【観劇レポート】宝塚歌劇 月組公演 『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』『クルンテープ 天使の都』

3/15(金)兵庫県・宝塚大劇場で宝塚歌劇 月組公演 グランステージ『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』/レビュー・エキゾチカ『クルンテープ 天使の都』が開幕した。

 

第一幕、『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』は、日本を代表する作家・吉川英治のベストセラー小説をもとに、天下無双を誇る剣豪・宮本武蔵の生き様を、武蔵の幼馴染であり一途に彼を想い続けるお通との恋を交えてダイナミックに描き上げた、演出家・齋藤吉正による新作舞台。

 

時代は関ヶ原の戦に勝利した徳川家による治世が始まった頃。その暴れっぷりから「悪蔵」と呼ばれるほどの荒くれ者だった作州宮本村の郷士・新免武蔵(しんめんたけぞう)は、後に人生の師となる旅の僧侶・沢庵に諭され、己の浅はかな行為を悔い改める。名を宮本武蔵(みやもとむさし)と改め、剣術修行の旅に出た武蔵は旅の途中で、孤高の天才剣士・佐々木小次郎と出会う。浅からぬ因縁で結ばれた武蔵と小次郎にやがて訪れる宿命の対決の行方は…。

月組トップスター・珠城りょうが演じるのは、誰もがその名を知る剣の達人・宮本武蔵。修行と闘いの日々の中で人間的に成長していく男気溢れた魅力的な武蔵像を、硬派で男性的な魅力を持つ珠城が見事に体現。力強く己の道を突き進む逞しさの一方で、女性に対しては不器用な武蔵が密かに想いを寄せ、互いに想い合いながらもすれ違いを重ねていく幼馴染のお通を演じるのは、トップ娘役の美園さくら。武蔵を信じ、強い想いを胸に、その背中を懸命に追いかけるお通の姿は、トップ娘役として歩み出した美園自身の姿にも重なるように感じられた。

新トップコンビによる日本物ならではの清らかな恋模様や、武蔵の幼少時のトラウマを絡めた宝塚歌劇版オリジナルの演出、作品の随所に織り込まれた迫力の立ち回りも見どころだ。

第二幕、『クルンテープ 天使の都』は、一幕の和の世界観とは一転、絢爛豪華な南国の楽園・タイを舞台にしたエキゾチックなレビュー。演出家の藤井大介が日頃好んで訪れるというタイの首都バンコクの魅力をふんだんに盛り込み、楽曲や衣装、舞台装置にもタイの伝統的な文化を取り入れた異国情緒あふれる作品となっている。

バンコクに首都を築いたチャクリ王(珠城)と美園が扮する“花”による新トップコンビの門出をイメージした煌びやかな王宮の場面の他、国技であるムエタイや、水上マーケット、華やかなバーに、カラフルなフルーツなど、魅力的なタイの世界が個性豊かな月組生達によって舞台上で色鮮やかに繰り広げられる。

兵庫公演は4/15(月)まで兵庫県・宝塚大劇場にて上演中。東京公演は5/3(金・祝)から6/9(日)まで東京宝塚劇場にて上演される。