1969年の日本初演以来、主演・松本白鸚が“見果てぬ夢”を追い続けて上演回数1,307回!“未だこの『ラ・マンチャの男』を超えるミュージカルはない”とも評される不朽の名作が、観客の熱い要望に応えて2022年の上演が決定した。今回の2022年の公演をもって、松本白鸚の半世紀以上に及ぶ“遍歴の旅”はいよいよ終焉の時を迎える。ドン・キホーテが想い姫と慕うアルドンザ役に、2012年公演以来、松たか子が扮し、父・白鸚との久しぶりの舞台共演に臨む。脇を固めるサンチョ役の駒田一、牢名主役の上條恒彦に加え、新たなキャストとしてアントニア役に実咲凜音、カラスコ役には吉原光夫を迎え、松本白鸚「ラ・マンチャの男」集大成、2022年公演がいよいよ始動!
ミュージカル「ラ・マンチャの男」について
「ドン・キホーテ」を原作に、デール・ワッサーマンの脚本、ミッチ・リーの音楽によるミュージカル。トライアウト(ブロードウェイの上演のための試演興行)は、1965年に地方都市の大学の劇場から始まり、同年ニューヨーク・ブロードウェイのアンタ・ワシントン・スクエアに移り、爆発的な人気を博す。1968年にはマーチンベック劇場に進出し、ブロードウェイ公演は5年6ヶ月のロングランを記録。ニューヨーク演劇批評家賞などを受賞。
デール・ワッサーマンは、「ドン・キホーテ」のミュージカル化に当たり、「…上下二巻に及ぶ大作を読み終わったとき、二つの確固たる結論を得た。その一つはこの原典は劇化することが不可能であり、また、劇化すべきでないという事。もう一つは劇化されるものは小説「ドン・キホーテ」ではなく、その作者、セルバンテスでなければならぬということである」と述べている。つまり、「ラ・マンチャの男」は、ドン・キホーテの物語である以上にセルバンテスの物語。最初の登場人物である作者セルバンテスが、劇中劇として田舎の郷士アロンソ・キハーナと、キハーナが創り出した人物ドン・キホーテを演ずるという、三重構造で物語は進行する。
あらすじ
16世紀末のスペイン、セビリアの牢獄そしてミゲール・デ・セルバンテスが想像するさまざまな場所。薄暗い牢の中。囚人たちの耳に、はるか上方から梯子が下ろされる物音が聞こえ、やがて宗教裁判所の隊長に率いられた男たちが下りてくる。教会を侮辱した罪で、セルバンテスが従僕共々投獄されようとしている。新入りであるセルバンテスをこづきまわす囚人達で牢内は騒ぎになり、聞きつけた牢名主がセルバンテスを詰問、裁判をやろうと言い出す。なんとかこの場を収めたいセルバンテスは、即興劇の形で申し開きをしようと思い立つ。それは、囚人全員を配役した劇。
――田舎の老人アロンソ・キハーナは本の読み過ぎで狂気の沙汰とも言えるとんでもない計画を思いつく。何世紀も前に姿を消した遍歴の騎士となって、悪を滅ぼさんがために世界に飛び出す…その男こそ、ドン・キホーテだ。
従僕のサンチョを連れた旅の途中、立寄った宿屋でキホーテはアルドンザという女と出会う。あばずれ女のアルドンザだが、キホーテにとっては“憧れの麗しき姫ドルシネア”その人に見える。憧れの姫のために、その身を捧げる決意をするキホーテ。不思議な彼の言葉に、アルドンザの気持ちは揺れる。だが、そんな彼女にラバ追いのあらくれ男たちが襲い掛かる。身も心もボロボロのアルドンザを目にして、それでも“麗しの姫”と崇め続けるキホーテ。
彼の求める夢とは、そして真実とはー。