EXILE NESMITHインタビュー|青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』

1981年の日本初演以来、39年目を迎えるブロードウェイミュージカル『ピーターパン』。
今夏のピーターパンには、3年連続で10代目となる吉柳咲良が務め、フック船長/ダーリング氏をEXILE NESMITHが22代目として演じることになった。
ウェンディを昨年に引き続き河西智美、タイガー・リリーを2017年にも演じ、本作で芸能界復帰を果たす宮澤佐江がキャスティングされている。

今回は、本作が本格ミュージカル初挑戦となるEXILE NESMITHにその意気込みを尋ねた。


――今回で本格的なミュージカルは初挑戦となります。フック船長/ダーリング氏を演じることが決まった時の率直なお気持ちはいかがでしたか?

NESMITH「もう、ビックリしましたね。何年も前からずっとミュージカルにはチャレンジしたいと思っていて、事務所のスタッフさんやメンバーにも話はしていたんです。数年前に劇団EXILEの舞台に出演したんですが、その時に自分としては得るものがあって。自分が楽しいと思ってやっていたんですけど、それを第三者から見ても「ネスさん、水を得た魚みたいだよ!」「めっちゃ楽しそうにやってたね」と言っていただけたんです。自分が表現者として、歌はもちろんありつつも他にも何かできることがあるんじゃないか、それはこういう形なんじゃないかと感じていたので、いつか挑戦したいという気持ちはずっとありました。いろいろな巡り合わせがあって、今回の話をいただいて…もう、ぜひやらせていただきたいです、とすぐお返事しました」


――フック船長という役についてはどのようなお気持ちでいますか?

NESMITH「最近、ビジュアル撮影などもやるようになって“ホントに僕がフック船長をやるんだ”って日に日に思うようになりました。そういう瞬間が本当に毎日あるんです。映像を拝見させていただいたり、台本を読んだりする中でだんだんと自分の中にフックが生まれてきて、もっとこういう風にしたいなというものも生まれてきました。フック船長の中にも正義があって、貫いている芯のようなものは感じています。今はそういうイメージがどんどん湧き上がっている感じですね」


――『ピーターパン』は1981年の日本初演以来、ずっと上演を重ねている作品です。多くの人に愛される魅力はどこにあると考えていますか?

NESMITH「僕が子どもの頃、“今年のピーターパンは相原勇さん”ってテレビでやっていたのを憶えています。今回出演が決まって改めて魅力を考えてみると、やっぱり一番はピュアなんですよね。大人になっていろいろなしがらみがあったり、考えすぎてしまったりすると思うんです。それが、この作品に出合うことでピュアな、純粋な想いを忘れちゃいけないっていうことに気付かされる。大人になると、変に合わせてしまったり守りに入ってしまったりもすると思うんですが、冒険心の大切さも感じさせてくれるんです。登場人物それぞれのキャラクターに、ピュアな気持ちがある。いろんな場面でそれが見えてくるし、そこが大人にも愛されて、子どもには冒険してみたい!と大きく心が動くんじゃないかな。今回は藤田俊太郎さんの演出で、プロジェクションマッピングなど今だからこそできる演出もたくさんあると思うので、そこも相まってより愛される作品になるんじゃないかと思います」


――ミュージカルということで、歌も大きな要素のひとつとなりますが、EXILEでの歌とは違いますか?

NESMITH「やはり歌詞というよりも、台詞なんです。普段歌っているアプローチとは違って、台詞として届けないといけないんです。歌稽古をやってみて、歌なんだけど、しゃべりという印象はすごくありますね。自分の独りよがりな歌い方じゃダメだな、と。周りの情景やシチュエーション、相手にどんなキャストがいて、どういうふうに届けるのか。そういうことがすごく大事だと感じています。あくまで台詞があって、そこに音楽がついているという感じですね。まだ模索しているところです。台詞を伝えるために、もっとバリエーションが欲しいですね。前後のストーリーの流れを読んで、どうアプローチしていくべきかは凄く考えています」


――本格的な稽古はこれからだと思いますが、稽古で楽しみにしていることは?

NESMITH「そうだなぁ…差し入れですかね(笑)。どなたがどんな差し入れをしてくださるのか、僕もどんな差し入れをしたらいいか、気になってます(笑)。友人に飲食店をやっている人がいるので、そこに協力してもらって、何かいい差し入れができないかな?と思っています」


――キャストの皆さんの印象はいかがですか?

NESMITH「いい人たちでした(笑)。引き続きでやってらっしゃる方もいる中に初めて入っていくので、やっぱり緊張していて、皆さんの空気感の中にどういう風に合わせていこうかと思ってたんですけど。皆さん気さくに声をかけてくださって、やりとりできたので安心しました。吉柳さんは、本当にしっかりしてる。僕は17歳の時にオーディションを受けたりしていたので、咲良ちゃんの年齢の15歳の頃は…よくいる田舎の中学生でしたね。漠然と歌がやりたいなぁとは思っていたけれど、具体的に何かをやってたわけでもないし、将来のこととかは考えてなかった。咲良ちゃんは13歳でピーターパンになっていて、この作品の中では先輩。自分が咲良ちゃんくらいの年齢だったときを考えると、見ている世界も違うだろうし、すごく芯のある子だなと感じました。というか、すごく頼りになる! 肝も据わっているしね。ピーターパンとフック船長の関係はすごく大事な部分になると思うんですけど、いい形になりそうな予感がしています」


――今後の意欲として、ほかのミュージカルへの挑戦は考えていますか?

NESMITH「すごくありますね。僕にはEXILEのヴォーカル&パフォーマーという立ち位置がありますが、昔から一緒にやっているSHOKICHIが音楽を作っていたりしている中で、僕は自分をどんな形で表現していこうと考えたときに、やっぱりミュージカルをやりたいんですよ。今回の出演をきっかけに、ミュージカルというものをちゃんと築き上げていきたいし、そういうチャレンジ、道があるんだということを後輩たちにも示していけたらいいな、という想いはありますね。芝居をやっているメンバーはたくさんいますが、ミュージカルや生の舞台はまだ多くないので、そこを自分が先駆者として作っていきたいですね。おこがましいかもしれませんが」


――最後に、公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

NESMITH「ポスターなどのビジュアルを見て頂ければわかると思うんですが、どハマりなので(笑)。でも本当に、そのビジュアル以上の、お芝居や僕なりのフック船長を観ていただきたい。夏休み中なので、お子様連れでいらっしゃる方もいると思いますが、大人の方も童心に戻るような気持ちで…ネバーランドに来て、体感していただきたいですね」

 

インタビュー・文/宮崎新之