【観劇レポート】宝塚歌劇 星組公演『霧深きエルベのほとり』『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』

1/1(火・祝)兵庫県・宝塚大劇場で宝塚歌劇 星組公演『霧深きエルベのほとり』『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』が開幕した。

『霧深きエルベのほとり』は、日本を代表する劇作家であり、演劇界に多大な功績を遺した菊田一夫氏が宝塚歌劇の為に書き下ろし、1963年の初演以来、幾度となく再演されてきた名作。1983年の花組公演以降、上演が途絶えていたが、“カール役こそ紅の真骨頂が発揮される”と考えた潤色・演出の上田久美子が劇団に掛け合い再演が決定。生きて行くことの寂しさや切なさ、今は薄れつつある人の情けの暖かさが描かれた珠玉の名作が宝塚歌劇105周年の幕開けを飾る。

舞台はエルベ河に隣接する港町。年に一度のビア祭りの初日を迎え、浮足立った町に、貨物船フランクフルト号が帰港する。情に厚く人間的魅力に溢れながらもどこか哀しみを湛えた船乗りカール(紅ゆずる)が出会った一人の娘・マルギット(綺咲愛里)。自らを「ただの家出娘」と言い張る彼女は、実は父親との確執ゆえ家出した名家の令嬢であった。互いに惹かれあい、身分の差をも乗り越えようとする2人は、父や友人らとの対立にも負けずに愛を貫こうとするが…。

2人の間の埋められない溝に苛立ちながらも愛するマルギットの幸福を願い、苦悩するカール。粗野で軽口ばかり叩いているが、人望も厚く、心根の優しい繊細な男として描かれる彼の魅力は、ユーモアの中に繊細さを併せ持つ紅自身の魅力とも重なる部分が多い。そして、無邪気で可憐な名家の令嬢という浮世離れした純粋さの中に、強さを秘めたマルギットを、愛らしさと強さを併せ持つ綺咲が魅力的に好演。紅と綺咲という今の星組トップコンビならではの輝きと共に、時を越えて愛されてきた甘く切ない恋物語が甦る。

 

『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』は、人々の心に輝きを届ける満天の星々を星組生にたとえ、“誰もが星のように光を与えることができる”というテーマのもと綴られるレビュー作品。

スパニッシュな疾走感あふれるプロローグから始まり、SEKAI NO OWARIやflumpoolの楽曲が使用された若くフレッシュなJ-POPメドレー、黒燕尾での大階段ナンバーまで、星組の“ESTRELLAS(エストレージャス)”が満天の星々を体現し、生き生きとした歌声や躍動感溢れるダンスを披露する。

宝塚歌劇105周年の幕開けに相応しい本作の兵庫公演は2/4(月)まで兵庫県・宝塚大劇場にて上演中。東京公演は2/15(金)から3/24(日)まで東京宝塚劇場にて上演される。