ミュージカル『眠れぬ森のオーバード』 原田優一&鯨井康介 インタビュー

左:原田優一 右:鯨井康介

いろいろな癖が詰まったミュージカルです!

 

昨年の夏、原田優一、オレノグラフィティ、小柳心、鯨井康介の俳優4人で結成した、オリジナル舞台制作プロジェクト「PAT Company」。12月には旗揚げ公演をおこない大好評のうちに幕を閉じた。 この注目の演劇制作チームの第2 回公演、ミュージカル『眠れぬ森のオーバード』が早くも8月に上演される。4人の演劇愛にあふれた「PATCompany」の魅力と今作について、発起人であるプロデューサー・鯨井と演出の原田に聞いた。

鯨井「“制作チームを作ろう!”と始まったわけではなく、小柳くんのYouTubeチャンネルにゲスト出演させてもらったとき、ライブ配信中に原田優一さんとオレノグラフィティさんを友達のノリで心に紹介したのがスタートだったんです。僕は第一に3人の人柄が大好きなので、4人で組めたら楽しいな、素敵なものができるだろうなというのが大きかったですね。で、さらにラッキーなことに、この人たち才能あるぞ!って順番で(笑)」

原田「初対面はリモートの画面越しでしたけど好印象で(笑)。実際に4人で会ったら、今まで何回も一緒に芝居をやっているような不思議な感覚でした。鯨井くんとは共同プロデュースをさせてもらっていて、共感するところが多いので、彼の人を見る目は信頼していますけど、さすが鯨井Pが集めた人選だなと思いました」


作曲家でもあるオレノグラフィティが音楽、脚本を小柳心が担当するという最強チームが目指す演劇とは――。

鯨井「すごく抽象的ですけど言葉にすると“優しい作品”が作りたいなというのはすごくあって。見終わった後に、スコーンって肩の力が抜けて“ああ~面白かった~”って帰っていただけるような。そのままカフェに寄って、感想を言い合っていただけるような作品になるのが理想かなと。今はなかなか難しいご時世ですけどね(笑)。3人がとても優しい魅力的な人たちなので、その魅力がしっかりと作品に反映されていくのが一番いいなと思っています」

原田「この4人は、それぞれパフォーマーでもありクリエイターでもあり、分野が違うところで活動しているので、それぞれの考え方やアイデアが盛り込まれてくると思います。4人が感じる“今”が、作品ごとに出てくるのかなと」


4人の雑談の中から生まれるという作品テーマ。今作はミステリー。殺人事件が起きた陸の孤島の館に取り残された個性的な人々が巻き起こす、警察が到着するまでの一晩の人間模様が描かれる。

鯨井「しっちゃかめっちゃか、朝までキャラクターたちがしっかりと躍動している、見どころの多い作品になっています」

原田「異種格闘技戦じゃないですけど、いろいろなキャラクターの火花の散らし合いがひとつの館でおこなわれるのが面白いのですが、役者さんもバラエティに富んだ魅力的な方々をキャスティングできたので期待してください」


最後に改めて意気込みを聞いた。

原田「大人も楽しめるおもちゃ箱のような、遊び心のあるワクワクする五感で楽しめる作品にしたいですね。癖になるオレノさんの音楽もそうですけど、いろいろな癖が詰まったミュージカルになると思います。癖になるミュージカルです(笑)」

鯨井「癖は強いです(笑)。事件の謎解きをしていると思っていたら、人間関係の謎解きをしているような流れにもなると思うので、前のめりに楽しんで見ていただきたいです」


原田演出によるミステリー×ミュージカルの新ジャンル「ミュステリー」の開幕が待ち遠しい。

 

インタビュー・文/井ノ口裕子

 

※構成/月刊ローチケ編集部 6月15日号より転載

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
原田優一
■ハラダ ユウイチ ’82年、埼玉県出身。『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』など数多くのグランドミュージカルで活躍している。

鯨井康介
■クジライ コウスケ ’87年、埼玉県出身。’05年、ミュージカル『テニスの王子様』で舞台デビュー。舞台『弱虫ペダル』など舞台を中心に活躍。