『無伴奏ソナタ -The Musical- 』再演で描く、みんなの代役としての幸福論
平間壮一主演のミュージカル『無伴奏ソナタ -The Musical-』が再演される。音楽の天才、クリスチャン・ハロルドセンの数奇な人生を演じる平間は、「人ってどうあるべきなんだろう、と初演を終えてから考え続けている」と、作品に出会い芽生えた思いを語る。
「幼児期のテストで自分の得意なことや適職がわかる世界の物語で、それってすごくラクそうだし楽しそうだと最初は思っていました。でも、そんなことはないんだなと。幸せってなんだろう、幸せを求める人間ってなんだろう、と初演時からずっと考え続けているんですが、答えは見つかっていないですね。人間って嫌なこともあるから成長しようと思える。すべてが良いことばかりだったら、人って止まってしまうのかもしれないと考えるようになりました」
今回も再び成井豊が脚本・演出・作詞を手がる。成井の明るさに平間は救われたという。
「初演時はストレートプレイの作品をミュージカルにするということで、その部分に時間をかけて作っていたんですよね。今回は成井さん含め、みんなで幸せについて話して、ひとつ答えが見つかったらいいなと思います」
共演にはキャラメルボックス版で三度クリスチャンを演じてきた多田直人も名を連ねる。その存在が平間に大きな影響を与えた。
「前回の稽古は多田さんがいらっしゃったので緊張していて。真剣な眼差しで観ていてくださるんですが、それがプレッシャーで(苦笑)。今回はもう少し自信を持って、自分の役として台本と向き合えるんじゃないかな。これまで、役がこの感情になるのはこういう理由があるから、と決めてやっていたんです。でも、クリスチャンを演じるなかで、理由はわからないけど涙が出ることって人間にはあるし、わからないままでいいんだと初めて思えた。そこからまた芝居が楽しくなったので、この役と、同じ役を演じた多田さんに出会えてよかったです」
音楽を禁止されてもやめられないクリスチャン。その姿に、平間は人間の本質を見る。
「人間って誰しも理性を飛ばして無茶苦茶なことをしてみたい、型から抜け出してダメだと言われたことをやりたいという願望を持っている。そんな“理性を飛ばしたいみんなの代役”としてステージに立って見せるのが役者の仕事だし、これからも僕は◯◯ジャンルの俳優ではなく、みんなの代役でい続けたいなと思いました。あと、クリスチャンはほぼ聴こえないような小さな声でのシーンもあったんですが、それでも客席の後ろの方まで伝わった実感があった。それで、声が大きくなくてもいいんだなと。自分はずっと初心者のつもりで一生懸命頑張っているだけだから、『セリフは大きな声で』みたいに最初に教わったことをずっと守っているんですよね(笑)。それを変えるきっかけをくれた作品でもあります」
がむしゃらに頑張ってきた平間にとって、クリスチャンは「無理をしない」という考えを与えてくれた存在だと語る。
「頑張ってたどり着く結果もあれば、勝手に巡ってくる結果もある。僕も彼のように頑張る時期があったからこそ、流れに身を任せることの大切さを教えてもらった気がします。この作品は楽しいだけの物語ではありませんが、皆さんが日々のなかでつらく感じていることを僕が代役としてステージに立って演じて、少しでも皆さんの助けになればいいなと思っています」
最後にいまの平間壮一にとっての幸せを問うてみると「時間があること」だと笑う。
「ここ数年は時間が過ぎるのが早すぎて、あっという間に一日が終わってしまう。時間があることは幸せなことだなと思います」
インタビュー・文/双海しお
【プチ質問】Q:手土産を選ぶポイントは?
A:いろいろ悩みますが、結局ヨックモック一択ですね(笑)! 先日、久々に自分用に買って食べたんですが「いや、これだな」と。間違いないです。
※構成/月刊ローチケ編集部 5月15日号より転載

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【プロフィール】
平間壮一
■ヒラマ ソウイチ
ʼ07年に「FROGS」で舞台デビュー。その後、数多くの舞台、ミュージカルに出演。近作は舞台「コーカサスの白墨の輪」「MONDAYS」など。
