2023年3月に東京・日生劇場で、4月に大阪・梅田芸術劇場メインホールにて、ミュージカル『太平洋序曲』の上演が決定!本企画は、英国メニエールチョコレートファクトリー劇場と、大阪の梅田芸術劇場が初めて手掛ける共同制作ミュージカルとなる。
この共同制作を組むことになった英国のメニエール劇場はロンドンでの活躍目覚ましい劇場で、エッジの立った芸術性の高い作品のプロデュースに定評があり、近年では『屋根の上のバイオリン弾き』(2019年トレバー・ナン演出)、『カラーパープル』(2016年度トニー賞受賞)、『メリリー・ウィー・ロール・アロング 』(2014年ローレンス・オリヴィエ賞受賞)等をウエストエンドやブロードウェイに輩出している劇場だ。その劇場と初のコラボレーションに選んだのは、ミュージカルの巨匠ソンドハイムの意欲作『太平洋序曲』。“西洋のクリエイターによって描かれた「日本」”という点で唯一無二の作品を、西洋と日本の融合したアプローチで新たに創り上げることになるようだ。
『TOP HAT』のマシュー・ホワイト&屈指のクリエイティブスタッフによる新演出!
そして本作は、あのミュージカル『TOP HAT』をオリヴィエ賞に導いた才能あふれる演出家マシュー・ホワイトと、選び抜いたクリエイティブスタッフによる新演出となる。数々のソンドハイム作品をメニエール劇場で手掛けたウエストエンドを代表する音楽監督キャサリン・ジェイズ、美術家ポール・ファーンズワース、日本からは『The Karate Kid– The Musical』他数々の作品で世界のクリエーターとコラボレーションを続ける日本を代表する衣裳家前田文子らと共に、新しい『太平洋序曲』の世界をお届け!
日本を代表する実力派キャストが集結!!
出演は、物語全体を俯瞰しながら進行する狂言回しとして山本耕史・松下優也が、浦賀奉行としてペリーとの交渉に臨み、次第に西洋文化に傾倒していく香山弥左衛門に海宝直人・廣瀬友祐が、流れ着いた米国から帰国し、日本が開国に向かう中で武士道に目覚めるジョン万次郎にウエンツ瑛士・立石俊樹がそれぞれダブルキャストで挑む。
江戸時代末期、日本が鎖国を解き、開国し、西洋化へ向かう激動の過程を描いた『太平洋序曲』。いま、この時代に、ニッポンが世界と出逢ったあの時へと誘う、この注目作にご期待あれ!
マシュー・ホワイト(演出家) コメント
ソンドハイム氏の『太平洋序曲』は、私にとっては希少な宝石のような作品です。イギリス人からすると、馴染みがうすい時代の日本史を扱った作品だからでしょうか…時として、この作品はイギリスで過小評価されているように感じます。しかしながら、この卓越した作品の上演が発表される度に、いつも胸が高まるのです。
スティーヴン・ソンドハイム氏の訃報を受け、彼の類まれなる豊かな遺産は再評価されました。彼の作品の一つ一つ全てが、それぞれに大変な個性を持っています。とりわけ『太平洋序曲』について言えば、1976年ブロードウェイ初演の夜に居合わせた幸運な観客が受けた衝撃たるや、驚きに溢れていたに違いありません。そこには、アメリカの観客が観たことのない世界が広がっていました。歌舞伎や能などの伝統技能が取り入れられ、最後のシーンを除き、出演者は男性のみでした。この作品で、ソンドハイム氏と脚本のワイドマン氏は、東洋と西洋の伝統をスリリングに並べて見せ、ミュージカル界に地割れのような衝撃を与えたのでした。
この度、ロンドンのメニエール劇場と日本の梅田芸術劇場の新たなコラボレーションである『太平洋序曲』に関われることを、とても誇らしく嬉しく思います。奇しくも、私の母国イギリスは「ブレグジット」を通じて西洋の近隣諸国からの「孤立」を選びました。そんな時代に、日本がイギリスとは正反対の道を選んだ歴史を見ていくことに、魅力と意義を感じています。あの時、日本にとって分別のある選択肢はそれしかなかったのです。世界の国々を受け入れ、新しい技術を取り込み、西洋に出来ることは何だって、日本にもできる…日本の方が上手く出来ると立証したのです。