ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー』│安蘭けい&濱田めぐみ インタビュー

新しい「ビリー・エリオット」で、新しい自分に出会える

ミュージカル『ビリー・エリオット』が上演される。ビリーを導くバレエ教師のウィルキンソン先生を演じる安蘭けいと濱田めぐみに話を聞いた。安蘭は2度目、濱田は初めての参加となる。

新たな4人のビリーとの出会いから2024年版がスタート。

安蘭 可愛くて仕方ない。一生懸命やってる姿に大人たちみんなメロメロです。

濱田 彼らの純粋な頑張りを見てしまうとたまらないです。

2020年上演時にはその演技で読売演劇大賞女優賞を受賞するなど賞賛された安蘭。どのように作り上げたのだろうか。

安蘭 子供の頃や宝塚時代に見てきた、厳しいながらも愛情がたっぷりなウィルキンソン先生みたいな先生方を思い浮かべて役づくりしました。彼女は夢半ばでバレリーナになれなかった。例えば宝塚を一緒に受験して入れなかった友達のこと、得たいものが得られなかった気持ち、夢を叶えられなかった気持ちを想像して役作りしました。自分の中にやさぐれ感もあるから無理せずできたのかも。

2005年ロンドンのトライアウト公演を観劇している濱田。どんなウィルキンソン先生を考えているのか。

濱田 衝撃的な作品でした。当時観た、擦れたやさぐれ感の匂いみたいなものが、瞳子ちゃん(安蘭)のウィルキンソン先生にあったんです。私はウィルキンソン先生と根幹が真逆なものばかりで、その魅力を出せるのかなと思ったんですが、オーディションを受けたときに、全然違うタイプのウィルキンソンを求められているのだなと感じ少し安心しました。

今作ならではの魅力を2人はどう考えているのか。

安蘭 どの世代も共感できる。子供たちはビリーに憧れ、青年は炭鉱で働いている人達の熱い感じ、大人になったら自分の人生が見えてきて朽ちていくだろう切なさが、お父さんたちやウィルキンソン先生にも表れている。

濱田 子供達の頑張りやダンスが第一の魅力であることはもちろんですが、この作品の魅力を考えたときに、生きていくことへの葛藤を出演者全員がものすごい量抱えていて、心の中に闇や傷を持っていたりする人達だからこそ、お客様が共感しやすいのだと思います。

エルトン・ジョン作曲の音楽も魅力のひとつだ。

安蘭 登場シーンやバレエ教室は楽しく、ビリーのお母さんと一緒に歌う手紙のシーンはメロディーラインが自然で感情に優しく浸透していく。子供達が歌う『Electricity』『Angry Dance』などは爆発力があって本当にすごい。

濱田 メロディーと歌のギャップがなく、自然と音楽の中に入り込むことができます。オーディションのときに、『ビブラートを使わないで歌ってみて。彼女の心をメロディーと音で全部表現しているから』という言葉をもらいました。

安蘭 リアルな話なので、変に演じようとしたら嘘っぽくなることを恐れているかも。

最後に楽しみにしている方にメッセージをもらった。

安蘭 また本当に全然違う『ビリー・エリオット』が生まれるので、日本初演みたいな感じで観に来てほしい。子供の成長を楽しみに来てほしいです。

濱田 観終わったときに絶対に魔法がかかります。舞台上からの爆発的なエネルギーを受け取ったときに、今まで気がつかなかった自分の感情が浄化され新しい自分に出会えると思うので、ぜひ生で舞台を観てほしいです。

インタビュー&文・岩村美佳

※構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載

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【プロフィール】

安蘭けい
■アラン ケイ
宝塚歌劇団退団後も女優として舞台を中心に活動。近作はミュージカル「ラグタイム」、ミュージカル「カムフロムアウェイ」など。

濱田めぐみ
■ハマダ メグミ
数多くのミュージカル作品に出演。近作はミュージカル『ジョン&ジェン』、ミュージカル『カム フロム アウェイ』など。