ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』川口調・利田太一・中村海琉・渡部出日寿インタビュー

左より)川口 調、利田太一、中村海琉、渡部出日寿

2017年夏に日本で初演され、大きな話題を呼んだ大ヒットミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』が2020年に再び上演される。

本作は、『リトル・ダンサー』の邦題で上映されたヒット映画をエルトン・ジョンの音楽でミュージカル化した舞台。イギリスの炭鉱町で生まれ育った11歳の少年・ビリーが、苦しい社会情勢や家族の反対の中、バレエダンサーを夢見て奮闘する姿が描かれている。

タイトルロールのビリー役には、ダンス・バレエ・タップ・歌・芝居と様々なスキルが要求される。そのオーディションは書類審査から約1年間に渡り実施。そして昨年12月、応募総数1,511名の中から厳正な審査を勝ち抜いた、2020年上演版ビリー役4名が発表された。

この大役に挑む少年たちは、今どのような想いを抱いているのか。本番に向けてレッスン中の、川口調・利田太一・中村海琉・渡部出日寿に、本作出演への意気込みなどを聞いた。


――まずは、ビリー役に選ばれた時の率直な気持ちを教えてください。

川口「僕の場合は『やったー!』よりも、『よかった』って感じ。緊張しすぎてあんまりはしゃげなかった」

中村「僕も『やったー!』とはならなかったかも」

利田「わかる!とりあえずホッとしたよね」

渡部「僕は発表された後も心臓がドクドクしてた(笑)」

中村「発表の仕方が『ビリー役としてレッスンに参加して頂きます』だったから、その時はまだ実感わかなかったな。でもそこで緊張が一気にほどけて、その後のお話はわりと落ち着いて聞けた気がします」

 

――オーディションから時間を共に過ごしてきた皆さんですが、それぞれの印象はいかがでしょうか?まずは川口さんについて…

中村「調はエスカレーターでバレエの技で立ってたりして、『なにしてんの?!』ってことがよくある(笑)。でもレッスンが始まったら目が変わるんですよ!ふざけている時と真面目な時の差がすごい!」

利田「調は兵庫県出身だから、すっごい面白いキャラ。レッスンのときはいつも真面目で、さすがだなって思っています」

渡部「普段は常に笑わせてくれるけど、レッスンになると急に真面目スイッチがはいるよね」

川口「家では『大人しくしろ』って言われるんですよ。でも、できない(笑)!自分の心が“こうだ”と思ったら、まっすぐ向かっていっちゃう」

川口調(かわぐち・しらべ)

――自分の感情に嘘を付けないところはビリーにも共通する部分かもしれませんね。では次に利田さんについて聞かせてください。

渡部「前からバレエのコンクールでもよく会っていたんですけど、こんなに面白いとは思ってなかった(笑)」

中村「太一は静かな時は一言もしゃべらないんだけど、例えば遊んでいて、鬼ごっこの鬼とかになると、めちゃくちゃ暴走しだすんですよ(笑)」

川口「みんなのほっぺた触ってきたりね(笑)」

渡部「そうそう(笑)」

中村「オーディションの時はすごく静かな人って印象だったのに…(笑)。でもバレエはとにかくすごい!動きが全部キレイだよね」

川口「本当にそう!師匠って呼んでます」

利田太一(としだ・たいち)

――ON・OFFがはっきりしたタイプなんですね。ではお次は中村さんの印象を。

利田「海流くんはかわいい。(笑)みんなに好かれるタイプ」

川口「ほんとに誰とでも仲良くなれるよね」

中村「初対面でも自分からどんどん話しにいくのが好き!」

渡部「レッスンのときも元気が有り余っている感じ。でもたまに先生に『静かに』って注意されたり…(笑)」

中村「最近は言われないようにしてるよ(笑)。でも僕、注意されてもそんなに落ち込まないかも」

川口「落ち込んでいるとレッスンにも影響しちゃうしね。気持ちが左右されないというか、ずっとブレないでいられるのはすごいなって思う」

中村「なんか、照れるな~(笑)」

中村海琉(なかむら・かいる)

――芯が強いというのは武器になりそうですね。では、渡部さんについて聞かせてください。

川口「左の王者。太一が右の王者で、出日寿が左の王者だよね」


――“左”、“右”というのは?

渡部「バレエのピルエットって回る技があるんですけど、僕は左周りが得意なんです」

中村「出日寿は何でもできます。タップも上手いし、アクロバットも基礎から難しい技まで全部できるし、バレエもめちゃくちゃ上手い。軸が安定してる!」

利田「バレエのコンクールでも前から目立っていました。僕、実は出日寿くんの踊りを見て憧れてて。しかもタップとかは初心者だったのに、トレーニングの中ですごいレベル上がっているよね。負けず嫌いなんだなって思う」

川口「オーディションのとき、すごい機敏に回っている子がいるなって思ったのが出日寿くんだった。どこにいても注目を集められるのはすごいなって思うし、『僕も頑張らないと!』って思わせてくれます」

中村「出日寿の踊りを見ているとめちゃくちゃ勉強になるんですよ。上手い人がいると、僕たちも刺激されるよね」

渡部出日寿(わたなべ・でにす)

――お互いで高め合っていける、いい関係なのですね。では、本番までの課題はありますか?

川口「僕はもっと自分だからこそできるものを、演技とか振付に取り入れていけたらいいかなとおもっています。自分で考えて、どんどん挑戦してみようと思います」

利田「僕はもっと体力を付けたくて。ビリーは体力が無いと最後まで全部やりきれないと思うから、スタミナをつけて、いいパフォーマンスができたらなと思います」

中村「歌は3歳のころからやっていたんですけど、ビリーは自分の感情を爆発させることも必要だと思う。それって、ただ音程通りに歌うのとは違うから、その違いをもっと意識しなきゃなと思っています。あとはバレエももっと頑張ります!」

渡部「僕は振付のアームス(腕のポジション)など細かいところもまでピシッと決められるようにしたいなと思う。一つ一つのポーズの形をキレイに見せられるようにできたらなと思います」


――では最後に、皆さんのアピールポイントを教えてください!

川口「僕は関西出身なので、関西魂をパーンと発揮したい!自分を思いっきり出せるビリーになりたいです!」

利田「指先まで伸ばすとか、そういう細かい部分にも気をつけているので、お客さんにもぜひ見てほしいです」

中村「≪アングリー・ダンス≫のシーン。僕も怒るとビリーと同じように『アー!』ってなっちゃうので、あの場面は僕の素が出ると思います(笑)。」

渡部「4人ともみんな個性が違うじゃないですか。それぞれ違う動き方をするし。だから、自分ならではのビリーができたらいいなと思います」


――皆さんとても頼もしく、今から本番が楽しみです!ありがとうございました。

 

取材・文/ローソンチケット

 

【プロフィール(五十音順)】

■川口調
2007年生まれ。テレビ、舞台を中心に活躍。NHK連続テレビ小説『まんぷく』、浪漫活劇『るろうに剣心』、『ワンピース音宴~イーストブルー編』などに出演。特技はバトントワーリングで、全日本選手権大会での優勝経験もある。


■利田太一
2008年生まれ。幼少期からバレエを始め、コンクールでの入賞経験多数。初演のオーディションへの参加後もトレーニングを積み、見事リベンジを果たした。恵まれた体型と驚異の柔軟性を武器にビリー役に挑む。


■中村海琉
2008年生まれ。歌唱力を活かして、ボーイソプラノユニット“ソプラノ♪7ボーイズ”のメンバーとして活躍中。初演オーディションに参加後も研鑽を積み、得意のタップダンスを活かし、見事ビリー役を射止めた。


■渡部出日寿
2007年生まれ。両親ともに世界トップクラスのバレエダンサーというバレエ界のサラブレッド。数多くのバレエコンクールで入賞した経歴を持つ。類まれなバレエスキルを最大限に活かして、ビリー役に挑戦する。特技はロシア語。