ミュージカル『She Loves Me』主演・薮宏太、取材会レポート

Hey! Say! JUMPの薮宏太が主演を務めるミュージカル『She Loves Me』が5月から6月にかけて上演される。

本作は、ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』のジェリー・ボックとシェルドン・ハーニックのコンビが作曲・作詞を手がけ、1963年にブロードウェイで初演されて以降、世界中で愛され続ける名作ミュージカル。日本でも1995年の初演以降、上演を重ねている。ブタペストのとある香水店を舞台に、そこで働く青年ジョージと新人店員アマリアの、ロマンチストだけど意地っ張りで、素直になれずすれ違ってばかりのラブストーリーが描かれる。

今回は、シアタークリエでの2009年版でも主演を務めた薮宏太をはじめ、綺咲愛里、宮澤佐江、竹内將人、岡田亮輔、岸祐二、坂元健児らが出演する。

薮の取材会の模様をレポートする。

お客さんにもどぎまぎしてほしい

――『She Loves Me』は薮さんが13年前にも演じた作品ですが、どのような魅力を感じていますか?

「男女のすれ違いから生まれるものであったり、それぞれのやり取りであったりがおもしろい作品だと思います。それと、文通の相手が実はすぐそばにいる人だ、という部分にはお客さんにもどぎまぎしてほしいなと思っています。『そこにいるのに!』みたいな。そういうところはこの作品の一番の魅力だと思いますし」

――前回も演じた香水店で働く青年ジョージはどう演じたいですか?

「ジョージは感情の起伏が激しいシーンが多いので、そこで喜怒哀楽を全面に出せるような芝居ができたら、いろいろな部分が生きるのかなと思っています。前回演じたときは19歳で、(ジョージが働いているような)高級なお店に行くことがなかったので、接客について理解しきれていないところがあったのですが、その辺りは今はちょっと違うかなと思っています」

――アマリア役の綺咲愛里さんとは初共演ですが、どんな印象がありますか?

「製作発表のときが初対面で、まだ2~3言しかお話できていないのですが、凛とした方ですよね。アマリアはけっこう感情の起伏が激しいので、その綺咲さんがどんな風に演じられるんだろうっていうのが楽しみです」

――製作発表では、男性キャストの竹内將人さんや岡田亮輔さん、坂元健児さんが盛り上げていらっしゃいましたね

「そうですね。しかも皆さん、ジャンルの違うおもしろさで(笑)。この時点でたのしい空気を作ってくださって、稽古がすごく入りやすいなと思いましたし、密な時間を過ごせそうです。稽古場のいい雰囲気は自然と舞台上にあらわれることもあるんじゃないかなと思います」

――楽曲にはどんな魅力を感じていますか?

「(舞台となる)香水店でお客様の接客をする『SOUNDS WHILE SELLING』という楽曲があるのですが、とてもおもしろいです。あとは、アマリアが歌う『Vanilla Ice Cream』も好きですね。最後がとんでもない高音なんですよ。あれを聴けるのは楽しみです」

――ご自身が歌う楽曲はいかがですか?

「ジョージの楽曲だと、やっぱりタイトルにもなっている『She Loves Me』です。アマリアと思いが通じていることがわかった瞬間の曲で、それまでの悩みとかわだかまりが解消されて、『もう、俺、最高!』みたいな(笑)。すごくはしゃいでいるし、全ての思いをそこに集約するような楽曲なので、楽しいです」

――前回は錦織一清さんが演出を手がけられましたが、今回は荻田浩一さんです。また違ったものになりそうですか?

「荻田さんとはまだお会いできていないのですが、きっと違う作品になるんじゃないかと思います。演出だけでなく、翻訳も訳詞も荻田さんが手掛けられますし、前回を観てくださった方はきっとその変化も感じてもらえるかなと思います」

――13年前の公演では薮さんの所属するジャニーズ事務所の方が多く出演されていましたが、どのような思い出がありますか?

「前回は本編の後にショータイムがあったんですよ。そこで自分の曲を歌ったり、植草(克秀)さんと少年隊の『君だけに』を歌ったりしました。いま振り返ると、作品を目当てに来てくださったお客様はびっくりしただろうなと思うのですが、実は僕は当時、これが当たり前だと思っていたんです。そこから作品をいくつか経験させていただいて、あれは当たり前ではないんだなと気付きました(笑)。そこはおもしろい思い出ですね」

――薮さんはミュージカルのどこに魅力を感じていらっしゃいますか?

「メロディに乗せることで言葉がより引き立つところです。喋っているだけだと入ってこない言葉も、音楽になると印象として残ることも多いですよね。それがミュージカルの魅力なのかなと思います。僕自身にとっては、稽古期間中と公演期間中に規則正しい生活になるのも魅力です。毎日自分の体調を気にして、朝起きた瞬間に声を出して、『今日はこういうコンディションなのか』と確認して。違和感があったら本番までの数時間でできることを考えて。そういう作業をずっと毎日繰り返すので、健康になる感じがします(笑)」

――最後に読者の方にコメントをお願いします

「出演者はみなさん個性が際立った方ばかりで、僕もみなさんがどんなお芝居をされるのか楽しみにしています。登場するキャラクターはきっとどの人物も愛せると思いますので、観に来てくださる方は『この人好きだな』というキャラクターを見つけていただけたらうれしいです」

取材・文/中川實穗