<日本キャスト版>ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season1 宮野真守&蒼井翔太 インタビュー

僕らだからこそできる『ウエスト・サイド・ストーリー』を見せたい

 

世界中で愛される名作ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』。360度回転劇場「IHIステージアラウンド東京」で上演中の海外キャスト招聘版が、連日観客を感動させている。
11月からいよいよ日本キャスト版Season1が開幕。主演のトニー役は宮野真守と蒼井翔太のWキャスト。360度回転劇場で名作に挑む2人に心境やお互いについてたっぷり語ってもらった。

 

――トニー役がお2人のWキャストだと知ったときの感想を教えてください。

宮野「どなたとやることになるのかドキドキしていたら、まさかの蒼井翔太くんだったので衝撃が大きかった(笑)。驚きはしましたけど、よく知っている翔太くんがWキャストっていうのはすごく心強いですね」

蒼井「ありがとうございます。僕としてはこの上なく光栄なことですし、すごく楽しみです。今からワクワクしています」

宮野「翔太くんがトニーと聞いて、全く違うトニーになるだろうということだけは想像できました。僕が若かりし頃に見た映画の『ウエスト・サイド・ストーリー』のトニーは、カチッとした短髪で翔太くんのイメージとは違ったというのもあって(笑)」

蒼井「僕も舞台とかでそういう役を演じたことはなかったので、どちらかというと「僕、マリア役じゃないんだ?」みたいな(笑)」

宮野「最初に翔太くんとやるって聞いたときには、「翔太くんとのラブストーリーなのかな?」と(笑)」

蒼井「そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんね(笑)。やっぱり自分としてもイメージがすぐには結びつかなかったです」

宮野「だからこそ、我々なりの見せ方になっていくのは確実だなと思いました。イメージに左右されるのではなく、僕らが打ち出していく『ウエスト・サイド・ストーリー』はどういうものになるんだろうっていうところに向かっていけるんじゃないかと」


――トニーを演じる上で大切にしたいと思っていることは?

宮野「ブロードウェイミュージカルのナンバーを歌わせていただくということにおいては、しっかり準備していきたいと思っています。自分がどこまで歌で表現できるのかというところにも、しっかりと向き合っていきたいです。そして声優として活動させていただいている中で自分が一番大事にしていることは、役に深く深くダイブしていくことなので、今回はいかにトニーの内面に深く入っていって心の機微をどれだけ表現できるかですね。毎公演、新鮮に心を動かしていけるかという
ところは、すごく根気のいる作業になると思いますが、そこを逃げずにやっていきたいです」

蒼井「自分とトニーは全く違いますし、まだ共感するところはないんですけど、これから稽古をしていくなかで徐々に共感するところが出てくると思います。でも時には頑張って無理やりにでも共感しなきゃいけない部分も出てくるかもしれないですね」

宮野「役との向き合い方は人それぞれ違うからね。全く違うダイブの仕方になるだろうし」

蒼井「そうですね。宮野さんだからこそのトニー、僕だからこそのトニー、作品を愛している人たちの思い描くトニーというものがもちろん芯にはあって、しっかり演じたいと思いますし、繊細な色付けという部分でそれぞれの違いが出てくるのかなと思います。とにかく今回、僕は共感という部分を大事にしていきたいと思っています」


――先日のビジュアル撮影でトニー役の扮装をされた感想は?

宮野「その時代背景の衣装と髪型で、日本人のこの顔でもトニーになれました(笑)。まだ見ていないけど、翔太くんのトニー姿はぜんぜん想像できないな」

蒼井「自分でもまだ見慣れないです。僕じゃない、これはトニーだと思いました」

 

――マリア役も北乃きいさんと笹本玲奈さんのWキャスト。どんなトニーとマリアにしたいですか?

宮野「まだ具体的なことは言えないですが、改めて映画を見たり、招聘版を観たりして、僕はどのようにアプローチできるのか、エスコートできるのかなと想像しています」

蒼井「マリア役もWキャストということで、人によって接し方を変えてはいけないなと考えてしまいます。どちらとも一緒にやることがあるんですよね?」

宮野「もちろん。今回はベルナルドもリフもアニータもWだから、何十パターンあるんだ?というくらい組み合わせが多い」

蒼井「トニーとマリアが出会うシーンが、映画版と招聘版で目の前で見させてもらった印象がまったく違って。映画版はロマンス。目の前にしたときの印象は2人がすごくキュートだったんです。だから僕は対北乃さんのマリア、対笹本さんのマリアとどうなるのか。同時に宮野さん演じるトニーと、それぞれのマリアがどういう印象になるのかも想像します。稽古場でどちらも見てみたいですね」


――今作のような悲恋物語は好きですか?

蒼井「惹かれます。僕は過去にやった作品は全部悲恋なんです。悲恋の歌もよく聴きますし、悲しい恋は個人的には好きです」

宮野「僕は個人的にはハッピーエンドが好き。でも役者としてはバッドエンドのほうが好きなのかも。物語がハッピーエンドだとしても、自分が思いを遂げられない役だとしたら僕にとってはバッドエンドなので。これまでも報われない役が多かった(苦笑)。でも、そのときに抱く感情は、その状況じゃないと得られない宝物だと思うので、それをたくさん知れるというのは役者として嬉しいことですね」

 

――ステージアラウンドでの上演ならではの見どころは?

宮野「場面転換がスムーズで映画的な演出ができるし、舞台セットの移動がないから大掛かりなものが作れる。招聘版を観せていただく前からこの作品にぴったりだと思っていました。実際に観に行ったら、まさにそういう演出になっていて。大きな見せ方で、映画と舞台のいいところを盛り込めるステージだと改めて感じました。翔太くんはこの劇場初めてだけど、ドキドキしてきた?」

蒼井「宮野さんから「きっと走り回るぞ」というお話を聞いて、体力をつけないとなと真っ先に思いました」

宮野「毎公演、バルコニーに登らなきゃいけないからね(笑)」

蒼井「お客さんも街の住人のような感じで楽しめる、映画の中のような空間ですよね」

宮野「本当にそうだよね。豊洲にN.Y.があった(笑)。でも、裏で迷子にならないように」

蒼井「それが一番不安です(笑)」

 

インタビュー文/井ノ口裕子
Photo /植田真紗美

 

※構成/月刊ローチケ編集部 10月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】
宮野真守
■ミヤノ マモル 声優・俳優・歌手 近年は俳優としても活動の幅を広げており、’16年にミュージカル『王家の紋章』でイズミル役を、’17年に劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月~下弦の月~では主役・捨之介役を演じている。

蒼井翔太
■アオイ ショウタ ‘11年声優デビュー。声優・歌手のみならず、俳優としても活躍しており、多くの舞台に出演。4月には『王室教師ハイネ-THEMUSICAL Ⅱ-』にリヒト・フォン・グランツライヒ役で出演した。現在、ドラマ『REAL⇔FAKE』(TBS系ほか)出演中。