PARCO PRODUCE 2023『マヌエラ』|珠城りょうインタビュー

宝塚歌劇団退団後、初主演の珠城りょうが実在のダンサー“マヌエラ”として魔都・上海に舞う!

1999年に初演された鎌田敏夫脚本による伝説的な舞台『マヌエラ』が、キャストを一新し、俳優で演出家でもある千葉哲也の新演出で蘇る。第二次世界大戦直前の上海を舞台に、“上海の薔薇”と呼ばれた実在の日本人ダンサー・マヌエラの激動の人生が、音楽とダンスと芝居を融合させるエンターテインメントとして描かれていく。これが宝塚歌劇団退団後、初主演の舞台となる珠城りょうは 「初演の方々への敬意をしっかり持った上で自分たちなりの新しい『マヌエラ』を、演出の千葉さんと一緒に作っていけたらと思っています!」と、意気込みを語った。

初演時の台本を読んだ感想としては

珠城 「物語の背景が第二次世界大戦の直前の上海だということもありシビアな内容が盛り込まれているのですが、その街で生きている人々の葛藤やその時代をいかに生き抜くかということが人間臭く描かれているところに、とても魅力を感じました」とのこと。マヌエラこと永末妙子という女性については「自分の意見をしっかり持っていて、それをはっきりと言葉にして人に伝えることができる人。一見、強くてキツイように思われがちなんですが、それでいて弱さ、哀しさも持っている女性だと思います。それと特に前半は妙子さんの印象、感情というものが何層にも重なっているようにも感じて、本当に思っていること、感じていることが見えるようで見えない方だなと。後半で自分自身の本音を吐露する場面までの、その心の揺らぎをどうやったらうまく表現できるかは、これからもっと研究していきたいです」と、分析。

中でも特に大切に演じたい部分を聞くと

珠城 「ずっと強がっていた妙子が後半、渡辺大さん演じる海軍士官の和田さんに徐々に心を開いていって、少し柔らかさが出てくる場面があるんです。そのあたりは、台詞で派手な言葉のやりとりがあるわけではないのですが……。だからこそ観ている方には彼女の中で何かが変わった瞬間、その心情の変化がより明確に伝わるのではないかなと思うので、そこを丁寧に演じてみたいです」と、教えてくれた。

また、キャスト全員と初共演だという珠城。マヌエラと絡みが多そうな渡辺とパックンの印象も聞いてみた。

珠城 「出演されている作品を拝見するたび、大さんからはいつも大人の落ち着いた男性の包容力みたいなものを感じていたので、今回の和田役はまさにピッタリなんじゃないかなと勝手に想像しております。パックンさんはコメントを拝読すると以前から俳優としてお芝居をすることに夢を抱いていて、その念願が今回叶う、とのこと。きっと、前向きないいエネルギーでこの世界観に飛び込んできてくださるのでは、と予想しています。キャストのみなさんとご一緒できるのが、今から本当に楽しみです!」

2023年の幕開きというタイミングで、この作品を再演することについては

珠城 「必ず意味があると思っています」とも断言。

珠城 「作品に込められているたくさんのメッセージを、このキャスト陣で一番いい形でご覧いただけるよう、精一杯努めてまいります。ぜひとも劇場に足をお運びいただけたらうれしいです!」

インタビュー&文/田中里津子

Photo/中田智章

※構成/月刊ローチケ編集部 10月15日号より転載

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【プロフィール】

珠城りょう
■タマキ リョウ ’08年に宝塚歌劇団に入団。’16年に月組トップスターに就任。’21年に退団後は、歌手、女優として活動の幅を広げている。