音楽と語りが芝居のように味わえる、新たなコンサート!
美輪明宏による毎秋恒例のコンサートが今年も開幕する。「シャンソンとおしゃべりと」と銘打たれた今回は、古き良き時代のシャンソンの名曲の数々、さらに美輪ならではの“おしゃべり”が楽しめる新企画だ。
美輪「シャンソンといっても、おそらく今の若い方はご存知ないでしょう。でもシャンソンは甘い恋愛ソングから現実的な問題を扱った歌まで、実に幅広いんです。そうした歌の魅力を皆さんに知っていただきたいと思いました。」
そもそもシャンソンと美輪の縁は深い。
美輪「私自身は10代で、かつて銀座のにあった『喫茶 銀巴里』の専属歌手になり、にシャンソンの名曲を自ら邦訳した『メケメケ』が大ヒットしたのが最初のブレイクでした。19歳でお店の運営も任されていたので、集客を考えていた時に海外の雑誌で文化人が集うパリのカフェの写真を見たら、奇抜な格好をした人達がいる。これだ!と閃きました。そもそも日本の歴史を紐解けば、平安時代から美少年のお小姓さんの文化があるわけです。そこで当時珍しかった紫色のファッションでヒールを履いて銀座を闊歩したところ、マスコミから“神武天皇以来の美少年”と評され、全国的に名前が知られるようになりました。その頃の銀巴里は、岡本太郎さんや遠藤周作さん、三國連太郎さんなど芸術家や作家、俳優の方たちが集まるまさに文化発信地。本当に面白い時代でした。」
そして美輪とシャンソンといえば、2014年のNHK紅白歌合戦で披露した「愛の讃歌」も忘れられない。
美輪「エディット・ピアフの持ち歌と歌唱で有名になった曲です。その他「愛する権利」という曲がありますが、私はフランス語の歌詞に基づき、人間同士が愛し合うことに変わりはないと、どんな愛も裁くことはできず、誰もが愛して傷ついて戦って、でも幸せになる権利があるという、より大きな愛として訳詞をしました。紅白で「愛の讃歌」を歌った後、ツイッターで大変な話題になって、こういう歌を聴きたい方が大勢いらっしゃるのだと知りました。ファンの方からのお手紙や、私の携帯サイトに寄せられるのも身の上相談が多く、皆さん人生の歌が必要だなと思うわけです。シャンソンは色とりどりの人生、主人公を描いていますから、ご自分の気持ちにフィットするものを見つけていただけるようプログラムをご用意しました。楽しんでいただけたらと思います。実際に私の歌を聴いた方は、“映画を見ているようだ”とおっしゃいます。そうそう、きゃりーぱみゅぱみゅさんは、私の芝居を見て“カオス”だって言っていました(笑)。」
銀巴里時代から今日まで、芸能人としてあり続けてきたのは“歌”と“芝居”という核があったからだと語る。
美輪「二つの本物が私の中にあるので何があっても、それがつっかえ棒になってどんな嵐にも倒されないんです。」
取材中に明かしてくれた歌や人生にまつわるエピソードの数々はまさしく歴史であり音楽史と言えるもの。生の歌と語りで、ぜひ堪能してほしい。
撮影:御堂義乗
【プロフィール】
美輪明宏
■ミワ アキヒロ 長崎県出身。16歳でプロ歌手となり、シンガーソングライターの元祖として「ヨイトマケの唄」など数々のヒット曲を生む。主な演劇作品に「黒蜥蜴」「毛皮のマリー」など。「紫の履歴書」「人生ノート」をはじめ著書多数。
構成・演出・出演:美輪明宏
演奏:セルジュ染井アンサンブル
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