旅シリーズと銘打ち、『BGM』『父母姉僕弟君』と公演を重ねるロロ。その目的を主宰の三浦直之に聞いた。
三浦「これまで作品の中に旅というモチーフが繰り返し出てきていて。何でそんなに惹かれるのか、その答えを出せたらというのが、この旅シリーズの出発点。今回、『BGM』『父母姉僕弟君』と続けてやってみて思ったのは、旅をしていくことで偶然誰かに出会うというモチーフが好きなんだろうなということ。そこで何かしら連帯が生まれていくことに興味があって、旅というモチーフを使っているんだと感じています」
旅シリーズ第3弾『マジカル肉じゃがファミリーツアー』は、家族の物語。10年に発表した『旅、旅旅』を大幅にリライトして上演する。
三浦「夏休みなのに、どこにも連れて行ってもらえない娘が、家にあるいろんなものに『エッフェル塔』とかレッテルを貼って、家の中で冒険をしていくというのが大きな流れ。僕はよく『見立て』という手法を使うのですが、それを取り入れるきっかけになったのがこの作品でした」
初演は7年前。歳月が流れ、30歳になった三浦が家族をどう描くのか。
三浦「そこは悩んでいて。自分の思う理想の家族は『父母姉僕弟君』で結構やれた感覚があるんです。だから今回はどうしよう、と。でも違いを言えば、『父母姉僕弟君』は疑似家族。今回は血の繋がった家族です。僕は血の繋がりというものにあまり興味がなくて。だからこそ、それをどう描くかが焦点になるかな、と」
血縁という必然性によって結ばれた集団より、偶然性の中で生まれる連帯に関心があると三浦は言う。そんな三浦の描く家族像とは。
三浦「どちらかと言うと、『これがあるから家族』と決めつけるより、『これも家族だよね』と言う方が好き。そういう連帯のカタチを見つけてフレーミングをしていくことの方が僕にとっては大事なんです。そこで生まれる愛情のあり方みたいなものを言いたくて、作品を書いているような気がします」
いわゆる「べき論」にとらわれない、柔らかな肯定感。今、ロロが多くの若者の心を惹きつけてやまない理由を、そこに見た気がした。
インタビュー・文/横川良明
Photo/村上宗一郎
※構成/月刊ローチケHMV編集部 12月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります
掲載誌面:月刊ローチケHMVは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】
三浦直之
■ミウラ ナオユキ ’87年、宮城県出身。’09年、ロロを旗揚げ。以降、全作品の脚本・演出を担当している。
【公演概要】
ロロ本公演vol.14『マジカル肉じゃがファミリーツアー』
日程・会場:
’18/1/12(金)~21(日) KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
脚本・演出:三浦直之
出演:
板橋駿谷、亀島一徳、 篠崎大悟、島田桃子、望月綾乃、森本華(以上ロロ)、
猪俣三四郎(ナイロン100℃)、北川麗(中野成樹+フランケンズ)、宮部純子(五反田団/青年団)