【観劇レポート】宝塚歌劇 雪組公演 三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』

11/9(金)兵庫県・宝塚大劇場で宝塚歌劇 雪組公演 三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』が開幕した。

 

『ファントム』はガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」をもとに、脚本アーサー・コピット、音楽モーリー・イェストンによって1991年に初演。宝塚歌劇では2004年に宙組により初演され、心に響く楽曲の数々を散りばめたロマンティックな舞台が高い評価を得て、その後の再演も好評を博し、常に上演希望が寄せられる人気ミュージカルとなった。今回の再演では、伸びやかな歌声に定評のある望海風斗がファントム役に挑む。

19世紀後半のパリ。オペラ座のパトロンの一人であるフィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵(彩凪翔/朝美絢)は、オペラ座通りで歌いながら新曲の楽譜を売っていたクリスティーヌ・ダーエ(真彩希帆)の声に魅了され、彼女がオペラ座で歌のレッスンを受けられるよう取り計らう。同じ頃、オペラ座では支配人のジェラルド・キャリエール(彩風咲奈)が解任され、プリマドンナである妻カルロッタを伴ったアラン・ショレ(彩凪翔/朝美絢)が、新支配人として就任していた。

 

素顔を仮面で隠しオペラ座の地下に住む怪人・ファントム(望海風斗)は、カルロッタの衣装係として働き始めたクリスティーヌの天使のような声を聴き、歌の指導をさせて欲しいと申し出る。やがて行われたコンテストで、まるで神が舞い降りたかの如く歌ったクリスティーヌは大喝采を浴び、「フェアリー・クイーン」のタイターニア役に抜擢される。「フェアリー・クイーン」初日。罠と知らずカルロッタに勧められた飲み物を口にしたクリスティーヌは、突然声が出なくなってしまう。騒然となった舞台に怒り狂ったファントムが現れ、彼女を自分の棲家へと連れ去っていく。その行動はクリスティーヌへの愛の表現にほかならなかったが、それが彼を悲劇の結末へと向かわせることとなる……。

 

以前から、演じてみたい役の1つとしてファントムを挙げていた望海。満を持しての挑戦となる今回、望海は、地下に住まう“オペラ座の怪人”としての仮面の下に、愛を求め、美しさや音楽に対する純粋な心を秘めたファントムの繊細な心の動きを、その美しい歌声で細やかに表現している。歌を愛し、舞台で歌うことを夢見るクリスティーヌと同様に、夢見た舞台で歌う真彩の清らかな歌声は、役とシンクロし、まさに“天使の歌声”のように観客を魅了する。望海と真彩という歌唱力に定評のあるトップコンビによる楽曲「HOME」や「You Are Music」のハーモニーはやはり素晴らしく、心が洗われるような美しい響きが劇場中を包み込む。彩風演じるキャリエールとファントムが美しい“真実”を打ち明け合う「You Are My Own」も、響き合う落ち着きのある歌声の中で、2人の長年の苦悩や愛情が徐々にとけ合い、通じ合っていく様を感じることが出来る、心揺さぶられるナンバーとなっている。

 

宝塚歌劇では4度目の上演となる今回。映像も駆使した新たな演出により生まれ変わった雪組版『ファントム』の兵庫公演は12/14(金)まで兵庫県・宝塚大劇場にて上演中。東京公演は2019/1/2(水)から2/10(日)まで東京宝塚劇場にて上演される。