ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』取材会レポート

「チャーリーとチョコレート工場」「ダンボ」などの監督を務める巨匠、ティム・バートンが手掛けた映画『ビッグ・フィッシュ』(2003年公開)。2017年にミュージカルとして日本初演の幕を開けたこの作品が今秋、新たなバージョンとして再演される。

先日開催された本作の取材会にて、出演者の川平慈英、浦井健治、霧矢大夢、夢咲ねね、そして演出の白井晃が登壇し、初演時のエピソードや再演への想いを語った。初演時はアンサンブル含め22人で上演したこのミュージカルだが、今回の再演では新たに『12 chairs version』として、12人編成の作品に生まれ変わる。新バージョンでの再演について演出の白井は「12人でこの作品を全部やりきる。その分、濃縮されています。空間も(前回の日生劇場からシアタークリエに移って)少し小ぶりになりましたが、シンプルにしようとは全然思っていません。初演の雰囲気を踏襲しつつ、あの空間をできるだけ凝縮した形で再現したいと思っています」と力強くコメント。メインキャスト全員が変わらず続投することでも話題の本作。ブルーム家の大黒柱・エドワードを演じる川平は、「またツラい日々が続くぞ、と(笑)。それでも最後のシーンでは毎回、生きる力を頂いていました。エドワードとしては天に召されるけど、人間・川平慈英としてはすごく祝福されているような感覚です。それを思い出すと、また嬉しいモメントが与えられたというポジティブな面もあります。生きる喜びをお客様と一緒に経験できたら嬉しいです」と前向きな意気込みを語った。エドワードの息子・ウィルを演じる浦井は、「メインキャスト全員が変わらないというのもかなり珍しい形。それだけ皆が大好きな作品なんだなと改めて思いました。前回公演を観に来て下さった演劇界の先輩方も「最高だった、いい作品だったよ」って目頭を熱くしておっしゃって下さった作品だったので、今回再演できることを本当に嬉しく思います」と再演への喜びを語る。また浦井が「本当の父親みたい」と慕うエドワード役・川平との新曲が1曲増えることも明らかにし、「心して頑張りたい」とコメントした。エドワードを献身的に支える妻・サンドラを演じるのは、初演の千秋楽後には「『ビッグ・フィッシュ』ロスが続いた」と言う霧矢大夢。前回公演について、「舞台上でハッと危ういことがあっても、慈英さんが『絶対大丈夫』という眼差しで見て下さったので、夫婦の支え合いみたいなものが自然に生まれました」と語り、川平との役を超越した強い信頼関係を見せた。浦井演じるウィルの妻・ジョセフィーン役の夢咲ねねは、「前回公演ではたくさんの事を学ばせて頂いて、出演している側なのに、最後には毎回心打たれていました。プレッシャーもありますが、またブルーム家のご家族にお邪魔できるのをすごく楽しみにしています」とコメント。また、夫役の浦井が「(夢咲さんは)グミを与えるとすごく笑顔になってくれるので、稽古場ではよくグミを持参していました」と微笑ましいエピソードを語り、会場を和ませた。「川平さんの魅力は?」という記者からの問いかけがあると、「慈英さんの目を見るとダメだ、涙出ちゃうよ!って皆で言っていたんです」(浦井)、「エドワードは慈英さんしか考えられないくらいぴったり。演技してました!?(笑)」(霧矢)、「ハートフルでエネルギッシュだけど繊細な部分もあって、愛さずにはいられない方だと思います」(夢咲)、「すごくお茶目な人ですけど、人に対しての愛情がすごく濃い。慈英さんはこの作品をやるべき人だったんだなと思います」(白井)と、共演者・演出家から川平に対する絶賛の声が寄せられた。そんな座長・川平は体力的にもハードな本公演に備え、加圧トレーニングと高地トレーニングを始めたという。しかし最終的には「ファミリーのエネルギーが一番の栄養ですね」と話し、ブルーム家の絆・カンパニーのチームワークを強く感じさせた。最後に白井から「製作元の東宝さんの方から、『この作品は東宝の良心として再演をしなければならない』と言って頂けたんです。その道を模索した結果が今回の『12 chairs version』になります。主要キャスト12人が『ぜひとも』ということで集まって下さった、それだけ皆が愛している作品ですし、これをもっと多くの皆さんに届けられたらと思います」と締め、取材会は終了。取材会の中では、川平が「健ちゃん(浦井)は天然なところありますよね?開演前、楽屋に来て『慈英さーん!元気ですかー?!いぇーい!ばいばーい!』って(笑)。あれが心のウォーミングアップになるんです。すごくポップなエネルギーを頂いてから、僕は袖にスタンバイして。それが毎回嬉しくかった」と笑顔を見せ、会場の笑いを誘う場面も。 既に息ぴったりのキャストが2年4か月ぶりに挑むミュージカル『ビッグ・フィッシュ』。当たり前のようでいて見失いがちな、けれどきっと一番大切な、家族の絆を描いた感動の物語に期待が高まる。公演は11/1(金)開幕の東京・シアタークリエ公演を皮切りに、12月には愛知・刈谷市 総合文化センター アイリス、兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演される。

 

取材・文・撮影/ローソンチケット