日本初演!ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』開幕までの道 第4弾!

キャスト12人がカナダ大使館に集結!笑いと涙に溢れた製作発表会見をレポート!

ミュージカル界のトップスターばかりが12人も集まった、なんともゴージャスなミュージカル『カム フロム アウェイ』。本格的な稽古も始まり、3月7日(木)の開幕に向け着々と準備が進行中の1月末、都内のカナダ大使館内のホールにて製作発表記者会見が行われた。『カム フロム アウェイ』の物語の舞台となるのが、カナダ北東部ニューファンドランド島にあるガンダーという小さな町であること、そして今年がカナダと日本の国交95周年にあたることからカナダ大使館が今作を後援することとなり、この珍しい場所での会見が実現したのだ。安蘭けい、石川禅、浦井健治、加藤和樹、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、田代万里生、橋本さとし、濱田めぐみ、森公美子、柚希礼音、吉原光夫という12人のキャストは、お揃いのカンパニーオリジナルのパーカーやトレーナーを着用して、登場!厳正なる抽選で選ばれた30人のオーディエンス、そして大勢集まったマスコミの記者やカメラマンたちを前に、作品への想い、現在のアツい稽古場の様子などを笑いと涙を交えつつ、語ってくれた。

まずはカナダ大使館を代表し、首席公使のデボラ・ポール氏の挨拶からスタート。
「『カム フロム アウェイ』はカナダの魅力をとても強く描き出している作品です。2001年9月11日に同時多発テロ事件が発生した際、たくさんの飛行機がアメリカの領空を飛べなくなったために多くの人々が、このミュージカルの舞台となるカナダのニューファンドランド島にある小さな町ガンダーの空港に降り立ちました。その時に実際に乗客たちに向けられた、町の人々の深い思いやりや優しさがこの作品では細やかに描かれています。2024年は、カナダと日本の修好95周年という記念の年です。日加の友好関係の基礎となっているのは人と人の絆です。このミュージカルの心温まるストーリーを通じて、多くの方がカナダについてもっと知り、コミュニティや思いやり、そして人と人がつながることで生まれる癒しの力の大切さを感じてくださることを願っています」

続いて主催者代表として株式会社ホリプロ代表取締役社長、菅井敦氏からも大使館へのお礼と共に作品への想いが語られた。
「日本とカナダの国交開始95周年という記念すべき年に、この作品を上演するということで多大なご協力をいただきましたカナダ大使館の皆様にまずは御礼を申し上げます。ありがとうございます。本作は9.11の事件の裏で起きた実話を元にした大ヒットミュージカルの日本初演となります。ここには、思いもよらない大事件が発生した時に人々が人種や国境、言語、宗教など様々なハードルを乗り越え、お互いが相手の立場を思いやって助けあって未曽有の緊急事態を乗り越えていく様が描かれています。まさにウクライナやイスラエルでは戦争が続いており、日本においても能登で大地震が起きた今こそ、上演する意義のある大変素晴らしい作品だと思っております。そしてこの作品は、たった12名のキャストが100分間ノンストップで演じ切るという、とてもパワフルで、観る人の魂を揺さぶる作品でもあります。キャストも素晴らしい方々ばかりで、他の作品に申し訳ないと思うくらいの日本を代表するミュージカル界のトップスターのみなさんにお集まりいただきました。このメンバーをもう一度集めて再演するとなるといつのことになるか本当にわかりませんので、ぜひこの機会をお見逃しなく、一人でも多くの方に見ていただけたらと思います」

さらに、作品の舞台となるカナダのニューファンドランド島という土地や住民たちについて、カナダ観光局日本地区代表の半藤将代氏が劇中のシーンにもつながるエピソードも含めつつ、紹介してくれた。
「北米大陸の東端、ニューファンドランド島にはとても豊かな自然と、ユニークな文化があります。氷河に削られてできた地形が地球の歴史を感じさせるような独特の景観を作り出しており、世界遺産であるクロスモーン国立公園には太古の地層がむき出しになっていたり、地上に露出したマントルがあったりしますし、春になると沖にはゆっくりと巨大な氷山が流れてきます。ニューファンドランドの人々はとても温かくて陽気で、ジョークが大好きです。400年以上前からタラ漁を行ってきたため、生活の糧だったタラを愛し、感謝する気持ちからタラにキスをするという遊びが生まれました。タラにキスをした旅人を温かく仲間に迎えてくれる儀式というか習わしも残っています。皆様もぜひ一度、現地を訪れていただき、愉快で優しいニューファンドランドの人たちとの交流を楽しんでいただけたら幸いです」

そして、いよいよキャスト12名がステージ上に登壇!各自の主なコメントは以下の通り。

安蘭けい
「まずは、こうしてカナダ大使館という場所で製作発表会見ができることをとても嬉しく思っています。普通はなかなか入れないところなので厳粛な気持ちで今取り組んでいますけれども、みなさまは緊張なさらずにリラックスしてお聴きください(笑)。この『カム フロム アウェイ』は、私はニューヨークで観てとても感動し、日本で上演できる機会があればぜひ出させていただきたいと思っていましたので、こうして出演できることになり本当にありがたいです。今回、私はダイアンというテキサス出身の女性と、他にもニューファンドランド島の住民を演じるのですが、それぞれの役柄の違いを出したいと思い、たとえば声を変えたりしながらいろいろ挑戦しているところです。とはいえ、そこでやり過ぎてしまうと本筋からそれてしまいますから、そこは気を付けないといけないなと思っています(笑)」

石川禅
「仕事一筋のイギリス人、ニック役は安蘭さん演じるダイアンと共にロマンス担当なんですが、それ以外に島民のダンという役もやっておりまして、こちらは動物愛護協会で動物を愛する女性、シルビアさん演じるボニーの尻に敷かれている旦那になります。舞台は大変シンプルで13脚の椅子と3卓のテーブルがあり、場面転換でこれらを移動させるのはすべて役者がやることになっているんです。この椅子がひとつひとつが違うデザインで、それはまるで国籍の違う人たちが同じ飛行機に乗り合わせたように人種の違いを表しているようでもあり、またここにいる12名の個性豊かなキャストを表しているようでもあります。そしてこれらの椅子が2列で斜めに舞台に並べられた瞬間、そこに飛行機のキャビンが出現するわけです。これは素晴らしい魔術です、想像力です。今はまだ私たちはこの椅子を動かすのに四苦八苦、七転八倒している最中ですが、初日にはしっかりと一機の旅客機を舞台上に作り上げ、無事テイクオフしていくことをみなさんどうぞ祈ってください!」 

浦井健治
「ケビンTはロサンゼルスの環境エネルギー会社の経営者であり、田代万里生くん演じるケビンJとは恋人関係にある役柄です。今回はいろいろな意味でお稽古場がとても豊か。個性も豊かなら差し入れの種類も豊かで、毎日競い合うかのようにみんな何かしら美味しいものを差し入れてくれるんです。要するにそうやって互いに支え合っているくらい、7時間、8時間のハードなお稽古が毎日続いているということです。ブロードウェイ、さらには世界各国で上演され続けている作品を日本キャストで初めてやらせていただくわけで、つまりステージングが全部出来上がっているんですね。それをレプリカ的にやりつつも、同時に我々の個性というものも尊重しながら作っているところです。こういう演劇は、人生と同じように一歩一歩の積み重ねや試行錯誤することが豊かさにつながりますし、ただ答えを出すだけではなくその過程、時間そのものが尊いなと感じます。この12人にスタンドバイキャストの4人を加えた16人で今、一緒に稽古できていることがとても幸せだなと思っております」

加藤和樹
「メインの役柄としては筋金入りのニューヨーカーであるボブを演じていますが、稽古場でのエピソードといっても僕の場合はまだ稽古に合流して間もないもので……、みなさん早く仲間に入れてください(笑)。とにかく、このキャストは第一線で活躍している方々ばかりなのでやはりひとりひとりのエネルギーがものすごくて。これがひとつに合わさった時に一体どのくらいのパワーになってしまうんだろうと、日々感じているところです。また、ひとりが笑い出すとみんな笑うんですよ。その笑いのエネルギーもすごいんです。この笑い、果たしていつ止むんだろう?って思うくらいに(笑)。この日本を代表するようなみんなの力がいい感じに伝播して、もともと作品の持っている力と相乗効果となってとんでもない爆発力を生み出すのではないかと思っています」

咲妃みゆ
「地元テレビ局の新人レポーターであるジャニスを、メインの役柄として演じます。私は2001年当時、小学生でした。その時、事件をニュースで知って抱いたショックを今でも鮮明に覚えています。その、悲しみ一色だと思っていた事件の傍でこんなに温かみあふれる物語が実際に起こっていたことを知り、この作品に関わらせていただくことで、より一層感動が増しているところです。この大きな悲しみ、憎しみを生み出してしまったのは人なのですが、でもその苦しみを解きほぐしたのもまさしく人であった、というのがこの物語の注目すべきポイントです。たくさんの方が傷つき、ショックを受け戸惑っている一方で、さらに大勢の町の人たちが寝る間を惜しんで手を差し伸べてくれていました。ぜひ、遠い国で起こった出来事というのではなく、どの国もどの場所もニューファンドランド島になり得るんだということにも想いを馳せながら、この作品をご覧いただけたらなと思っています」

シルビア・グラブ
「ガンダー地区の動物愛護協会会長、ボニーを演じます。私もトウコさん(安蘭)と同じく、この作品をブロードウェイで前知識なく観ていまして。足を踏み鳴らす音が地響きとなって心臓の鼓動を高め、オープニングの曲からものすごくワクワクしました。途中まで楽しい作品だなと思っていたんですが、内容が深く伝わって来た瞬間、ドーン!と胸に来て、泣いてしまいました。この題材をこんなにも愛のある舞台にしていることに感動して、もし日本で上演することがあったら絶対私も参加したいと思っていたので、お話をいただいた時には即「やるやるやる!」ってお返事したくらいです(笑)。ニューファンドランド島の人たちが力を合わせて“カム フロム アウェイズ”、遠くから来た人たちに手を差し伸べていたように、私たちキャストも舞台上でお互いに手を差し伸べて助け合って乗り切りたいと思っています。みなさまも、この100分の舞台をぜひ楽しんでください」

田代万里生
「浦井さん演じるケビンTの恋人であるケビンJ、そしてイスラム系のアリという役などを演じますが、僕の役に限らず、この物語に登場するほとんどの役が今も実在している方々をモデルにしているんです。9.11の事件は僕も学生の頃に経験しましたが、きっとお客様も遠い記憶ではなく今もはっきりと覚えていらっしゃる方が多いんじゃないでしょうか。演出補のダニエルさんがおっしゃっていたのが、この作品は9.11の話ではなく9.12の話、つまり復興につながる作品だということでした。僕らも全員で初めて全幕を本読みをした後で語り合った時、みんなすぐ思い浮かべたのが9.11のことももちろんなんですが、3.11の東北の地震であったり、つい先日起きた能登の地震や直後の飛行機事故のことで。そういったところからどうやって立ち上がればいいのか、それをどうやって支えようか、ということをみんなですごく考えました。きっとこの舞台は、僕らもガンダーの人々のようになれるんだという気持ちにさせてくれる作品になるはずです。ぜひ劇場で、この日本初演を見届けていただきたいなと思います」

橋本さとし
「ガンダーの町長であるクロードを演じます。稽古が大変だ、なんてあまり言いたくはないんですが……めっちゃ大変です(笑)。稽古場に入った初日から既にセットが組まれていまして、まるで満天の星空のような“バミリ”(立ち位置や道具を置く場所を示す目印)がいっぱい貼られていたので、その量に一瞬ちょっと引いてしまいました。でも、ここには信頼のおけるさまざまなキャリアを積んできたミュージカル界、演劇界の超人たちがいますのでね。とはいえ、こんな超人たちと一緒にやれるのかと思っていたら、意外とみんなも自分と同じようにパニクってたりするので内心ちょっと安心もしていますが。だけど僕は町長役ですから町のリーダーのはずなんですが、僕自身はまったくもってリーダーシップを取れる人間ではないので。ひたすら稽古を途中で止めたりはしないようにと、もし台詞が飛んでも何とか近いことを言っておこうと努めているんですが、つい突拍子もないことを言ってはみなさんに笑い飛ばしてもらっています。そうやって恥をかきながらも、日々精進しながら精度を上げていってる最中です。まだまだコンポツな店長……じゃなくて、ポンコツな町長ではありますが(笑)、みんなと一緒に素敵なガンダーの町を表現できたらなと思っています!」

濱田めぐみ
「私が演じるビバリーは、アメリカン・エアラインズ初の女性パイロットの役で、物語の中での役割的には場面場面でちょっと緊張感を持って切り込んでいくような、ポイントになる役でもあります。飛行機内のシーンでは席に座っているみなさんに機長として情報を伝達したり、状況をお客さんに説明したりしなければいけないのですが。もう私の年代的にはいろいろなカンパニーに参加するたび、一番上だったりすることが多くなってきているんですけれども、ここではたくさんの先輩方がいらっしゃって。またこの先輩方がみなさんなかなか可愛らしく(笑)、個性豊かでしっかりとした芯のあるとびきりの役者さんだらけなんです。このカンパニーに入れて幸せだなってしみじみ思いつつも、この人たちを機長として自分がまとめるんだなあと遠目で眺めたりもしています。本番までにはまだ少し時間がありますので、我々はさまざまなポンコツを乗り越え(笑)、いろいろなことを必死に覚え、演出を身体にしっかりと取り込みながらいい初日を迎えたいと思っています」

森公美子
「私が演じるのはマンハッタンで働く消防士の母親である、ハンナです。ハンナも最初はまさか息子が巻き込まれたとは思っていないわけなのですが……って、ハンナのことを考えるたびにどうしても泣きそうになっちゃって……(と、森はハンナの話になるたびに涙、涙)。だけど私、ハンナ役のほかにも光夫くんとニューファンドランドのバスの運転手をやったり、島の住民の役を演じることにもなっているんですが、稽古の途中でまたハンナに戻ったりすると、今、私は誰なんだっけ?ここはどこなんだっけ?となってしまうんですよね。名前も役名だとわからなくなるから、さとしが~とか光夫が~って言いながら稽古を進めています(笑)。カンパニーの人たちも、これだけ個性が強くてみんな主役ばかりやっている人たちが集まっているのでもしかしたら稽古になったら多少ギクシャクするのかもなと思っていたら、本当にものすごく楽しい稽古場で。昨日、私はおにぎりを差し入れしましたが、その前の日はトウコさん(安蘭)がハンバーガーを差し入れてくれてね。大変な稽古だろうからきっと痩せられるなと予想していたのに、なぜかどんどん太っていくのがちょっと気になっている今日この頃です(笑)」

柚希礼音
「ビューラというコミュニティセンターの会長を演じていますが、いかにもニューファンドランドの地元のおばちゃんという役です(笑)。私が地元代表として、こんなすごいメンバーを仕切ったりすることができるのだろうかと思うといまだにドキドキです。でも本当にみなさんが、ちえちゃん(柚希)にはこういう面があるから大丈夫だよといろいろな場面で教えてくださり支えてくださるおかげで、一歩一歩進めています。ビューラにも消防士の息子がいるので、それでハンナの気持ちがよくわかって。この出会いをきっかけにその後もずっと続く友情が生まれる一方で、どうしても最初のうちはイスラムの方に対して偏見を持ってしまっているところがあったりするんです。だけど確かに9.11は人が起こしてしまった事件なんですけれども、それでも人が人を癒していくんですよね。昨日もう一度この作品のベースにもなったドキュメンタリー番組を見返していたら、最後に町長さんが人の優しさはどんな悲劇をも乗り越えるとおっしゃっていました。全てを癒すことはできないのかもしれないけれど、やはり人の優しさで救われるところは必ずあります。その気持ちを大切にしながら、演じていきたいと思っています」

吉原光夫
「メインの役柄としては、ガンダー警察署の巡査オズを演じます。実を言うと製作発表会見って嫌いなんですけど……こんなに素敵なカナダ大使館のホールでやれるなんて思っていなかったので、初めて製作発表に出て良かったと思っています。ありがとうございます(笑)。クミさん(森)が言っていた「私は誰、私は今どこにいるの」という状態は、稽古場で本当に起きています。それは笑い話ですけど、この作品の意図でもあるんですよ、「私はここにいます、あなたはここにいます」ということは。テロや地震が起きることで、たとえば自分の居場所がなくなったように感じたり、自分が誰かわからなくなることってあるし。でもガンダーの人たちは無条件でその思いを引き受け、寄り添ってくれる。我々も今、居場所を失っているなと思うんです。SNSで誰か攻撃したり、学校でいじめがあったりして、居場所、表現がちょっとずつ失われている。この作品はそういう時に手を差し伸べて寄り添うか、それとも攻撃するか、あなたはどっちをチョイスするの?と聞きながら、だけど居場所は必ずあるよと言っている気がするんです。今はまだテンパっていることもある稽古場ですが、初日には安定してフライトできていますのでみなさん一度乗っていただき、そしていろいろなことがおかしくなってきているこの世の中でも無条件に“愛”とか“そばに寄り添う”とか“誰かを助ける”ということをチョイスすることを想ってみてもらいたい。それを今回、本当に愛あるメンバーでやっているんですよね。最初は合わないかもと思っていたけど(笑)、でもマジで最高のメンバーでやれていると思っています。しかもそれをお祭りごととしてではなく、このみんなで必死に命を削って作っていますので、ぜひ楽しみにしていてください!」

締めくくりは町長役の橋本を真ん中に、全員揃って舞台上でジャンプ!まさにニューファンドランド島の人々と同じように和気藹々と息の合った、カンパニーの温かい空気感が自然と伝わる会見だった。

取材・文:田中里津子

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