ベストオブ・NYオフ・ブロードウェイ賞獲得!
ロック&ダンスミュージカル「ALTAR BOYZ Team LEGACY」
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」「RENT」などを生んだニューヨークのオフ・ブロードウェイから、2005年の最高賞に輝いたロック&ダンスミュージカル「ALTAR BOYZ」が今春、東京と大阪で上演される。日本版の上演は今回で5回目。09年の日本初演から演出を担う玉野和紀とマーク役で出演する中河内雅貴に、本作の魅力と意気込みを訊いた。
■「お客さんと一緒に作り上げていく、あのライブ感が大好です」(玉野)
――2017年版「ALTAR BOYZ」はGOLD、LEGACYの2チームから大阪ではLEGACYチームによる1公演が決定しました。
玉野「レガシー=遺産。もはや伝説を飛び越えて、化石ですから。まさかここまで続くとは思いませんでした。次はどうなるんだろう。」
中河内「次はただの「石」ですね。STONEチームです(笑)。」
玉野「日本初演からみんな8歳ずつ年を取って、義(東山義久)と豪(植木豪)は40代に。」
中河内「ただでさえ若い人よりも体力のある方たちなので、体力面での心配は誰もしていなんですけどね。」
――ダンサーとして、年齢を重ねる魅力とは。
玉野「やっぱり内面ですよね。テクニカルな面はある程度いくとあんまり変わらないんですよ。若い頃はとにかく勢い良く回って、高く脚を上げてというところに注力しがちなんですけど、上手いというのは何でもないことで魅せられる。ただ歩くだけなのに、何が違うんだろうと思わせるとか。いるだけで様になるのが、良いダンサーですよね。」
中河内「確かに。ただ手を前に出すだけでも、やっぱり経験に裏打ちされたものと技術だけのものとでは全然違うから。どうやったらあの渋い感じがだせるんだろうとか。それは経験を積んだ魅力というか、年齢を重ねないと出せないものだと思うので。そういうものを目指していきたいですね。ただ、この作品はダンスショーと違って役があるので。」
玉野「劇中で13、14歳に戻るシーンがあるんだけど、義とかに合わせて28年前って台本に書くと雅(中河内雅貴)が3歳になっちゃうからダメだなとか、いい頃合いを探しています(笑)。」
中河内「3歳はヤバイですね(笑)。」
玉野「LEGACYメンバーの中で誰が一番若いの?」
中河内「俺ですね。次が良知(真次)さん、(森)新吾さん、リーダー(東山義久)、(植木)豪さんの順番です。もう20代はいないですね。なのにこの作品をやるんです。」
玉野「わ~(笑)。これしんどいですからね。」
――オリジナル版は歌がメインで、そこまでダンスシーンはないそうですね。
玉野「最初に音楽を聴いたときに「これで踊らないのか!?」と思って。日本版は絶対踊れるやつらばかり集めてやろうと始まった作品なので。でも、何でこんなにしんどいんだろうね。」
中河内「僕が聞きたいですよ(笑)。今まで出演させてもらってきた舞台の中で、一番しんどいのが玉野さんの舞台です。」
玉野「それ、義も言ってた(笑)。いざ自分も出演するとなると『何でこんなしんどいんだ!』ってなるんだけど、見ている分にはそこまで動いているようには見えない。だから、もっと踊って欲しいってなるんだよね。それはフレッドアステアも同じことを言ってるんですよ。自分の映像を見たアステアが『あんなに息切れてるのに、こんだけしか動いてないのかよ!』って。」
中河内「うわー、すごいですね。」
玉野「それはすごくよく分かる。『ALTAR BOYZ』も5人しか出てませんからね。こういう小さな空間でお客さんと一体化するオフ・ブロードウェイの作品って大好きで、本当に役者一人ずつの実力がないとできないんですよ。出来上がったものを見せるというより、お客さんと一緒に作り上げていくライブ感があるので。そういう感覚がお客さんの中でもヒットして、ここまで続けてこれたのかなと。」
――リピーターの方も多いですから。
玉野「多分話の内容はもうみんな知っていて、それでも一緒に楽しみたいんでしょうね。」
中河内「あと、『この役はこうあって欲しい』という理想がお客様の中に確立してきている。」
■「僕にとって最後の「ALTAR BOYZ」。集大成を全力でお見せします!」(中河内)
――中河内さんがマークを演じるのは今回で4回目です。再演を重ねることで役柄に対する印象は変わりましたか?
中河内「最初は臆病なゲイとして演じていたのが、ゲイの中にも悩みや強み、色んな面があって、彼らを受け入れられる体制も自分の中でできちゃっているので、役としてのキャパシティは初演よりも広くなっていると思います。テーマとして突き詰めてきた可愛らしさに加え、今回はセクシーさや男らしさ、女性っぽさをより出していきたい。踊りも含め、全編を通してマークでいたいですね。初演のときは、素敵な先輩方と同じ舞台に立てることが嬉しくもあり、それ以上に怖かった。とにかく負けないようにと、一生懸命やっていました。今ではまた違うチームワークも生まれて、先輩方とは公私ともに仲良くさせてもらっていますね。」
――玉野さんは、彼らの成長や変化をどうご覧になりますか。
玉野「最初とは全然違いますよね。自分もそうでしたが、やっぱり最初は突っ張っている部分もありました。とくに雅が演じるマークはゲイの役なので。僕も若い頃は女装で笑われたりするのが嫌だった。それは芸ではないという気持ちが強かったんですけど。経験を積むことで、芝居として、その役を通して伝えることが他にあると気づけるんですよね。そうなれば女装でも何でもやれますよ。事実マークはゲイであるがゆえの苦しみを抱え、他のキャラクターたちもそれぞれに違う悩みを抱えているわけですから。」
――確かに人種差別、移民差別など、劇中では様々な悩みが描かれます。そんな深刻さの一方で、舞台はあくまでもエネルギッシュで華やかな印象ですが、演出のポイントは?
玉野「ずっと真剣なトーンで描いていると、いざ本気の場面が来てもちょっとしか変化が出せない。逆に、笑いを交えた面白い雰囲気の中で本気の場面を描くと、そこでの高低差をものすごく出せるんですよね。だから役者としては笑いから本気モードへ、瞬時に戻せる人じゃないとダメなんです。」
――そのあたりも演者の実力が求められる理由のひとつなんですね。LEGACYチームは植木さんを筆頭に、リラックスしたトーク場面での息のあった掛け合いも見ものです。
中河内「劇中の懺悔コーナーは、完全にアドリブです。」
玉野「あれは本当にお客さんが書いたものだから、どんな懺悔コメントが出て来るのか分からない。ただ、あくまでも役として対応するようにとは初演のときから言っています。役として話したり踊ったりすることが面白さに繋がると思うので。」
中河内「たまに東山さん、植木さんが暴走したときは、唯一強く言えるのが僕の立場だと思うので、そこは全体を見ながらやっています。」
玉野「ゲイの強みだよね、『なにやってんのよアンタ!』の一言で流れを変えられるから(笑)。」
中河内「そこは、前回公演で学んだことのひとつです(笑)。」
――最後に改めて2017年版「ALTAR BOYZ」への意気込みをお聞かせください。
中河内「僕個人としては『ALTAR BOYZ』はこれで最後にしようと思っていて、それぐらいの覚悟で挑むので、集大成を観に来てもらえたら嬉しいですね。」
玉野「みんなの中でもこれがラストかなという思いもあるんじゃないかな。若さゆえの稚拙さも描かれる作品なので、そこを作り物ではない形で描くことにも限界がありますよね。茶化さないといられない場面も出てくるんですが、そこをあえて真剣に挑む。お客さんを真顔にさせるぐらい勝負できれば面白いと思うので、そこが一番のテーマになると思います。2、3回と再演の度にハードルは上がりつづけているので、腹をくくって進化した姿をお見せしたいですね。」
中河内「今年も毎公演、全力を出しきります!」
【公演情報】
ALTAR BOYZ 2017
演出:玉野和紀
作:ケビン・デル・アギラ
作詞・作曲:ゲイリー・アドラー&マイケル・パトリック・ウォーカー
出演:
≪Team GOLD≫・・・東京&大阪公演
大山真志、法月康平、松浦 司、常川藍里、石川新太
≪Team LEGACY≫・・・東京公演
東山義久、植木 豪、中河内雅貴、森 新吾、良知真次
★アフタートーク
Gold:2/4(土)13:00、2/5(日)17:00、2/8(水)14:00、2/10(金)14:00
Legacy:2/7(火)14:00、2/9(木)14:00、2/14(火)14:00
★LEGACY×GOLD 合同スペシャル追加公演 上演決定!
2017/2/24(金)~26(日) 東京都 品川プリンス ステラボール
★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!