ゴジゲン初の番外公演『なんかすごいSF的なやつ』が7月6日より下北沢・小劇場B1にて開幕する。
初めての演出で「SFモノ」を手掛ける目次立樹と、ゴジゲン初出演の劇団「犬と串」の看板俳優・藤尾勘太郎、そして二度目の出演となる土田祐太の三人に話を聞いた。
―まず目次さんにお伺いします。土田祐太さん、藤尾勘太郎さんをオファーすることになったきっかけを教えてください。
目次 真っ先にこの二人の名前がでました。
藤尾 なになに!?教えてください。
目次 実は勘ちゃん(藤尾)のお芝居は見たことがないんですけど(笑)、主宰の松居(大悟)が名前をあげて。つっちー(土田)も松居が、企画が上がるたびに名前をあげるので、いつかいつかという感じだよね。
土田 でも立樹からは呼ばれていないよね(笑)!噂はかねがね的な?
目次 福岡の劇団グローブガラパゴスダイナモスの椎木樹人と共演したときに「同世代だったら藤尾がライバルだ」って言ってた。
藤尾 仲良しだからね、俺も。それこそ椎木がいる飲み会で初めて立樹とも会ったよね。
目次 そうそう。そしてつっちーといえば、僕の大好きな劇団「田上パル」の常連さんでずっと見てましたから。
土田 2008年くらいから見てくれていて。
目次 実際、ゴジゲンの『神社の奥のモンチャン(再演)』で共演できてすごい嬉しかった。今も毎日稽古が楽しいですもん。
―今回はいつものゴジゲンの稽古と違うところはあるんですか?
目次 違うのは僕のポジションです。王様みたいな(笑)。でもポリシーとして演出席は作らないっていうのはあります。
藤尾 作らないよね!
目次 下に下に潜り込んでやろうと思って。
土田 稽古が始まってこれまで、演出家然としていることが一回もなくて。初めて冒頭のシーンをやって、その後の一声が「素晴らしい!」。
一同 (爆笑)。
土田 なんの穢れもなく響いたもん、立樹のいい声が。
目次 素晴らしいですもん!
土田 次にもう一回シーンを返して、勘ちゃんが新しいトライをしたときの第二声も「素晴らしい!」って。
藤尾 そっから一週間たったじゃん。それでまた違うシーンをやったときも…「素晴らしい!」って。
土田 結果勘ちゃんが大好きなんだってのがわかったね。それで俺も聞きたかったの、立樹の「素晴らしい」が。でも俺のときは「まっ、良い所も悪い所も…」って(笑)。
一同 (爆笑)。
目次 つっちーのことも素晴らしいと思ってますよ!
土田 でも、空気づくりは立樹が率先してやってくれていて。最初に、「稽古の時間は一か月弱ですけど最終的にはまとまるから、どれだけ自由に枠からはみ出るかってことを意識してください」って。
目次 どうしたらはみ出しやすくなるかをすごい考えて。
藤尾 今回は、俳優が演出をすることの良さやデメリットも含めたうえで、“俳優同士で作る場”を作ろうとしているんだなって。
土田 稽古初日に度肝を抜かれたのが、「本読みをするのは一時間後です。それまでに本読みの“ルール”を決めましょう」っていう稽古をしたよね。即興でチームごとに会議をして。
藤尾 あれは良かったよね。何をテーマに、心がけて読むかっていう。
土田 ルールが三つ決まって。「恥ずかしがらない」、「モチベーションは常に10」、「全てを受け入れる」。
藤尾 いいね!
土田 その後の本読みはとてもよかったよね。
―俳優同士で作り上げようというのは、意図してのことなのですか?
目次 日頃から「こういう風に稽古を進めていきたいな」というのはあったので、今は思うように実践させていただいている感じはあります。実際やってみて、僕がこれだけわがままを言っても、つっちーが「Yes and,」だからって言ってくれて。とりあえず「はい」で、「じゃあやってみよう」ってそのアイデアをみんなで高め合っていく。
土田 基本「No」がなくて、「おもしろそうだ、やってみよう」って肯定して乗っかっていくと、本来の狙いとは違うところに行っても、可能性を広げたり、どこまで外せるかが試せる。とても自由度の高い稽古場です。
藤尾 かしこい!俺は絶賛この脚本をひも解き中。
土田 かしこいってなんだよ(笑)!上からくるなぁ。
―藤尾さんの所属する劇団「犬と串」と違うところはありますか?
藤尾 ゴジゲンは初めてだけど、いつもゲームばっかりやってるんだろうなっていう印象(笑)。今回立樹がやろうとしている演出は、これはこれでオリジナルなんだろうなって思う。俺も俳優のワークショップをよく受けるほうだから、立樹の目指すところがなんとなくわかるし。かえって演出家がちゃんといるより、試されている。こっち側が頑張らないといけないんだなって。
目次 かしこい!
土田 流行らそうとしてるでしょ!
藤尾 演出家がいるときより、自分の役に対してだけでなく、作品をつくるってことに重きを置いていて。
土田 7人が7人ちゃんと背負う感じ。全員参加型の稽古場です!
―ゴジゲン初の番外公演、目指すところは…
土田 アスリートっぽいよね。俳優がいかに良い状態で本番に臨めるかって。
藤尾 どうやって立樹が7人でここまで行くかって。
目次 僕が好きな芝居のジャンルを提示することはできるけど、もっと伸び白があるかもしれないのでうまくはみ出していければ。
藤尾 今回のテーマだね。
土田 はみ出すね。
―面白い稽古をやっているとお聞きしました。
目次 昨日はカーテンコールの稽古をやりました。
土田 これ、ちゃんと説明したらわかってもらえると思うよ!
目次 最初は数字ゲームをやっていたんです。意外と難しくてなかなか目標までたどり着けなくて。
土田 滞っている時に立樹が一言「素粒子」って言ったんです。
目次 「素粒子」って万物を構成している最小単位なんですけど、それって人間の意識によって動きが変わったり、あったりなかったりするらしいんです。ということは人間の意識によって、未来を変えれるんじゃないかって。アスリートがよくやっている成功イメージを持つというのと同じです。なので素粒子を操作しようと思いました。成功イメージをみんなで共有したら行けるんじゃないかと思って。
藤尾 ゴールする前に未来を一回体験しておいて。
土田 みんな興奮状態になって、未来を創ったあとに一からやったらかなり良かったんです。
藤尾 「やったー!うおおー!」っていうイメージのままやったらうまくいって。
土田 だとしたら舞台の初日の成功イメージも描いた方がいいんじゃないかって。それでカーテンコルをやったんです。
藤尾 大成功したね!
目次 トリプルでスタンディングオベーション!
土田 そして脚本家と演出家が花束もらって帰る。
藤尾 小劇場B1で前代未聞だよね。未来をつくると、勝手に引っ張られるんだよね。
―今回どういった作品になりそうですか?
目次 少年マンガのようなアツい物語をやります。
土田 この物語がお客さんにはまると、お客さん一人一人の物語になると思うんです。物語の軸になるのはある科学者なんですけど、なんかすごいやつを発明しちゃって、彼自身が「自分の記憶」と「未来」について旅をする物語になります。ただ“SF”っていうと費日常的なにおいがするけど、でも実は誰しもが生まれて、いろんな環境で生きてきて、それぞれの年齢でこの物語を見る。学生時代に経験したことや、こうなりたかった未来に対して“今こうある”ってところが琴線にふれると、ものすごく人間賛歌的な物語になると思う。
目次 かしこい!
藤尾 かしこい!俺は絶賛この脚本をひも解き中。ひも解けばひも解くほどずるずる出てくるから。
土田 ほんとかっこいいの。勘ちゃん。超戦っている。
藤尾 本当はお酒飲みながらこの芝居の話をしたいんだよね(笑)。「これなんだろう」がまだ多いから。表向きは希望や明るい感じがあるけど、明るいって明るくしようとしてるだけではなくて。辛いことがあるんだけど希望を持たせようとする。そういうふうなルートを通って芝居を作っていきたいな。
土田 タイトルはこんな感じだけど、人間らしい物語をしっかり魅せたい。
―最後にお客さんに向けて一言お願いします!
目次 チラシもポップだし、タイトルもこんな風で…。笑いにくるまれているけど中からじゅわっと熱いものが出てくる感じ。一見、あめ玉なんだけど噛むと血がぶわっと出てくる感じ!
藤尾 すげぇな!
土田 たとえが鋭利だよ!
藤尾 中身は食べ物繋がりかと思った!はみ出してんなー!
目次 こう来たかっていう(笑)
土田 この演出家ヤバいな!
藤尾 俺の意気込みは、メンチカツを食べたら肉汁と一緒に血が出るっていう…
目次 かぶってんじゃん!
土田 血が出ないやつでお願いします。
藤尾 もっとわがままにやって行こうと思います。みんながわがままに「ああしたい」「こうしたい」っていうのをいっぱい出して、この演出家っぽい人を困らせたら面白い作品になるんじゃないかって気がします。
目次 ありがたい!
土田 いろんな情報があふれているなか、この記事を読んでくれているのも奇跡です。3500円っていうチケット代金でいうと、お芝居って形が消えちゃうので「こういう商品です」とは言えないんですけど、一つだけ言えるのは力量のある脚本家と演出家と俳優がそろって精神誠意お届けします。結果見に来てよかったと思っていただけるように稽古を頑張ります!
【プロフィール】
目次立樹(メツギ リッキ)
1985年生まれ、島根県出身。劇団「ゴジゲン」所属。舞台『イヌの日』、『トリスタンとイゾルデ』、北九州芸術劇場プロデュース『しなやか見渡す穴は森は雨』に出演。8月には多摩ニュータウン×演劇プロジェクト『たまたま』出演、to R mansion『にんぎょひめ』脚本を予定。
藤尾勘太郎(フジオ カンタロウ)
1986年生まれ、東京都出身。劇団「犬と串」所属。舞台 串田版『K. テンペスト』、現代能楽集Ⅷ『道玄坂綺譚』、『昆虫戦士コンチュウジャー』、映画『モグラの詩 香港協奏曲』、『めがみさま』等にも出演。
土田祐太(ツチダ ユウタ)
1984年生まれ、新潟県出身。ゴジゲン『神社の奥のモンチャン』、田上パル『報われません、勝つまでは』、土田英生セレクション『算段兄弟』等に出演。
【アフターイベント決定!】
★7/7(金)19:00
「戦極ゴジゲンバトル~松居と東と最強の殴りこみ~」
目次立樹、奥村徹也、堀善雄
ゲスト:松居大悟、東迎昂史郎、本折最強さとし
★7/8(土)18:00
「大村まなる生誕祭~最高に祝えるのは誰だ~」
出演者全員
★7/9(日)18:00
「堀善雄プレゼンツ ゲーム王は俺だ!~なんかすごい盛り上がる的なやつ~」
出演者全員
日程:2017年7月6日(木)~10日(月)
会場:下北沢 小劇場B1
作:堀善雄
演出:目次立樹
出演:大村まなる(劇団プレステージ) 奥村徹也(劇団献身) 木村圭介(劇団献身)土田祐太 藤尾勘太郎(犬と串) 堀善雄 目次立樹
★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!