ミュージカル『BOOP! The Musical』開幕前会見&初日公演レポート

©梅田芸術劇場

1930年代に登場し、今なお世界中で愛されているキャラクター「ベティー ブープ™」を主人公としたミュージカル『BOOP! The Musical』。白黒アニメの世界から現代ニューヨークへと飛び出した彼女が、新たな仲間たちとの出会いを通じて「自分らしく生きること」の意味を見つけていく、心躍るストーリーが繰り広げられる。

5月27日(水)の初日公演前には、東急シアターオーブで開幕前会見が行われ、礼真琴松下優也水江建太大澄賢也東山義久柚希礼音、演出のジェリー・ミッチェルが出席した。開幕前会見と初日公演の様子をレポートする。

開幕前会見

演出・振付はトニー賞受賞のジェリー・ミッチェル、音楽はグラミー賞受賞のデイヴィッド・フォスター、脚本はボブ・マーティンとブロードウェイを代表するクリエイターが集結して製作された本作。日本では今回の公演が初上演となる。演出のジェリーは日本版ならではの演出を聞かれると、「この人たちです。全員素晴らしい。全員がスターです。素晴らしい才能を持っています。8週間ご一緒させていただいていますが、毎日が喜びでいっぱいでした」とキャストたちを絶賛した。

宝塚歌劇団退団後、初のミュージカル出演となるは、「(初日公演に向けて)緊張はしておりますが、共演者の皆さんがスペシャルな方ばかりで、その方々と一緒に行う稽古で毎日、緊張していたので、今日は思いきり楽しみたいなと思っています」とコメント。ベティーの真っ赤なミニスカートドレス姿について聞かれると、「きっとみんなびっくりするだろうなと思っています」と満面の笑みを見せた。

これまで男役トップスターとして活躍していただけに、女性を演じることに苦労もあったそうだが、「皆さんのおかげでどんどんなじめるようになりました。皆さんに持ち上げていただいてここまで来れたので、本当にハッピーな稽古だったなと思います」と話した。

また、これまで筋肉の美しさが礼の持ち味のひとつでもあったが、ベティーという役を演じるにあたってはボディメイクにも気を配ったといい、「まさに今、(ボディメイクを)頑張っている最中です。千穐楽まで努力し続けたいと思います」と明かした。

そんな礼の“初めての恋のお相手”となるドウェイン役は、松下水江のダブルキャスト。松下は、「最高に楽しいです!」とにっこり。続けて、「男として、礼さんに突っ込まれないように一生懸命頑張っています。『そこ、ちゃうちゃう』と言われてしまうかもしれないので(笑)、ちえさん(柚希)にアドバイスをしてもらっていました」と稽古を振り返った。

水江は、「僕は、(礼に)リードされそうになっていたことはありますが」と苦笑いを浮かべながらも、「すごく助かりました。いろいろなことを勉強させていただいて、毎日、明るく稽古をさせていただいて幸せでした」と思いを寄せた。

グランピー博士役は大澄東山がダブルキャストで演じる。大澄は「僕はジェリー・ミッチェルさんの作品に出たいとずっと思っていたので、今回、この作品に出演でき、そしてジェリーから稽古でディレクション、振付を受けられて、毎日が本当に幸せでした。僕にとっては、かけがえのない宝物になりました」と熱い思いを吐露。続けて、東山も「ジェリーさんのハッピーオーラが、音楽にも演出にもすべてに詰め込まれたこの作品に参加できて幸せです。いろいろと不安なこともありましたが、ジェリーさん、そして賢也さんのご指導のもと、ここまでこられたことが本当にうれしいです」と喜びを語った。

そして、ヴァレンティーナ役の柚希は、「ジェリーさんが(稽古で)すべてやってくださるので、それが真似をしたいくらい素敵なので、すべて真似をして作ってきました。日本版では新たに振付を増やしてくださっているので、そこも日本版の見どころとして楽しんでいただけたらと思います。私もジェリーさんとの8週間が宝物になりました」と今回の稽古の日々について言葉にした。

本作は、柚希にとって、宝塚退団後、初共演作となる。が「無感量。大歓喜。本当に大喜びです」と共演を喜ぶと、柚希も「礼真琴ちゃんの退団後、初のミュージカルに関われることができて、本当に感動しております。伸び伸びとできるようにみんなで支えていきたいと思います」と笑顔で話した。

初日公演レポート

©梅田芸術劇場

(ドウェイン役は松下、トリーシャ役は鈴木瑛美子、レイモンド役は渡辺大輔、グランピー役は大澄賢也

日本で初めてのお披露目となる今回の公演。開幕前のアナウンスが入ると、会場からは大きな拍手が上がり、期待度の高さが感じられた。

物語は、1930年代、白黒のトゥーンタウンから始まる。永遠のスター、ベティー ブープ™(礼真琴)は、スポットライトを浴びる華やかな世界に生きていたが、その裏で“平凡な一日”に憧れを抱いていた。

そんなある日、発明家の祖父のような存在であるグランピー(大澄賢也)の装置を使い、ベティーはカラフルな現代のニューヨークへタイムワープしてしまう。色とりどりの洋服をまとったニューヨーカーたちに驚きながらも、夢を追う青年ドウェイン(松下優也)やベティーの大ファンのトリーシャ(鈴木瑛美子)、トリーシャの叔母で活動家のキャロル(まりゑ)、ニューヨーク市長候補のレイモンド(渡辺大輔)らと出会うベティー。やがて、彼女の存在が街と人々の未来を動かしていく。

一方、ベティーを心配して追ってきたグランピーは、40年前にタイムワープした際に出会った、宇宙物理学者のヴァレンティーナ(柚希礼音)と再会。互いに惹かれ合いながらも離れ離れになってしまった二人の恋の行方にも注目だ。

舞台セットはシンプルながら、ステージ後方のパネルに映し出される映像によって次々と場面が切り替わり、観客を作品世界へと引き込んでいく。白黒のトゥーンタウンと、現代のニューヨークの華やかで色彩豊かな世界とのコントラストも鮮やかで、観ているだけで心が弾む。アンサンブルたちの動きがぴったりとそろったダンスも素晴らしい。楽曲が終わるたびに大きな拍手と歓声が起こり、観客も一体となって作品を楽しんでいる様子が伝わってきた。

ベティーを演じたは、かわいらしい声や仕草までベティーそのもの。とにかくキュートでセクシーで愛らしい。指先から足先まで神経の行き届いた表現で、ベティーというキャラクターを体現。まるでアニメの世界から飛び出してきたかのような愛らしさを振りまいていた。さらに、美しい高音を響かせる歌声も圧巻で、オープニングナンバーから観客を魅了した。言わずもがな、ベティーというキャラクターさながらのスター性をまとった姿は圧倒的で、本作の中心として観客の視線をさらっていた。

松下が演じるドウェインは、夢を抱きながらも一歩を踏み出せずにいる青年。松下は、そうしたドウェインがベティーとの出会いをきっかけに少しずつ変化していく姿を丁寧に演じた。さらに、迷いを抱えながらも、内に芯の強さを持つ人物像がしっかりと伝わり、ベティーを励ますセリフにも説得力が宿っていた。それはきっと松下自身が持つ強さや真っすぐさといった魅力が、役柄と自然に重なっていたからだろう。

鈴木が演じたトリーシャも印象的だった。自分に自信が持てず、ベティーに強い憧れを抱いていたトリーシャは、本物のベティーとの交流を通して自分らしさを見つけていくのだが、鈴木は、そんなトリーシャの明るくエネルギッシュな姿と、内面に抱える繊細さをバランスよく表現し、キャラクターに深みを与えていた。

グランピー博士役の大澄は、お調子者でチャーミングなキャラクターを軽やかに体現。アニメーションのようなコミカルな動きを取り入れながら、客席の笑いを誘った。

ヴァレンティーナ役の柚希は、大人の魅力が際立っていた。初めての恋に戸惑うベティーとドウェインとは対照的に、グランピー博士と情熱的な恋模様を繰り広げる。大澄との息の合ったダンスシーンも大きな見どころの一つだ。

カーテンコールには、演出のジェリー・ミッチェルを始めとしたクリエイタースタッフも登場し、「素晴らしいキャスト、素晴らしいオーケストラ、素晴らしい観客の拍手を贈ります!ありがとうございました!」と挨拶。その後もスタンディングオベーションは鳴りやまず、礼と松下は3度にわたるカーテンコールに応えた。

終始ハッピーな空気に包まれ、観る者を自然と笑顔にしてくれる本作。礼真琴にとって新境地でありながら、その魅力を存分に発揮した代表作のひとつになりそうだ。劇場全体が熱気と高揚感に包まれた、最高の初日公演となった。

©梅田芸術劇場
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取材・文・撮影(※開幕前会見のみ)/嶋田真己