『世界迷作劇場 2023~24』横山だいすけ×福尾誠インタビュー

写真左より 福尾誠・横山だいすけ

横山だいすけのライフワークともいえる『世界迷作劇場』が5月20日(土)の大阪・豊中市立文化芸術センターを皮切りに来年2月まで全国50か所で開催される。2017年に始まった『世界迷作劇場』は、NHK「おかあさんといっしょ」の第11代“歌のお兄さん”にして9年間という歴代最長在任記録を打ち立て、番組卒業後は、子ども向け番組やテレビドラマ、ミュージカルなどへ出演、声優、アーティストとして多方面で活躍する横山だいすけと、脚本・演出・振付の岸本功喜が、『親子が一緒に楽しめる、初めてのミュージカル体験にふさわしい作品をお届けしたい』という想いを込めて制作したファミリー向けのミュージカル。コロナ禍を経ての3年ぶりの全国ツアーとなる今回は、3月にNHK Eテレで放送されている幼児向け番組「おかあさんといっしょ」を卒業した第12代体操のお兄さん“まことお兄さん”こと福尾誠が横山だいすけと共にW主演を務めることでも注目を集めている。今回のミュージカルパートの名作は「アラビアンナイト」だという。果たしてどのようなものになるのだろうか。横山だいすけ、福尾誠の2人に話を聞いた。

 

――3年ぶりの「世界迷作劇場」ということでどんな内容か教えてください。

横山 “世界の名作”を面白おかしくちょっと不思議な内容に仕立てたというのが「世界迷作劇場」です。コロナ禍もあって子どもたちが生の音楽やダンスに触れる機会がすごく少なくなってしまったので、劇場に足を運んでもらってそこでしか味わうことのできないものを大切にしたいと強く感じています。この公演は0歳の赤ちゃんから大人まで、かつ大人だけでも大歓迎というコンセプトでやっていまして、上演中に赤ちゃんが泣いてしまったり、小さいお子さんが観劇することを気にされるお母さんが多くいらっしゃるかと思うのですが、それも演出の一つとして受け入れる態勢ができていますので、ぜひ気兼ねなく楽しんでいただきたいです。授乳スペースやおむつ交換スペース、ベビーカーを置くスペースもありますし、とにかく安心してご来場いただける場所にしたいと思います。それと、大人になったからちょっと行きづらいなという方もいらっしゃるんですが、全くそんなことは無くて、僕らが最初に「世界迷作劇場」を立ち上げたときは、ちょっと古いですけど“ドリフ”みたいな、みんながこの場所に集まって笑いあえる空間を作りたいということを目指して始めたんですよ。ですので大人だけでもぜひ観に来ていただきたいです。


――福尾さんは今回初参加になります。

福尾 とにかく参加させていただくことに感謝しています。自分自身が子どもたちに向けて何か楽しいものを作っていきたいという気持ちがあったので、だいすけお兄さんと一緒にこれまでの作品以上に楽しい作品になったらいいなと思います。


――普段も“だいすけお兄さん“と呼んでいるんですか?

福尾 普段は“だいすけさん” 笑

横山 “だいすけさん”と“まこ” 笑


――お二人にとっての「世界迷作劇場」の魅力を教えてください。

横山 ファミリーミュージカルコンサートとしてミュージカルパートとレビューショーパートの2部構成になっていて、ミュージカルパートは小さなお子さまから大人の方まで楽しめる本格的なミュージカルになっているので、ご家族一緒になって楽しめるということが最大の魅力なんだと思います。子どもに連れられて観に来たけど大人もすごく楽しめましたという感想がとても多いのでご自身も楽しむんだという気持ちで来ていただけると一層楽しめると思います。レビューショーは僕らのほかにも色々な分野で活躍されている方が歌やダンスを一緒にやります。そのパートでは、まこと君の、これまでの体操のイメージとは異なる新たな一面を観ていただくことができるのではと僕も期待していますのでぜひチェックしてください。

福尾 僕もだいすけさんもTV番組の映像の中で発信してきたので、お客様の目の前で歌って踊る姿を観ていただけることは大きな魅力だと思います。迷作なので物語の中身は本物とちがうのかもしれないですけど、そこから本当の物語を知っていただく機会にもなると思います。


――だいすけお兄さんにとってまことお兄さんはどういったパートナーでしょう?初対面の印象などはいかがでしたか?

横山 僕とまこと君が初めて一緒に会ったのが「おかあさんといっしょ」の60周年記念コンサートの時で、そこで何でもない話からコンサートの中身の話までいろいろなことを話す中でとても親近感を抱いたんです。それ以来プライベートでの付き合いもあるんですけど、何て言うか、変に先輩後輩という気を遣わないというか、後輩からは遣うかもしれないんですけど、その点気兼ねなく一緒に過ごせるということが彼の魅力的なところだと思います。同じ仕事でも代が被っていないので、最初は少し気を遣うところがあるのかな、と思っていたんですけど一切なかったですね。


――初めての後輩世代にあたるんですよね。

横山 本当に僕が被っていない代だとそうですね。今回一緒にツアーをまわるということは、仕事のパートナーとして作品づくりをする上でプライベートでも言い合える仲なので、親子で来て想い出になるものをどうやって届けるか意見を出し合えればと思います。


――まことお兄さんはいかがでしたか?

福尾 初対面の印象は優しいです。何度も何度も何度も言うんですけどとにかく優しいです。


――どんなときに感じましたか?

福尾 ずっと気にかけてくれるところが優しさだと。僕は気を遣いますけど 笑

横山 おーい 笑

福尾 嘘です 笑。そういう話ができるところがだいすけお兄さんの優しさだと思います。

 


――今回がミュージカル初挑戦ですが何かアドバイスはありましたか?

福尾 ミュージカル初挑戦もそうなんですけど、一度「おかあさんといっしょ」の60周年記念コンサートでご一緒させていただいた時に、声の出し方だったりアドバイスをもらいました。

横山 いま思い出した!苦手な箇所があったんだよ。

福尾 伝わらないんですよ。僕がしゃべっても。セリフがたたないというか、声がこもってしまって。やっぱりこういう声の出し方をした方がいいよというアドバイスをいただいて。今回の公演でも言われたことをきちんとやって、皆さんに声を届けられるように頑張ります。

横山 本当に舞台経験がないところから始まって、「おかあさんといっしょ」の60周年記念コンサートのときはまだ経験を培っていく最中で。大丈夫かなー、あー、いやいやいや、あー、ナイスナイスナイス、とか 笑。子どもたちに思いを届けるために、ここはもっとこうしてみたらという話をしましたが、4年が経って回を重ねるごとに魅力的になっていく姿を一視聴者として応援していましたし、卒業して新しい一歩を踏み出した“New(ニュー)まことお兄さん”と一緒にできるのを楽しみにしています。

福尾 “ニュことお兄さん”ですか 笑

横山 ニュことお兄さん・・・、ニュことお兄さん・・・、言いづらい 笑


――今回は「アラビアンナイト」がテーマですが。

横山 「アラビアンナイト」を題材にするという話は3年前の迷作劇場で発表していたんです。最初は「アラジン」と「シンドバットの冒険」って似ているよね、どちらの方が分かりやすいかな、という話もしていたんですけど、まこと君が加わることになって、演出家が僕たち二人の良さを引き立てるために一つの物語に「アラジン」と「シンドバット」を入れ込むことになったんです。


――撮影されたビジュアルもお似合いですね。

福尾 もう完全にアラジンでしたね 笑

横山 完全にアラジン!まだ写真を撮っただけなのに 笑

福尾 衣裳を着てアラジンという人生を僕が演じるんだと実感しました。


――踊りまくるということでよろしいですか?

福尾 それは本番を楽しみにしていてください。

 


――お客様と一緒につくる作品ということですが会場毎に変わっていくようなことはありますか。

横山 その土地その土地でいうと、例えば北の方は客席が静かだよとか、大阪は盛り上がるよとかはよく聞く話ではあるんですけど、ずっと全国ツアーをやってきて感じたことは、意外と近くの場所でも盛り上がりがちがったり、その年によってもちがったりするんです。いまこの瞬間だからこの空気を味わえるということがあるので、全国50か所をまわるという機会はなかなか無いですし、毎週末にいろんな場所に行ってお客様と作品を一緒に作っていくのは楽しみです。過去にも場所は覚えていないのですが、お客様がすごく盛り上がって、普段はそんなに拍手をもらうシーンでないところでも拍手してくれたことがあったんです。僕らは拍手や笑ってくれたりというお客様のリアクションにすごく影響されるというか、気持ちが乗ってきますし、リアクションがあるとお客様の方を1回感じて作品に戻って行ったり、感情のキャッチボールのようなものがあるんです。そこに作品が成長する瞬間があって、今回はこんな反応があったから、次はこうしてみようとか、本番後に演出家がブラッシュアップしてくれるので回を重ねる中でどんどん成長していけるんじゃないかと思います。もしチャンスがあればツアーが始まったタイミングと終わるタイミングで2回観ていただくと全然ちがう、作品の中身を変えるということではないんですけど、空気が変わるということを体感していただくことができるのではと思います。

福尾 50回観てもいいですか?

横山 50回観たらもうすごいから!この場所はこういう反応があったとか。拍手の間とかも場所によって全然ちがったりするんですよね。拍手が起きているときとそうでないとき、ちがうところで拍手が起こったり。


――まことお兄さんは楽しみにされていることはありますか?

福尾 50か所まわれるので、1年後には僕の身体は各地の名産品でできていると思いますのでそれが楽しみです 笑


――最後に公演を楽しみにされているお客様にメッセージをお願いします。

福尾 子どもから大人まで幅広く楽しめる作品になっていますので、お子さんが小さいから連れていっていいのかな?とかは気にしないで、どんな方でも全力で楽しんでいただけたらいいなと思います。

横山 子どもと一緒にいられる時間は人生でみたときにそんなに長くはないんですよね。だから子どもと一緒にどういう思い出を作るのかを考えているご家族の皆さまがいらっしゃいましたら、ぜひご家族で来ていただいて、それが何十年後かには本当に素敵な思い出になっていると思いますし、素敵な場所になるように僕らも稽古をしていますので、ぜひ一緒に思い出を作りたいと思います。迷作劇場でお会いしましょう!

 

取材・文・写真/ローチケ演劇部