元宝塚歌劇団 雪組トップスター・早霧せいなの退団後初の主演ミュージカルとなる、ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公演初日の様子をローチケ演劇部員(お)がレポートします。
本作品は、1981年にブロードウェイで上演されトニー賞4冠に輝いた、華やかな楽曲と笑いがあふれるラブロマンスコメディ。
主人公のテス・ハーディング(早霧せいな)は人気ニュースキャスター。今までの実績が認められ、その年の最も輝いた女性に贈られる賞“ウーマン・オブ・ザ・イヤー”の授賞式を控えている。
風刺漫画作家サム・クレッグ(相葉裕樹)と、お互い一目惚れでスピード結婚し、私生活に仕事に順風満帆!のはずが・・・。
テスのキャリアの裏には人知れぬ努力があり、仕事はいつも一生懸命。自信満々で優秀なのだけど、不器用でどこか憎めなくて、応援したくなる。そんな2面性のある女性を、早霧がトップスター時代の凛々しさを残しつつ、魅力たっぷりに演じている。
一方サムは、仕事中心のテスの生活に自分の居場所はないと感じ、不満を持つ。そして“ウーマン・オブ・ザ・イヤー”の授賞式直前、テスの元から去ってしまう。テスのことを応援したいけれど、寂しい気持ちを隠せない真っ直ぐな青年を、相葉が明るく爽やかに演じる。
亡命中の有名バレエダンサー、アレクセイ・ペトリコフを演じるのは、本作品がセリフ、歌への初挑戦となる宮尾俊太郎(Kバレエ カンパニー)。
開幕前、宮尾が「そういう役作りなんだ!というキャラクターでいくので、それを楽しみにしてほしい」と語っていた通り、観客の笑いを誘うチャーミングなキャラクターを演じている。初挑戦とは思えないほど堂々としており、宮尾の新たな一面を見ることができる。
一転、バレエのシーンでは長い手足を活かした美しく、ダイナミックな踊りを披露し、客席からは大きな拍手が起きていた。
ジャンを演じるのは、元宝塚歌劇団の男役スター樹里咲穂。早霧は開幕前のインタビューで「(宝塚の)先輩がいらっしゃって、心強く、安心感がある。」と話していた。
キャリアウーマンとして仕事に生きてきたテスと、妻として家庭のことをこなす日々のジャン。
2人の対象的な人生を歌った、テス・ジャンの2人のナンバー「THE GRASS IS ALWAYS GREENERとなりの芝は青い 」では、2人の息の合ったのびのびとした歌声が印象的だ。
家庭と仕事、女性の本当の幸せは、果たしてどちらにあるのか・・・そしてテスとサムの決断は!?
★ローチケ演劇部員の注目ポイント★
【テンポのよい掛け合い】
この作品の見どころの1つは、キャスト陣のテンポのよい掛け合いだろう。
公演初日にもかかわらず、どこまでが台本でどこからがアドリブ!?と聞きたくなるような息ピッタリのやりとりで、客席からは何度も大きな笑いが起きていた。
特に、テスの相方男性アナウンサー・チップ(原田優一)のコミカルなキャラクターは必見!
1度目はもちろん、何度見ても新鮮な気持ちで楽しめる舞台だ。
取材・文/ローチケ演劇部(お)