1997年よりオフ・ブロードウェイで初上演されロングランを記録し世界各地で上演、2001年には映画化され、サンダンス映画祭観客賞、監督賞など数々の賞を受賞、マドンナやデヴィッド・ボウイなど数々のセレブリティ達も熱狂し、舞台・映画共に世界中に一大ブームを巻き起こした「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」。
7年ぶりとなる待望の日本公演が本日8月31日より開幕!新ヘドウィグには、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞(2017年)、第22回読売演劇大賞最優秀男優賞(2015年)など俳優として輝かしい受賞歴を持ち、ミュージカル「王家の紋章」「メタルマクベス」など多くの大作舞台の出演を果たす浦井健治が演じ、イツァークには、年齢・国籍・性別非公表の4人組バンド女王蜂のボーカルとして活躍し、近年はミュージカルにも出演するなど活動の幅が多岐にわたるアヴちゃんが参戦!
開幕に先駆けて行われた記者向けの囲み取材でのコメントとゲネプロの模様を写真でレポート。
ゲネプロでは、冒頭の浦井健治演じるヘドウィグの登場シーンからサプライズがあり、イツァーク役のアヴちゃん(女王蜂)との歌唱も最高のマッチングで、来場した多くのメディア、招待客を魅了しました。ヘドウィグ演じる浦井は、ヘドウィグが抱える怒り、喜び、哀しみ、そして希望を見事に歌い上げ、イツァーク役のアヴちゃん(女王蜂)も心に突き刺さる歌声と演技で、唯一無二のイツァークとしてステージに降臨しました。ご来場いただいた方々からは「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ史上、最も美しいヘドウィグが誕生した」という声も!
公演は本日開幕した東京公演を皮切りに福岡、名古屋、大阪公演を経て東京FINALへと続きます。
上演のたびに数々の伝説を作り出してきた傑作ロック・ミュージカルをどうかお見逃しなく!
【コメント】
■31日からいよいよ公演が始まりますが、今のお気持ちは?
浦井:この夏、1日も休まず、朝から晩まで、みんなで稽古して作ってきました。女王蜂のアヴちゃんというカリスマ性のある強力なパートナーが、惜しげも無く色んなことを教えてくれて、一緒に作ってくれたというのは宝物のようです。また、バンドのメンバーが、愛らしくイカつい方が揃っているのですが、バンドではなく出演者としてヘドウィグの世界を作ってくださっているので、演出の福山桜子さんが目指したものが、実現したと感じています。ロックミュージカルであり、ストレートプレイのようでもあり、魂の叫びでもある。
このミュージカルで、何かの殻を破りたい。こういう環境にいれる自分は役者冥利につきるな、と実感しています。
■どのように役作りして来ましたか?
浦井:稽古場では、ずっとスカートを履いていました。座る時も男の人って足を開いてしまいがちですが、閉じるクセがついて、コンビニでレジに並ぶ時も女性っぽい仕草になってしまったり。日常に自分の中にどんどん入ってくる感じがありました。
■バンド活動だけでなくモデルもこなすアヴちゃんから、参考になるアドバイスを受けたりされましたか?
浦井:女王蜂アヴちゃんの歌唱法を1から教えてくださいましたし、歩き方も腰からいくとか。セリフの最後をちょっと上げてみるとギャルっぽくなるとか、ギャルってすごく純粋で正義で、そういうことをたくさん生身で教えていただいたので、自分もこの役に、すんなり飛び込めたというのはあります。
アヴちゃん:イツァークは、すごく抑圧されている役なので、私の本業はバンドをやっているのですが、“解放”ということを生業にしていたんだ、と初めて気づきました。自分は好き放題、解放された場所で生きてるんだな、と今回この役を生きることで初めて気づくことが出来ました。生まれて初めて、嗚咽で歌えないということを知りました。解き放って歌おうとしていた1曲を、解き放たないようにしよう、となったときに、歌詞が全部心臓に刺さってきて。でも大きい声は出せないし、初めて嗚咽で歌詞が自分から出ないとか、浦井さんともここで泣いちゃうんだというところでお互い泣いたり。浦井さんと目が合ったら泣いてしまうシーンは、“演技”とは思っていないです。毎回ガチです。
■海外や日本でも多くのファンがいる本作の魅力は?また、ご自身にとってどういう作品ですか?
浦井:世界中で愛されているヘドウィグ・アンド・アングリーインチ。ヘドウィグという役や、演じて来られた役者さんや、キャラクターについているコアなファン、そこからバイブルとして生き様というものを真似た人もいらっしゃると思います。日本公演の4代目として、我々が一緒に作っていき、今やる意味というものが色々と見えてきました。愛を叫ぶ、愛ってなんだろう、優しさってなんだろう、色んなことを考えながら稽古場で過ごしてきたのですが、結局自分と向き合うことが重要で、自分からは逃げられないし、そういうことがぎっしり詰まっているから、生身の人間って、こんなに弱い、だけどこんなに強いんだなっていうことと、一人じゃないんだなっていうこと、それが最後、観た後に繋がってくるんだな、と。
この作品は、自分にとって殻を破る作品であり、全部出さなきゃいけないという恐ろしさもありますが、それを楽しいと思えるところまで、みんなでもがいていきたいと思っています。
アヴちゃん:私自身は、10代の時に、お友達から貸してもらってこの作品に出会って「自分ってこう見えてるの?」って思ってすごく辛かった思い出がありました。デビューした時も、自分でバンドを組んで詞曲を書いて、アートワークも作ってやっている姿勢から「日本のヘドウィグが出てきた」と言われて、今でこそ「嬉しいこと言ってくれるな」と思いますが、当時はすごく嫌だった。
時間が経つにつれて、折に触れて見た時に、自分のバンドがうまくいってないときにヘドウィグを見たら、ヘドウィグもうまくいってないから、並べ立てられたような気がしてすごく傷ついて。でもどんどん時間が経ち、また1年に1回とか見るようになって、やってみたいなと思った時に今回のお話が来ました。見る時によって自分が分かるというか、変わらないでいるからこそ自分の変化に気づけるような、すごく偉大な作品なんだなというのが印象です。
■これからご覧になるみなさまへメッセージ
浦井:ものすごくエグられる部分があると思います。この作品から色々受け取っていただいて、最後に、実はピュアでまっすぐで、人生ってまだまだ希望がある、と思っていただける開けた心を持てる気がするので、それを皆さんに受け取っていただけるように頑張っていきますので、是非劇場にノリノリで来ていただきたいです!
アヴちゃん:ふらっと来てください。タダでは帰しません!
【ゲネプロ写真】
<あらすじ>
少年ハンセルは、自由の国アメリカに渡りロックスターになるのが夢だった。
彼は幼少時に母親からプラトンの魅惑的な「愛の起源」の物語を聞かされる。以来、彼は自分の“カタワレ”を見つけようと心に決める。ある日、彼は偶然一人の男と出逢う。その男に見初められ、彼との結婚の道を選んだハンセルに待ち構えていたのは、アメリカへ渡るための“性転換手術”だった。しかし、手術を受けたハンセルの股間には手術ミスで「怒りの1インチ(アングリーインチ)」が残ってしまう。
その後、ヘドウィグを名乗り渡米を果すも離婚、ベビーシッターなどをして日々の糧を得つつロックバンドを組むも、なかなか成功への道が見えず生活に追われていた毎日だった。やがて17歳の少年トミーに出逢い、愛情を注ぐようになるヘドウィグだったが、トミーはヘドウィグの曲を盗んでビルボードNo.1のロックスターに上り詰める。最愛の人に裏切られたヘドウィグは自らのバンド「アングリーインチ」を率いて、ストーカーのようにトミーの全米コンサート会場を追い、スタジアム脇の冴えない会場で巡業する。果たして、自分の魂である歌を取り戻し、捜し求めていた“カタワレ(=愛)”を見つけることができるのか…?