写真向かって左より
(前列)大空ゆうひ、相葉裕樹、哀川翔、中川晃教、ラサール石井
(後列)池田純矢、橋本じゅん、青木さやか
東京公演の開幕直前に行われた囲み取材の様子と舞台写真をお届けします!
とあるミュージカルの仕込みから閉幕後のバラシまでを描いた、一風変わったバックステージエンターテイメント、ミュージカル「HEADS UP!」。
2015年11月にKAAT神奈川芸術劇場で初演され、わずか12公演ながら幕が開くと瞬く間に評判は広がり、大盛況の中幕を閉じました。芝居・楽曲・ダンスと三拍子揃ったオリジナルミュージカルの質の高さにも注目が集まり、第23回読売演劇大賞演出家部門優秀賞を受賞した本作が、2017年12月より再びKAAT神奈川芸術劇場を皮切りに全国で上演されてきました。そして2018年3月2日(金)、地方公演を経て、満を持しての東京公演が開幕しました。
囲み取材には、原案・作詞・演出を手がけたラサール石井に加え、出演者の中から哀川翔、相葉裕樹、橋本じゅん、青木さやか、池田純矢、大空ゆうひ、中川晃教の8名が登壇。
囲み取材は終始和やかな雰囲気の中行われ、初演に加え、今回も稽古から約5ヶ月間一緒にいるという座組の仲の良さが存分に伝わってきました。
最初にカンパニーの雰囲気について尋ねられると、「新しい方もすっかり馴染んでほとんど変わらないというか同じ空気でやっております。これだけ売れっ子の皆さんがこの作品のために5ヶ月もスケジュールを空けてくださったということは奇跡だと思います。まぁ、その間ちょこちょこ仕事していただいているみたいなのでこっちは安心ですよね」とラサール。そして、「2年前に初演を迎えたキャスティングの中で自分は初めてで、みなさんはプロばっかりで、その中でのびのびと羽を伸ばさせていただいたという状況が続きまして、今回2年ぶりにやりましたが、そのままそれを引っ張って、とっても素敵な集団になったと思います」と哀川がそれぞれ語りました。
ムードメーカーは?という質問には全員一致で「翔さん」と回答。哀川は「俺!?」と驚きつつも、「……俺らしい。」と照れながら回答。
初演の時に作ったグループLINEが、2年間1日も途切れずに続いており、「大体4時半ごろに翔さんが「今から釣り行ってきまーす」って、で、8時頃には「釣れましたー」って、12時に頃には「食べてまーす」って。それにみんなが「おいしそうですね」とかって言って、それが大体。」とラサールがLINEの内容を紹介し、会場の笑いを誘っていました。
それに対して哀川が「大体魚かカブトムシかゴルフだね。この3つしかないですね。」と回答すると、司会者からの「翔さんの日記に対して皆さんで日記を書くような感じですかね」という的確なツッコミに一同大笑い。
続けてラサールが相葉をはじめメンバー何人かで釣りに行ったエピソードを紹介すると、「舞台は劇場入ったら入りっぱなしじゃないですか。朝入って、出る時は夜中じゃないですか。だめですよそればっかりじゃ。やっぱ日光を浴びないと。だから空いてるときは日光を浴びようっていう」と哀川が力説しました。
出演者に対する質問は続き、初演に続き進藤という役で出演を果たす相葉に役として今回パワーアップしたところを伺うと、「パワーアップですか、そうですね。前回は作品をなんとか成立させるためにみんなで一生懸命必死なっていた感じがあるんですけど、今回ようやく再演ということもあって、地方も回ったり、お魚釣りとか行ったり、なんかこう色々とカンパニー全体がぎゅっと濃く、深くなった感じがしていて、僕はあわあわする役なんですけど、みんなに振り回される度合いが前よりも増えたんじゃないかなって思います。」と回答。ラサールに「すごく面白くなった」と褒められ喜ぶ相葉に対し、「あれ本当にやるの?」と橋本がツッコミを入れる。これは、相葉が地方公演あたりから急にやり始め、みんなが本当に素で笑い出したというリアルな笑いのシーンのこと。本番でも行われることが決まったというこの追加シーンに「やらせてくださいよ!」と相葉が橋本に懇願するひと幕も。本番にますます期待が高まります。
続いて、今回の仕上がりに関して橋本は、「翔さんが参加してくださったっていうことも僕には大きな奇跡で、さっきのムードメーカーっていう話もそうですが、それが直接お客様に伝わっていたみたいで、こんなに喜んでいただける作品があるのかと思っています。やっぱりみんなで時間を重ねてやってきたっていうところも、その信頼感とかも大きいと思います。最後の東京なので、それを全部出せればなと。そこで初めて、この僕たちの初演からの2年間がみんなに伝わるような気がします」と熱く語りました。
青木が今回初めて行われる東京公演に対する気持ちを問われると、「お友達?」と聞き間違えた青木は、「お友達もいっぱいね、神奈川だけじゃなく東京でもやってほしいっていうこともあって、今回やらせていただくことで友達もたくさん…」と笑いを誘い、すかさず周りのメンバーから「友だちはいいんだよ、お気持ちお気持ち」というツッコミが入り、チームワークの良さを披露しました。
仕切り直した青木は、「今回神奈川でやって地方回ってきて、じゅんさんもおっしゃってましたけど、とにかくお客様の興奮がすごいんですよね。それは劇中でも伝わってくるし、最後のカーテンコールでも、ものすごくお客さんの気持ちが伝わるんですよね。楽しかったっていう。本当に来てくれてよかったし、また来たいっていう気持ちが伝わってきて、私も稽古からずっと笑ってますし、袖でいつも見てるんですけど、何回観てもおかしくて、どんなに見ても面白いんだよって思います」と語りました。
一方で、今回初参加となる池田は、「皆さんおっしゃってるように2年前の時からとてもみなさんが団結していて仲が良くて、ぶっちゃけ最初はこの中に急にポッと入るのすごい不安だなって思ったんですけど、稽古初日にカブトムシを翔さんからいただいて、もうそこからですね。僕も初演からいるんじゃないかくらいのあったかさでみなさんが接してくれて、なにより稽古場はじめ各劇場とかで翔さんが僕らの胃袋をつかんでくれるわけですよ。日々、毎日何かしらのうまいものがやってくる。それを楽しみに毎日過ごしてたんですけれども、それで神奈川から始まって地方を回らせていただいて、東京に戻ってきて、この東京公演で終わってしまうというのが、ものすごく寂しくて切なくなるくらい、本当に家族みたいなカンパニーに加えていただいて幸せだなーと心底思っております」とカンパニーへの想いを語りました。
さらに、バックステージを描いた本作品において、「劇中劇の女優」としてひとり表舞台に立つ役を演じる大空は、「チームワークはものすごく濃厚だと思いますし、こんなに長い期間同じメンバーでずっと一緒にいられることが少ないと思うので、こんなに自分が舞台や袖でのびのびとできるということもとても貴重だと思うんです。今回去年の年末にKAATで初日をあけてから、いろんな地方を回って本当に各地方のお客様がすっごく喜んでくださって、いっぱい栄養をもらった気持というか。お客様の栄養でまた『HEADS UP!』が育っていって、今度この赤坂で集大成。でもまだまだ出演者の私たちは新鮮で、毎日笑えて、これをまた赤坂のお客様と共有して、本当に千秋楽までにさらに進歩できるようにしたいなぁと思います」と意気込みを語りました。
そして、満を持しての登場と言わんばかりに話したくてうずうずしてたという中川は、「ラサールさんと数年前に4人芝居でご一緒させていただいて、その時に初めてラサールさんと師弟関係の役をやらせていただいたところからのご縁で、『HEADS UP!』に呼んでいただき、初演が生まれました。そして、今回この再演で、昨年KAATから始まって、今回この東京は上演するのが初めてなんです。これね、中毒性があります。一度観た人はそろそろもう一回観に行きたいって思うでしょうし、あっそういえば観たいなと思ってたけどKAATだったからなかなか行けなかったなっていう人もいるでしょう。今回この12日までを逃したらもう当分見られない可能性があるということで、その方々にぜひ来ていただきたい」と声を大にして熱く語りました。
加えて、「そして何よりもやっぱりお客様にそしてファンの皆様に育てていただいてる、これはやっぱり初演から通して思うんですけど、オリジナルミュージカルの醍醐味ですね。皆様に育てていただいてこの東京公演ようやく来る事ができているので、ぜひその育てていただく気持ちを僕たちもありがたくいただきながら120%舞台上でお返しできるような、そういう一番いい状態に地方公演を経て、今出来上がっています。ぜひ多くの方々に観に来ていただけるよう舞台上でも舞台じゃない時もみなさんと一緒に力を合わせて頑張っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します」と続けました。
全員が話し終えると、話題は哀川が25年にリリースするというミニアルバム『再戦~終わっちゃいねえぜ~』の話題に。初演の時にCD化の話が出ており、今回東京公演が決まった際に実現へと向かいました。昨年の12月にCD化が決まると、石井が詞を書き、玉置浩二や若旦那(湘南乃風)に作ってもらったという楽曲も。アルバム最後の曲は哀川が愛してやまない、石井が詞を手掛けた「カブト虫」。「aikoの『カブトムシ』を歌おうとして間違って俺の『カブト虫』出てきちゃうかもね」という哀川の言葉に会場は笑いに包まれました。
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そして最後にラサールと哀川よりお客様へのメッセージが伝えられました。
ラサール「自分たちでいうのもなんですけど、必ずしや爆笑して号泣して、感動してお帰りいただけるという自信、こんなに自信もっておすすめできる作品もないんじゃないかという作品ですので、とにかく見て下さい。絶対に後悔はさせないと思います。よろしくお願いします」
哀川「本日より10日間、ミュージカルHEADS UPは始まります。5ヶ月、もう最後になります。もう死に物狂いでやりたいと思います。みなさんどうか一歩劇場に足を運んでいただければ最高だと思います。よろしくお願いします」
囲み取材を終えると劇場内に移動し、いくつかのシーンが披露されました。
場面転換のために準備をするスタッフの姿は、まさに『HEADS UP!』そのもの。そして、楽曲が流れ始めると和気あいあいとした雰囲気がガラリと変わり、一瞬にして目の前で作品の世界に引き込まれました。
今回披露されたのはごく一部でしたが、一度聴いたらしばらく頭に流れ続けるようなリズミカルな楽曲の数々、それに合わせて繰り広げられるキレのいいダンス、そして実際の舞台裏でも起こっていそうなリアルな人々のやりとり…バックステージという普段はなかなか観ることができない場面を垣間見ることができる素敵な作品でした。
東京公演はTBS赤坂ACTシアターにて3/12(月)まで上演中です。
取材・文/ローソンチケット