ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season1 宮野真守&蒼井翔太 インタビュー

日本キャスト版Season1のトニーは人気声優のWキャスト!


初演から60年以上世界中で愛されてきたミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』を、IHIステージアラウンド東京に合わせて演出を一新。世界初の“ステージアラウンドバージョン”『ウエスト・サイド・ストーリー』が注目を集めている。現在上演中の来日公演に続き、異なるキャストで全3シーズンに分けて、日本キャスト版が11月から2020年5月までロングラン上演される。Season1で主役のトニーをWキャストで演じるのは、宮野真守と蒼井翔太。声優として活躍する2人にとって大きな挑戦となりそうだ。

宮野「まさか自分にこんな大きなチャンスが巡ってくるとは思ってもみなかったので、嬉しさと同時に、のしかかってくるものは大きいと思いました。でも、ステージアラウンドでの『髑髏城の七人』や『王家の紋章』でグランドミュージカルに出演できたというこれまでの経験が、背中を押してくれたというのは非常に大きいです」


蒼井は出演が決まったときの驚きを隠さない。

蒼井「まさか、という気持ちです。オーディションのときも、受かりたいという気持ちとは裏腹に、自分にできるかなという不安がありました。自信満々ではまったくなかったです。良くも悪くも目立ってしまう僕の声質でトニー役に選んでくださったというのは、何かを期待をしてくださっているのだと感じました。だから今は、いい意味でのプレッシャーのほうが勝っています」


全くタイプの違う2人のWキャストは、お互いにとっても刺激になっているという。

宮野「見た目も、声優の仕事でもキャラクターが異なる翔太くんがWキャストと聞いたときは、ストレートに言えば、驚愕でした。“え~翔太くんなの?”って(笑)。でも、2人で話すなかで、彼の“チャレンジしていこう”という熱意をビンビン感じて、非常に嬉しくなりました。普段は声優として活動している僕ら2人がWキャストだからこそ見せられる『ウエスト・サイド・ストーリー』を作っていけるんじゃないか、しっかりとチームになって作品に向かっていけるんじゃないか、という思いにすぐに変わりました」

蒼井「最初に“俺と翔太くんはぜんぜん違うから、面白いことができそうだね”と言っていただけたので、その言葉を大切にしたいなというのがあります。宮野さんが演じるトニーから学ばせていただきながら、僕らしいトニーとして光れるように頑張りたいなと思います。でも、稽古場では宮野さんから目を離さないと思います。たぶんマリアさんよりも見ているはずです(笑)」

宮野「少しだけ先輩なので、しっかりと僕も見せられればいいなと思うし、負けられないとも思う。違う見せ方ができたら大きなアピールポイントになると思います」


役へのアプローチについての思いも熱い。

宮野「若さゆえの未熟さみたいなものをちゃんと思い出して(笑)、トニーの人生をまっとうしたいなと思います」

蒼井「トニーという人間をちゃんと演じたいと思います。蒼井翔太が演じるトニーを皆さん想像しづらいとは思うのですが、観たあとに、“蒼井翔太のトニーも素敵だな”と思ってもらえることが僕の中でのいちばんの目標です」


シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』に着想を得て、1950年代後半のN.Y.マンハッタンのウエストサイドを舞台に、敵対し合うポーランド系移民のトニーと、プエルトリコ系移民のマリアが激しい恋に落ちたことから始まる悲劇
の物語である本作。心を打つ名曲の数々と激しくも美しいダンスなど見どころは満載だ。

蒼井「いちばんの魅力は、胸をグッとつかまれる悲しいラブストーリー。僕はラブストーリーを演じるのが初めてなので、トニーを演じる上での強い芯として、純粋にマリアを愛する気持ちを見せたいというのはあります。曲の中では、ロマンティックな『トゥナイト』が大好きです」

宮野「僕は人に心を奪われて思いを吐露する、感情を感情のままに表現する歌としては『マリア』が最大級だと思います。どんな美しい言葉より、名前を言い続ける歌詞でまっすぐな気持ちを感じさせてもらえるから」


どんなステージアラウンドバージョンを見せてくれるのか、今から期待が高まる。

蒼井「物語の世界に入り込める空間だと思うので、僕はお客様を『ウエスト・サイド・ストーリー』のその場に存在する人達のように感じながらやっていきたいなと思っています」

宮野「誰も見たことがない『ウエスト・サイド・ストーリー』であることは間違いないです。映画的な迫力ある演出ができるこの劇場にぴったりな演目だと思います。このステージの真ん中にドンっと立つことは、ここでしかできない経験なので、その特別感を味わいながら頑張ります」

 

インタビュー・文/井ノ口裕子

 

※構成/月刊ローチケ編集部 9月15日号より転載

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】
宮野真守
■ミヤノ マモル 声優・俳優・歌手。近年は俳優としても活動の幅を広げており、’16年にグランドミュージカル『王家の紋章』でイズミル役を、’17年に劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月~下弦の月~では主役・捨之介役を演じた。

蒼井翔太
■アオイ ショウタ 声優・歌手・俳優。’11年声優デビュー。声優・歌手のみならず、俳優としても活躍しており、以降、多くの舞台に出演。4月には『王室教師ハイネ-THE MUSICAL Ⅱ-』にリヒト・フォン・グランツライヒ役で出演した。