独自のカルチャーが息づく大阪で、長きにわたって活躍を続けている吉本新喜劇とNMB48がコラボする、爆笑必至のミュージカル「ぐれいてすと な 笑まん」が間もなく幕を開ける。座長を吉本新喜劇から川畑泰史が務め、ブロードウェイミュージカルなども手掛ける玉野和紀が演出を務める。さらにスタッフ陣は、シンガーソングライターとして活躍しながら、著名なアーティストに多数楽曲を提供し、近年は様々な舞台音楽も担当している森大輔、舞台美術には2.5次元の大型作品を多く手掛けている秋山光洋が参加。これまで数々のコラボをしてきた吉本新喜劇×NMB48だが、今回は果たしてどのようなステージになるのだろうか。並々ならぬ意気込みをみせるNMB48の渋谷凪咲、川上千尋、上西怜、小嶋花梨の４人に話を聞いた。
――今回、吉本新喜劇とNMB48がコラボし、なおかつミュージカルに挑戦することになりました。最初にお話を聞いたときはどんなお気持ちになりましたか？
小嶋「私がNMB48に加入してから、新喜劇のみなさんとご一緒させていただける機会があまりなかったんです。加入前に、よくご一緒しているのを観ていたので、いつか自分もやってみたいと思っていました。なので、ついに自分もご一緒できるんだ、っていうのがすごくすごく嬉しかったです！ 新しい挑戦って、とてもワクワクするので、その刺激に触れられるのを楽しみにしていました」
上西「私は、ミュージカルも演技も、本格的なものは初めてなので、不安もあったんですけど、経験させてもらえる嬉しさもありました。やぱり、いつかは経験してみたいお仕事だったので、嬉しかったです！」
渋谷「私は個人的に、演技も歌も笑いもめちゃめちゃ頑張りたいと思っている時期だったので、それが全部見事に合わさったコラボの機会をいただけたので、もう天からの授かりものの気持ちです。めっちゃいい機会をいただけたな、と思っています。今の時代、配信なども増えてきていますが、映像を通してでも伝わる“芯”のようなところが重要なんじゃないかって思うようになったんですよ。私たちアイドルも、歌ってカワイイだけじゃなくて、もっと見たいと思っていただけるような“芯”のある力をグループとしてつけたいです」
川上「私はほかのメンバーよりも舞台経験を少しだけ積ませていただいているんですが、その舞台の共演者の方々からお話を聞いていると、絶対に出てくるのが「吉本新喜劇」なんですよ。新喜劇には、舞台に大事なことが全部つまっているよ、っておっしゃっていて、みなさん出てみたいって言うんですね。そのステージに私たちNMB48がコラボできるというのは、私自身の糧にもなりますし、みんなにとっても自慢できるくらいの経験になる。だから、すごく嬉しく思いました」
――今、まさに稽古などが進められているところかと思いますが、今までとは違うな、と感じたところはどんなところ？
小嶋「今までも歌を歌うことはしてきましたが、役になり切って歌うのは初めて。どうやって自分の役の雰囲気を歌で届けるか、ということを考えたのは初めてでした。これはきっとNMB48のパフォーマンスでは見せることのない部分。役名も小嶋花梨ですが、自分とは違う人になって歌うのは、すごくいい経験になっています。何か自分に付け足されたというか、自分が普段みない視線から人を見てみたり、言葉遣いや姿勢、歩き方を考えたり、いろいろ深くて、演技って面白いなって感じています」
上西「やっぱりミュージカルの歌い方は、アイドルの時とは全然違います。舞台の中でアイドルとしてパフォーマンスさせていただくシーンとかもあるんですけど、ちょっと曲が変わるだけで、こんなにも呼吸の仕方や歌い方が変わるんだ、と思いましたし、それを使い分けるのはすごく難しいです。ちょっとずつみんなで練習して、できるようになってきたので、新しい技術を覚えられた気がして今は楽しいです！」
渋谷「ほんとに、私たちは普段マイクが近くにあるので、みんなか細い声で…マイクに拾っていただいていたんだな、というのを改めて実感しました。地声で最後列のお客さまにまで届けるような気持ちでいないといけない。それをやって当たり前、という、めちゃめちゃ当たり前の基礎ですけど、それもできていなかった。本当にそこからだったんですけど、１からミュージカルの基礎を教えていただいて、お芝居への取り組み方も学びました。「ちょっと待ってください」というセリフにも、なんで「ちょっと」って入っているのか。それはその前から話し合っているからで、それを「ちょっと」という言葉で表している。そういう文章の読み取り方なんかもすごく学ばせていただいています。自分の名前の役ではあるけど、それぞれのキャラがあって、演出の玉野さんから「ほんまはこんな一面もあったんや！」って思われたら勝ちやで、って言われてハッとしたんです。新しい自分の一面を伝えたいですね」
川上「ほんとに、みんなが言う通りなんですよ。アイドルってリズムに合わせて踊ったり、曲に合わせて踊ったり、歩き方とかも曲に合わせて歩いたりするんですけど、ミュージカルってまた違うんです。曲がゆったりしていても、テキパキ動いてください、っていうことがあったりするんですね。音楽では気持ちを表していても、やっぱり普通に生活している風景を見せながらになるから、曲がゆっくりでも動きはまた違うんですよね。そこはもう全然違っていて、難しいけど面白いです」
――今までとは違う工夫がたくさん必要なんですね。今回はタイトルが「ぐれいてすと な 笑まん」ということですが、自分自身の“ぐれいてすと”なスゴイところを教えてください。
川上「私は目の大きさ！ この目力と阪神愛は、グレイテストだと思っています！！ 休憩時間も阪神タイガースの映像を観たり、ファンを獲得できるようにSNSで発信したりしています。阪神は日本一ファンが多い球団と言われているんですよ。何か独り言を言ってるな…というときは、だいたい阪神のことです（笑）」
――阪神情報を見逃さないための大きな目なのかもしれないですね（笑）。小嶋さんはいかがですか？
小嶋「あんまり深堀りしないでいただきたいんですけど…パッと浮かんだのが、お手洗いの時間の速さ。男子？って言われるくらい、素早く済ませられます。お仕事的に、あまり空き時間がなかったりするので、そういう面では助かりますね。もともとせっかちで、計画性があるタイプだと思います。1日のスケジュールも、前日夜に全部考えてから寝るんですよ。ザ・A型な性格です！」
上西「私は、グラビアのお仕事もよくさせていただいているので、スタイルの良さは上のほう？です。やっぱりグラビアをやるときはちょっと食事制限したりしますね。普段も食べる量に気を付けたり、筋トレやストレッチをやったり、体にいいことは全部やるくらいのつもりでやっています。ストレッチは体を倒すのと開脚、筋トレは腹筋が、携帯やテレビを観ながらできるので、好きです」
渋谷「私は笑顔です。おばあちゃんからも、笑顔は大切やし、女性は周りを癒すのもお仕事なんやから、常に笑顔で癒せる存在になれたらいいね、って言われてたんですよ。それは意識していますね。笑顔でいることが自分の役割の一つなんやと思って、毎日笑顔で楽しく過ごすようにしています。何か大変なことがあっても、ずっと頭のなかで何回もボケるというか、もう一人の自分と会話するというか、ずっと面白いことを探しているかもしれないですね。しんどいな、と思っても、でもここおもろいな、みたいな感じですね。常にいいことを見つけようと思っています」
――では、新喜劇の方と一緒にやってみて、これは“ぐれいてすと”だ！と思ったのはどんなこと？
渋谷「もう、ほんとにすべてなんですけど、まず演技がみなさんすごくお上手。めっちゃ自然なんですよ。ほんまに普通にしゃべっている感じなんですけど、でも演技で、その自然を表すのが一番難しいとやってみて思ったので、そこは本当にすごいです。あと、川畑泰史さんがどんなに面白い台本を書いて下さっても、そのセリフの間合いとかスピードとかで面白さってめちゃくちゃ変わってしまうんです。新喜劇のみなさんは、そこもめちゃくちゃ面白い。それで、私たちが何をやったとしても、すぐに助けてくださったりして、すごくやりやすい、楽しい環境にしてくださっています。本当にいろいろな面で助けられています」
上西「本当に雰囲気づくりがすごくお上手なんですよ。それは、毎回稽古していて感じます。どんな時でも、お稽古のときに笑いが起きるんですよ。最初は、私たちNMB48だけで稽古していたんですけど、緊張とかもあって、真面目に集中してやっていたので、シーンとした雰囲気だったんです。そこに新喜劇の方が加わってから一気に雰囲気が変わりました。誰かが間違えたりしても、それを笑いに変えてくださって、すごくやりやすい雰囲気で。すごく勉強になります」
小嶋「似たようなお話になってしまうんですけど、雰囲気作りという点では新喜劇座長の川畑泰史さんの様子がすごく素敵だなって思っています。私もNMB48ではキャプテンをやらせていただいているんですけど、座長というのはきっと近い立場ではあると思うんです。川端さんは、メンバーのミスや間違いが見つかった時に、絶対に1番にフォローされているんです。面白おかしくしてくれたり、僕のせいやなって自分にもってきたりして、ミスを絶対にマイナスにせず必ずプラスにされているんです。私自身もメンバーに対してミスを注意しなければいけない立場なので、こういうリーダーもいるんだ、と役割の勉強をさせていただきました」
川上「新喜劇の方たちのように、普段から面白いことを考えている人たちってほんわかしていますよね。凪咲もそういうところあるな、と思っているんですけど、“絶対怒られる場面でしょ”っていうところでも、みなさんがほんわかしていらっしゃるので、私たちもピリピリせずに楽しく稽古を終えることができるんです。あと、本当に新喜劇のみなさんは声がデカい！ 本当に見習いたいと思っています。1000人以上に届くような声量で、普通にしゃべっている感じなんですよ。そこがやっぱり、普段から鍛えられていらっしゃるからなんだな、と思いました。羨ましいですね」
――そんな“ぐれいてすと”な人々で作っていくミュージカルに向けて、それぞれ抱負をお願いします！
川上「今回のミュージカルで基礎からいろいろ学んで、あとは苦手なアドリブや声の大きさを克服して、今後もミュージカルで通用するような歌声になりたいです！」
小嶋「普段から、ちょっとボケてみて、みたいなフリはほかのアイドルに比べて多いのかなとは思うんですけど、それが上手くできないこともすごく多かったんです。結局、殻を破れずにアイドルらしさに逃げてしまったり。でも今回の経験で、少しずつみんなの殻が破れてきたように思います。がむしゃらさが爆発して、NMB48がもっと強くなれたらいいな！」
上西「NMB48を観に来てくださった方はもちろん、新喜劇のファンの方にも私たちに興味を持ってもらいたい。アイドルの私たちが歌って踊る姿を初めて見る方もいらっしゃると思いますし、私たちがお笑いに挑戦するところもあるので、そこにギャップを感じてもらって、私たちのことを好きになってもらえたらと思います」
渋谷「ミュージカルって、比較的上の世代の方が多く足を運ばれているとお聞きしたんです。今回は、新喜劇とNMB48のコラボなので、ぜひ普段ミュージカルをご覧になっている方に来ていただいて、その方がお友達やご家族を誘って、老若男女の方に楽しんでいただきたいです。新喜劇なんて、日本のコメディの最高峰じゃないですか？ 私たちも歌とダンスをずっと続けてきましたから、そこに誇りをもって取り組んでいきます。その2つが合わさったミュージカルですから、ちょっと世界も狙えるんじゃないの？っていうくらいのことだと思うんですよ。今はまだ1回目で、どんなもんやろか？っていう気持ちの方が多いと思うんですけど、この先もずっと続くような舞台にしたいと思っていますので、ぜひこの伝説の1回目を観に来ていただけたら嬉しいです！」
取材・文 宮崎新之
