くだけで精いっぱい。ただ、たくさんのことを基礎から学ぶうちに、お芝居って楽しいなと思うようになったんです」
「ピーターパン」を「夏になったら必ず戻ってくる私にとっての“原点”」と位置付ける唯月。その醍醐味は、やはり、ピーターたちの冒険を見守る子どもたちの反応だと言う。
唯月「お芝居の途中で、突然、話しかけられたり(笑)。あとは、これは出演者みんなで話していることなんですけど、ゼロか100かくらいの感じで喜怒哀楽を全力で出さないと、すぐにそれを見抜いて、感情移入してくれなくなるんです。感情のなかにあるまた別の感情を表現するような大人向けのお芝居とはそこが大きく違うのかな。ただ、そういった子どもたちが必死に応援してくれたときには、大きなパワーをもらえます。ファンレターもすごくうれしいですね。私、初演のときから、『ふうかちゃんのピーターパンになりたい』と言われることを目標にしてきたんですけど、去年あたりから、そういった感想をもらえるようになったんです。これからも、そんな言葉をいただけるようにもっともっと頑張らないと」
今年の課題は、楽しさだけでなく、ハラハラドキドキするような臨場感をさらに出すこと。定評のあるフライングシーンについても、映画「PAN~ネバーランド、夢のはじまり~」を観て感動した体験から、さらに磨きをかけたいと話す。そんな飽くなき向上心の持ち主は、今回の公演を終えると、間もなく二十歳を迎える。
唯月「台本に対する感じ方が変わってきているように思います。ピーターパンを演じるうえでいいか悪いかは分からないけれど、去年は、演出の玉野(和紀)さんからも、『演技が大人になった』と言われましたし(笑)。最後、子どものままのピーターが、大人になったウェンディ(一緒にネバーランドを冒険した少女)に笑顔で話す内容はすごく残酷。最近はそんなこともより分かってきました。この作品には、大人だからこそグサっと突き刺さるメッセージが実は込められているんです」
自身の成長とともに、進化しつづける唯月ピーターパン。フック船長役の吉野圭吾、タイガー・リリー役の舞羽美海ら新しい顔ぶれとの共演も楽しみだと笑顔を見せる。最後はある密かな目標を打ち明けてくれた。
唯月「(先代の)高畑充希さんは、6年間、ピーターパンを演じていたんです。それなら私は8年できれば嬉しいなと思っています」
インタビュー・文/大高由子
構成/月刊ローソンチケット編集部 4月15日号より転載
【プロフィール】
唯月ふうか
■ユヅキ フウカ ’96年、北海道出身。’12年の「ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞。舞台で、「アリス・イン・ワンダーランド」「デスノート」美内すずえ×ガラスの仮面劇場「女海賊ビアンカ」などに出演。’16年にはミュージカル「スウィーニー・トッド」、映画「燐寸少女」にも出演する。
【公演情報】
ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』
日程・会場:
2016/7/24[日]~8/3[水] 東京国際フォーラム ホールC
2016/8/17[水] 大阪・梅田芸術劇場メインホール
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