浪漫活劇『るろうに剣心』 早霧せいな インタビュー

シリーズ累計発行部数6000万部を超える大ヒットとなった人気コミック「るろうに剣心」。1996年にアニメ化、2012年、2014年に実写映画化、2016年には宝塚歌劇団が初めて舞台化し大成功をおさめた。そして、今秋ミュージカル界を牽引する小池修一郎が再び脚本・演出を手掛け、浪漫活劇『るろうに剣心』として新橋演舞場と大阪松竹座で上演される。主人公・緋村剣心を演じるのは早霧せいな。宝塚歌劇団公演で演じた役に再び挑む早霧に現在の心境を語ってもらった。

 

――最初にこのお話をきかれたとき、どう思いましたか

早霧「退団したあとに男役をするとは想像していませんでした。“男役”というのは宝塚の現役生のものという思いがあったので、最初は抵抗がありました。ですが、小池先生が再び「るろうに剣心」の演出・脚本を手掛けるのであれば、他の人が剣心を演じるのは見たくないと思い、自分がやると決心しました」

 

――やると決めるまで悩みましたか

早霧
「かなり悩みました。体力的にもハードな作品で、宝塚で演じた際も体力的に苦しかったものを、退団した今の自分に出来るのか想像すると、簡単に「やります!」とは言えませんでした。ただし最後は、他の人がやるんだったら自分がやりたいという思いが勝ち、決心しました」

 

――小池先生からはどのように出演を依頼されたのですか

早霧「小池先生はズルいですよね(笑)まだ剣心をやると決めていないのに「他のキャラクターは誰がいいか?」と相談のようにおっしゃるので。すでに公演会場が決まっていたのですが、小池先生ご自身が新しい取り組みをされたいとおっしゃっていて、そんな風に口説かれると、新橋演舞場や松竹座の舞台に立っている自分の姿を想像してしまうんですよね。客席には赤提灯が並んでいて、雰囲気が和モノにぴったりな劇場なので、そこで「るろうに剣心」をやったら、お客様はまた違った感覚で観ることができるんだろうなと思いました。想像を膨らませていると、そこに立つ自分の姿も想像できて、是非やってみたいと思いました」

 

――宝塚時代の中で「るろうに剣心」はどんな作品でしたか

早霧
「とても話題性のある作品で、宝塚を観たことがない方や原作ファンの方もたくさん観に来てくださったという手ごたえを感じた作品でした。トップとして、舞台を観たことがない方々に1度でも生の舞台を観ていただきたいという思いもあったので、多くの反響があったのはとても嬉しかったです。原作から抜け出てきたようなものを目指していたので、原作ファンの方々にも認めていただけたことが嬉しくて、やってよかったなと思いました。苦労もありましたが、そこも楽しみながらできたので良かったなと思います」

 

――宝塚時代の「るろうに剣心」で一番好きだったシーンは何ですか

早霧「自分自身のナンバーでは「不殺(ころさず)の誓い」。十字傷を負った過去について歌うナンバーです。あと、最後の加納惣三郎との一騎打ち。宝塚時代、加納惣三郎役の望海風斗くん(現宝塚歌劇団雪組トップスター)と毎日ひたすら稽古をしていたのを今でも鮮明に覚えています。今回は加納惣三郎が松岡充さんで、相手が男性になり、どのような振りになるかまだ分かりませんが、今回も見せ場の1つとして頑張りたいです」

 

――一度剣心を演じた上で、今回どんな役作りをしていきたいですか

早霧「一度演じているという経験は大きいかと思いますが、過去と比べるのではなく、新しいキャストの皆さんと新鮮な気持ちで取り組んでいきたいと思います。(ビジュアルポスターを見ながら)ビジュアルに関しては、宝塚メイクよりも薄くなって、以前よりも男っぽくなっちゃった!とビックリしたんですけど (笑)そのあたりも楽しみつつ、宝塚時代より日々の時間に余裕を持って過ごせている今、視野も広がっていて、余力を残しながら剣心に向きあっていきたいです。立ち回りは、小道具とはいえ刃物を持って舞台に立つので、緊張感があります。気を引き締めて、男性に負けない迫力で頑張りたいです」

 

――退団後、体力づくりのために始めたことはありますか

早霧
「宝塚時代は体を動かすといえばダンスだったのですが、ダンスだけでは物足りなくなったので、海や湖を訪れたり、登山やボルダリングをしたり、1からバレエをはじめてみたり、アクティブなことを幅広くやっています。それが体力アップになっているかは分かりませんが、全身運動を楽しんでやっています」

 

――最後に、意気込みをお聞かせください

早霧「『絶対観に行きたい』という声をたくさんいただいています。昔一緒にやっていた雪組の仲間も応援してくれて、とても心強いですし、その仲間に恥じないように演じたいです。小池先生が花道を使うとおっしゃっていたのですが、宝塚は横の花道で、今回は縦になりますのでそこも楽しみです。きっと必要以上に見栄を切りたくなると思います(笑)新しいキャストの皆さんと、新たな『るろうに剣心』を創り上げていきたいと思います」

 

浪漫活劇『るろうに剣心』は、10/11(木)から11/7(水)まで東京・新橋演舞場にて、11/15(木)から11/24(土)まで大阪松竹座にて上演される。

 

文/ローソンチケット