
劇団四季の不朽の名作『オペラ座の怪人』が、ついに福岡に帰ってくる!
フランスの作家ガストン・ルルーの同名小説を基に、重厚な音楽と幻想的な舞台美術で世界中の観客を魅了してきた劇団四季の不朽の名作『オペラ座の怪人』が、9月15日(月・祝)に福岡キャナルシティ劇場でついに開幕!
1996年に福岡・キャナルシティ劇場のこけら落とし公演として上演され、2003年の再演を経て、福岡での3度目となる本作。物語の舞台は、19世紀のパリ・オペラ座。若き歌姫クリスティーヌは、謎の“音楽の天使”の導きによって才能を開花させていくが、その正体は劇場の地下に潜む“オペラ座の怪人”。彼の狂おしい愛と、クリスティーヌを守ろうとする幼なじみラウルとの間で、運命は大きく揺れ動く。華やかな舞台の裏で繰り広げられる、切なくも美しい愛の物語が、観る者の心を深く揺さぶる。
四季では1988年の初演以来、全国10都市で公演を重ね、総入場者数は810万人以上、総公演回数は『ライオンキング』『キャッツ』に次ぐ国内第3位の8,190回を誇る、国内屈指のミュージカル作品『オペラ座の怪人』。このたび福岡公演を前に、本作で2020年からオペラ座の怪人役を演じている劇団四季の俳優・岩城雄太に、本作の魅力など話を聞いた。
自分の人生を変えた作品
――『オペラ座の怪人』を初めて観られたのはいつ頃で、初めて鑑賞された時はどんな感想をお持ちでしたか?
1993年、高校3年生の時に地元・札幌で初めて観ました。舞台の完成度やスケール感に感動したのと同時に、そこに流れる悲しい怪人の“愛の物語”にすごく自分の心を揺さぶられたんです。なぜ怪人はあの場面であんな行動を取ったのだろう?“愛情の形”というものについて考えたりしていました。それまで何も演技の経験はなかったんですが、なぜか「怪人を演じてみたい」と思ったんです。
――そこまで思えたということは、岩城さんにとって『オペラ座の怪人』はとても大事な作品のひとつですね
そうですね。自分の人生を変えた作品ですね。それまでは特に演劇に関することは何もやっていなかったので、東京の大学に進学して習い事として歌を始めました。
――では、実際にそのオペラ座の怪人役をご自身で演じることが決まった時の気持ちをお聞かせください
オペラ座の怪人役のオーディションは受ける機会がなかなか無く…。2020年東京の再演をする際に大きなオーディションが行われることになって、そこで自分がオペラ座の怪人役に合格出来たんです。決まった時は嬉しかったですね。
――高校生の時からの思いが27年の時を経て願いが叶ったということですね。それはほんとうに素晴らしいことですね!
合格した時は嬉しすぎて、そこだけの記憶が飛んでしまっているくらいですが(笑)、母に電話したことだけは覚えています。母にも「いつか僕は怪人を演るよ」と言い続けていたので、すごく喜んでくれていました。
――そんなに長く思い描いてきた怪人を岩城さんはどんな人物像として捉えられていますか?
僕は周りからは明るく社交的な人間として捉えられていますが、僕にも子どもの頃から誰にも言えないコンプレックスや孤独を抱えていて、たぶんそういった感情は大なり小なり誰しもが抱えていると思うんです。コンプレックスを内に秘めて仮面を被っているのが怪人だと思っています。だから、観に来ていただいた皆さまの孤独に寄り添えるような怪人になりたいって思っています。
――そんな怪人をどう演じようと?
なにせ、27年間も自分の中で温めて来たので(笑)、言語化は難しいですが、怪人のイメージが自分の中にはあったんです。でも、オーディションで選ばれて実際に稽古が始まった時に、自信のなさから今まで演じてきた先輩方の声とか演技を真似てしまっていて、オーディションの選考に関わった海外スタッフが稽古の際に『STOP!どうした?雄太。誰かを真似てない?私たちはあなたの中に怪人を見出して選んだのだから、自分らしく演じて』と言われたんです。『怪人の心の中には5歳児くらいで止まった、成長出来ない子供がいる。私たちはあなたの中にもそういった面を見出したから選んだのよ』と言われた時には、その言葉が励みになって感動して泣いてしまいましたね。だから、自分らしく演じようと思ったんです。
――そうだったんですね。ちなみに、その「5歳児の子どもが」というのは、具体的にいうなら「素直な」とか、そういったことになるのでしょうか?
そうですね、たとえば怪人は、子どもの頃から虐待を受けてどこか成長しないまま止まってしまっているとか、5歳児のまま愛情を求め続けているとか、そういう意味で僕は解釈しています。でも、時に天才的で、子どもの描く世界は無限大だからこそ作曲や建築などで人とは違った才能を発揮することが出来ているのが怪人なんです。
他の人の100倍の努力を重ねて…
――ちなみに、物語もセットもすごく壮大ですが、岩城さんはこの作品で一番好きな場面はどこになりますか?
自分の歌のシーンも好きなんですが、2幕の「マスカレード」の大合唱のシーンが好きです。いろんなコーラス、パートが見事に入り混じっていて、何か不思議な緊張感や不安な要素がそこにはあるんです。そして、「マスカレード」のワンフレーズを怪人が一人で歌うシーンがあるのですが、そこに彼が生きてきた人生の姿があるような気がしています。

――緊張感と不安が内包しているというか、このあとの展開をあの場面と曲が予感させますよね。アンドリュー・ロイド=ウェバーの楽曲は素晴らしい名曲ぞろいですが、怪人自身の曲の中で好きな曲を選ぶとしたら?
「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」ですね。あの一曲は、客席に聞かせるわけではなく、クリスティーヌのために歌うようにと演出にもありますが、目の前にいる彼女のためだけに言葉を紡ぐんです。でも、その中で感情もすごく揺れ動くうえに、歌のテクニック的にも大変ですから、そこをしっかり自分でコントロールして歌っています。冷静な自分と怪人として生きる自分の二人が、そこにはいますね。
――そんな歌で言いますと、怪人は歌が天才的に上手だという設定ですが、それを演じる上でプレッシャーを感じることはありますか?
以前の劇団四季の『オペラ座の怪人』では、声楽科出身の方が怪人を多く演じられてきましたが、僕は声楽の専門的な教育を受けたわけではなく、ほかの人の100倍は努力しなければと思って頑張っています。僕はこれまで出演していた作品ではダンサーとしてキャスティングされることもありましたから、『オペラ座の怪人』では俳優として、怪人の歌をどう捉えるかというところで演じていきたいです。それには技術もしっかり必要になりますし、最初に演じた頃から4・5年経って年齢も変われば演じ方も状態も変わっていきますから、そういった点でも常に研究したり、努力もしています。
――そういった努力や心がテクニックに裏打ちされているんですね。その歌といえば、最近のカラオケでは“ミュージカル”というジャンルがあったりするほど、近年ミュージカル人気は少し前よりも増している印象ですが、岩城さんが感じていることは何かありますでしょうか?
近年、テレビでもミュージカル、ミュージカル俳優という言葉をよく耳にするようになってきて、ミュージカル自体が音楽のジャンルの1つとして確立されてきていて、以前だと入っていなかったような曲がカラオケにも入ってきたりしていますよね(笑)。そんなに認知されてきたんだと思うと嬉しいですね。ただ、どんなミュージカルも派手さを求められてばかりになってしまわないように、ミュージカルもお芝居である…ということを大事にして関わり続けたいと思ってます。
――たとえば、舞台に立っていて、認知されてきたなと感じられることはありますか?
『オペラ座の怪人』でいうと、少し年配の男性のお客様がご自身を怪人役に投影されているのかな、男性が多い印象はあります。『ゴースト&レディ』だと原作の漫画のファンが多かったり、今年開幕した『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だと昔からの映画ファンが多かったり、いまいろんな客層の方々にミュージカルが愛されているから嬉しいですね。海外なんかだと、映画を観に行くように舞台を観に行く方が多いですが、日本もそうなりつつあるんじゃないかなって思います。
――最後に、福岡の土地柄とお客様の印象をお聞かせください!
福岡のお客さまはとにかく情熱的だなと。舞台上の俳優と同じ心理と呼吸で観劇されているのではないか?と思うくらいで(笑)、自分たちが舞台上で感じている息遣いを客席からも感じます、拍手も温かく、どんなに舞台に立つのが辛い時でも、客席から応援してもらえている感覚になって力になります。
キャナルシティ劇場は『オペラ座の怪人』のような繊細なキャラクターの心理を描く作品にはちょうどいい劇場で、作品に没入していただけると思います。だから、一緒に心を動かして、情熱的に観て頂けたら嬉しいです。ぜひお越しください。

いよいよ始まるミュージカル『オペラ座の怪人』。心、揺さぶられる感動体験はぜひ劇場で!
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