宝塚歌劇 月組公演 三井住友VISAカード ミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』制作発表レポートが到着!

1996年の雪組初演以降、上演回数は1,000回を超え、観客動員数240万人を突破するなど、宝塚歌劇を代表する人気ミュージカルの一つとなった『エリザベート』。記念すべき10回目の上演となる月組公演の制作発表会の模様をお届けします!

宝塚歌劇団・小川友次理事長が、宝塚の看板演目として『ベルサイユのばら』と並び立つ、“平成の宝物”のような演目であると語った『エリザベート』は、ハプスブルク帝国最後の皇后エリザベートがたどる数奇な運命に、彼女を愛してしまった黄泉の帝王トート(死)という抽象的な存在を絡めて描いたその独創的なストーリーと、美しい旋律で彩られた数々のミュージカル・ナンバーで多くの人々を魅了してきた傑作ミュージカルだ。

制作発表会ではまず、タイトルロールであるエリザベートを演じる月組トップ娘役・愛希れいかによる「私だけに」と

黄泉の帝王トートを演じる月組トップスター・珠城りょうによる「最後のダンス」の2曲が披露された。

 

エリザベートの没後120年という記念の年に、宝塚歌劇団での記念すべき10回目の上演が決定した『エリザベート』の魅力について、潤色・演出を務める小池修一郎は「その時代のスターたちが常に新しい歴史を築き、リレーのように繋いできた」演目であり、「前の9人がやってきたことを単になぞるのではなく、その人たちが苦労したであろう道のりを歩み、かつ、その上に自分なりの役の像を築いていく、そこに新鮮味が生まれてきているのだと思います。時に、凄くアグレッシブに斬新で革新的なアプローチをする場合もあれば、オーソドックスで基本に立ち返るような正攻法の役作りをする場合もあり、その時その時で個性のぶつかり合いが生まれるのが、凄く面白いなと思っております。」とコメント。珠城率いる「大変ユニークで面白く、それぞれの個性が固まっていない所が魅力」である月組が「『エリザベート』という定番の作品で、どのように変化を遂げ、役に新しい命を吹き込んでいくか、というのを凄く楽しみにしております。」と語った。

 

トートを演じる珠城については、研究科3年の頃から、新人公演で『THE SCARLET PIMPERNEL』のパーシー・ブレイクニー役や、『ロミオとジュリエット』のロミオ役など、「歌のミュージカルというものの中で役を作っていくということを、凄く若い頃にちゃんと経験しているので、今回改めて自分が主役として演じていくことで、自分なりに新しい扉を開いていく」ことを期待しているという。また、“元気で、快活で、一本気”という明るいイメージの強い珠城が演じる“死”については「トート(死)という存在は、本人が死んでいるのではなく、死のエネルギーを表現しています。死には、時に世界を滅ぼすような強い力があると思います。その“エネルギー”ということにおいては、珠城は見事にエネルギッシュな死を演じ切るんじゃないかと凄く楽しみにしております。」と期待を寄せた。

 

本公演で宝塚歌劇団を退団する愛希のエリザベートについては、「初代エリザベートである花總まりさんのような、儚げなあり方と、大鳥れいさんや瀬奈じゅんさんのような、力強い女性としてのあり方と、2つのエリザベート像があるかと思います。愛希は新たにその両方の側面を表現出来るのではないか」と、愛希の集大成となる新たなエリザベート像への期待を語った。

 

2作前の『All for One』では“太陽と土の匂いがする”と言われるような生命力あふれる青年・ダルタニアンを演じていたということもあり、『エリザベート』のトート役を演じることが分かった時は驚いたという珠城。「実は“死”という存在を演じるのは2回目でございまして、前回は小池先生演出の『ロミオとジュリエット』の“死”の役を本公演で演じさせて頂きました。今回も小池先生の演出ということで、小池先生には自分の中で節目節目のタイミングで、自分にとって挑戦となるような役を与えて頂いておりました。役者として、自分にないものに挑戦させて頂けるというのは、本当に役者冥利に尽きることだと思うので、沢山の諸先輩方が繋いでこられたこの『エリザベート』という作品の息吹を感じ、諸先輩方への尊敬の念を抱きつつ、でも今の自分にしか出来ない、今の月組にしか出来ない『エリザベート』をお届け出来たら」と意欲を見せた。

 

退団する相手役の愛希については「彼女とは学年がひとつ違いということもあり、良い意味でお互い遠慮せず、ぶつかり合いながら全身全霊で、共に心をぶつけ合って舞台を作ってきました。今回の作品で、彼女と一緒に物語を作るのは最後になりますが、つい先日の公演(『カンパニー』『BADDY』)で、沢山の仲間が卒業していったように、出会いがあれば、別れもある、それが宝塚だと思います。でも、その一瞬一瞬を全力で、生徒自身、そしてお客様も共に過ごしていくからこそ、その一瞬一瞬がより美しく輝くのではないかなと思っております。自分自身も、今の月組に出来る『エリザベート』を最高の作品としてお届け出来るよう、悩み、葛藤しつつ、でもしっかり前を向いて歩み、素晴らしい作品に出来るよう、努力してまいりたいと思います。」と力強く語った。

 

かねてからエリザベート役を熱望していたという愛希は「この作品に出演できますこと、そしてエリザベートという役を演じさせて頂けますことを、本当に幸せに思いますのと同時に、とても身の引き締まる思いでございます。私事ではございますが、この公演の東京千秋楽をもちまして、宝塚歌劇団を退団させて頂きます。今まで見守っていて下さいました全ての皆様に感謝の気持ちを込めて、私にしか出来ないエリザベートを精一杯務めてまいりたいと思います。『エリザベート』は、とてもご縁のある小池先生の作品です。私は本当に先生に育てて頂きました。沢山の挑戦をさせて頂きましたし、公演が終わるたびにとても充実感を感じていました。そんな小池先生と、珠城さん率いる月組の皆さんと一緒に、精一杯務めてまいりたいと思いますのでどうぞ宜しくお願い致します。」と真摯にコメントした。

 

【質疑応答】

――楽曲披露を終えて…

■珠城りょう
楽曲披露では「最後のダンス」を歌わせて頂いたんですけれども、小池先生は、私が力強くワイルドでエネルギッシュな“死のエネルギー”に見えるようにということでこの曲を選んでくださったのかなと思います。実際、この歌を1曲歌うだけでも、かなり体力的にハードですので、本番に向けてもっともっと感情をのせて歌っていけるようお稽古を進めていきたいと思います。

 

■愛希れいか
私は「私だけに」という楽曲を歌わせて頂きましたが、娘役でこれだけの大曲を歌わせて頂くということは中々ないですし、やはりとてもエネルギーがいる楽曲です。でも、この楽曲はメロディラインがとても素晴らしく、感情をのせようのせようとしなくても、音楽自体が彼女の心情を表しているので、ストレートに歌えば自然と感情がのってくる楽曲だと思います。この曲は凄く憧れの曲でしたし、歌わせて頂けてとても幸せなんですけれども、やはりとても難しいので、本番に向けて精一杯練習したいと思います。

 

――歌えることが嬉しい楽曲は?

■珠城りょう
エリザベートの強さと、トートの、強いけれども儚い所が出る『私が踊る時』。この歌は凄く壮大で美しいんですけれども、最後は切ない所もあるので、私と愛希が実際にトートとエリザベートを作っていった時、この楽曲がどういう風になるのかなというのを自分自身楽しみにしております。

 

■愛希れいか
歌えて嬉しい楽曲は「パパみたいに」。この楽曲を歌えることがとても嬉しいですし、あの場面が好きです。彼女(エリザベート)の一番根本を表している楽曲だと思いますので、歌うのがとても楽しみです。

 

――トップコンビとして共に作品を作り上げてきた中で改めて感じた相手役の魅力とは?

■珠城りょう
彼女とは、ひとつしか学年が違わないということもあって、下級生の頃から共に切磋琢磨しながら過ごして来ました。彼女が、かなり早くにトップに就任していたので、私はそれを近くでずっと見守って来た、という形ではありましたが、彼女の舞台に関する真摯な姿や、妥協しない精神というのは常々感じていましたし、彼女は凄く努力の人だと思います。だからこそ、今こうして実を結んで大輪の花を咲かせられるようになったのではないかなと思います。彼女の舞台に対するストイックさというのは、学年がひとつ上の私からも尊敬できるところですし、自分と同じだなと感じる所があるので、その点が凄く魅力だと思います。

 

■愛希れいか
「以前(トップ就任当初に同じ質問を投げかけられた際)は「包容力」というようなことをお答えしたような気がするんですけれども、やはりその点は、宝塚音楽学校の頃から全く変わりません。トップになられて2年になろうとする中でも、懐の大きさや、舞台にまっすぐ誠実に向き合っているお姿は変わらないですし、組子のみなさんと楽しそうに接されているやわらかいお人柄というのもずっと変わりません。そのお人柄がとても魅力だと思います。」

 

【こぼれ話】

トートがどのような存在なのか改めて考えた際「この物語の中で、彼が一番純粋で、人間らしいのではないか」と感じる部分があったという珠城。相手役の愛希も、やわらかく包容力にあふれた人柄が魅力であると語る珠城が作り上げる、エネルギッシュで純粋なトート。そして、「(どちらかというと)強くなってしまうかも」とはにかみながらも、「彼女が強くなる前の少女の部分を大切に演じたい」と語った愛希の宝塚人生の集大成となる、儚さと強さを併せ持ったエリザベート。互いに尊重し合い切磋琢磨してきた2人が組子と共に描き出す新たな『エリザベート』の世界に期待が高まる。

 

公演は、兵庫県・宝塚大劇場で8/24(金)~10/1(月)、東京宝塚劇場で10/19(金)~11/18(日)上演。

 

 

撮影・文/ローチケ演劇部(ミ)
撮影/ローチケ演劇部(タ)

 

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