【連載】『FUN HOME』大好きローチケ演劇部員が送る、FUN HOMEの楽曲解説企画第2弾!

『Come to the Fun Home』

この作品のタイトルにもなっている「FUN HOME」の意味は、実は「楽しい家」ではありません。Funeral Homeの略称で、意味は葬儀屋。葬儀屋が家業であるベクダル家で、子供たちが勝手に呼んでいる彼らの家の愛称なのです。生まれた時から家が葬儀屋だとあまり何とも思わないのでしょうか、なんとも可愛らしい愛称ですよね、センスがいい。

その子供たちのセンスが光るのがこの1曲『Come to the Fun Home』。ベクダル葬儀屋のCMを作ろうという遊びのシーンです。そこで披露されるのは大人顔負けのロックンロール!彼らにとって棺桶はステージ!遊びなのに、すごいクオリティの高さ…!

歌詞は文面で見ると少しシュールです。

一部簡単に紹介すると、

“おじさんが死んだとき、ママが死んだとき、どこに行けばいいかわからない?ならFUN HOMEへどうぞ!うちの棺には内側にサテンのラインも!どこにも負けない遺体処理 !”

といった感じです。この歌詞を、子供たちがロック調で歌っていると想像してください。なかなかセンスの良い子供たちだと思いませんか。本作1番笑顔になれるシーンと胸を張って言えます!

ちなみに、この時点で彼らは一度も死体を見たことはありません。「葬式」、「死」などに対して、特別何も思っていないのでしょう。

しかしこの曲のすぐ後に、小アリソンは初めて死体を見ることになります。父が、手伝ってくれとアリソンを遺体処理室に呼び出すのです。そのシーンを思い出している大アリソンの戸惑いや、小アリソンの恐れが、この曲の明るさと対象的な深刻さを演出しています。

本作いち明るいこの曲、是非一度、聞いてみてください。子供たちの生気あふれる葬儀屋のCMを、生で見てみたいと思うのではないでしょうか。

※子供時代のアリソン=小アリソン、大学時代のアリソン=中アリソン、大人のアリソン=大アリソン

文/ローチケ演劇部員(有)

 
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