ミュージカル「ラ・マンチャの男」観劇レポート

今年で50周年を迎える歴史あるミュージカル「ラ・マンチャの男」が東京・有楽町で10月4日よりついに開幕!その模様をちょこっとお伝えいたします!

 

「ラ・マンチャの男」は今回が初観劇。50年前から松本白鸚が演じ続けているミュージカルが帝国劇場で上演されるということで、なんとなくぼんやりと、古くて堅くて難しそうなイメージを抱いて観劇へと向かった筆者だが、最終的には、そのイメージは覆されることになった。出演者の圧倒的なパワーと物語に、すっかり魅了されてしまったのである。

物語としては、昔のスペインで、セルバンテスという男が投獄された際に牢獄の中で開いた即興劇をメインにしたお話。セルバンテスはこの劇の中で、自らを中世の騎士と信じ込んで「ドン・キホーテ」と名乗り、旅をする変わり者の老人を演じる。どんなに馬鹿にされても自分の騎士道を守り抜くドン・キホーテの姿は徐々に人々の心を溶かしていき、現実世界で最後の審判が下るとき、彼の運命は一体どうなっていくのか…といったお話である。

セルバンテスを演じるのは松本白鸚。先ほどお伝えしたように、自分を中世の騎士と信じ込んでいるドン・キホーテはもちろん周囲からみればおかしな人なはずなのだけれど、松本白鸚が演じるとどこか気品が漂う。その気品、威厳のおかげで、名言が多いことで知られる本作だが、それらの言葉もしみわたってくるのである。

そして今作のヒロイン、アルドンザを演じる瀬奈じゅんの伸びの良い歌声に聞きほれる。自分の置かれた環境を嘆き、生まれてきたことが間違いだ!と苦しむアルドンザだが、これまで自分に向けられたことの無いような、ドン・キホーテの真っすぐで真摯な思いによって突き動かされる。瀬奈の切ない表情が、戸惑いを隠せず、自分の感情の狭間で苦しみながらも一生懸命生きていく彼女の心の奥の熱い想いを表現していた。

駒田一演じる陽気なサンチョは、ドン・キホーテの付き人である。例え訳の分からないことを言っていたとしても、ご主人様のことが大好きなサンチョ。彼はドン・キホーテを「気違いだ!」と見捨てられなくて、最終的には魅力に吸い込まれていく観客の気持ちを代弁しているようである。いつでも観客の見方でいてくれる彼は、劇中のテンポをよくしてくれていた。

 

約2時間5分休憩なしという上演時間もちょうどよく、物語にのめり込んでいたからか、気が付けば終演となっていた。

カーテンコールでは観客の拍手の熱いこと!観客みんなが夢中になっていたことの紛れもない証拠であった。

 

劇中劇の物語のため、初めて見る人は事前にあらすじだけでも読んで、軽く物語を予習していくのがオススメ!

チケット情報ページにあらすじご紹介用の漫画もあるのでぜひ活用してほしい。