「Theatre Polyphonic 第7回公演 ミュージカル『翼の創世記』Genesis of Wings」の上演が決定した。
Theatre Polyphonic とは、石丸さち子の個人のプロデュースによる、現代作家から古典まで、ストレートプレイからオリジナルミュージカルまで、幅広く作品を創り出している団体。
今回は石丸さち子企画・脚本・作詞・演出の新作オリジナルミュージカルを上演する。音楽は様々なアーティストへの楽曲提供、ディズニー100 周年記念作品「ウィッシュ」日本語吹き替え版の音楽演出、石丸とは 2017・19 年『ボクが死んだ日はハレ』、2019 年『BACKBEAT』など一緒に作品を作り上げてきた森大輔が作曲、演奏する。
1903 年に世界初の動力有人飛行を成し遂げたライト兄弟とその妹の 3 名の物語。
登場人物はたった三人。
兄ウィルバー・ライト:上口耕平/上川一哉/鈴木勝吾/百名ヒロキ
弟オーヴィル・ライト:工藤広夢/鈴木勝吾/DION (鈴木勝吾は 2 役演じる)
2 人の妹キャサリン・ライト:門田奈菜/福室莉音/山﨑玲奈
をそれぞれ演じる。
今年初め、この作品のためのオーディションも実施。石丸と今まで作品を創り上げてきた俳優陣に新しくオーディションで選ばれた俳優も加わり、いずれも実力を備えた顔ぶれをみると、100 席ほどの劇場という限られた空間の中でどう化学反応をしてくのか楽しみだ。
キャストの組み合わせなど詳細は 8 月に公開されるという。
石丸さち子 メッセージ
ずっと、ずっと、ライト兄弟のことが気になっていました。
1903 年に成し遂げた世界初の動力有人飛行という夢の産物は、1911 年に開戦した第一次世界大戦で偵察機として、やがて爆撃機として、急速な進化を遂げました。
夢を叶える長い時間と、夢が消えていく短い時間に、漢然と興味を持っていたのです。
ふとしたことで、弟オーヴィル・ライトのインタビュー記事を読んだ時、その興味は「これを舞台作品に、ミュージカルにしたい」という強い思いに変わりました。
兄ウィルバーを早くに亡くし、飛行業界を退き、二つの世界大戦を見届けた後でも、彼は、「飛行機は平和に貢献する機械」だと語っていたのです。
このインタビューの向こうにある、彼の本意を知りたいと強く願い、わたしは、アメリカに飛んでライト兄弟に出会う旅をし、未翻訳の資料を集めました。
ライト兄弟は生涯牧師の息子として生きました。
どんなに目標に追われていても、安息日は仕事を休み、どんなに大切な展覧飛行を控えていても飛びませんでした。
彼らは、一人でいる時でも、自分たちの仕事を”I”ではなく”WE”で語りました。二人だから成し遂げられた夢。その兄弟愛と絆は、類を見ない程深いものでした。
そして、小さな街に開いた自転車屋の稼ぎだけで、歴史を動かす発明をした彼らの成功譚は夢と創意、喜びと輝きに溢れ、その後の権利を巡る徒労と絶望は、想像を超えて苛酷でした。
妹キャサリンは、非常に進歩的な女性でしたが、巨大な兄二人を支える人生に徹しました。
この光と影を、史実に基づいた大胆なフィクションとして、音楽家森大輔さんとミュージカル化します。
登場人物はたった三人。
兄を、上口さん、上川さん、百名さんが。
弟を、工藤さん、DION さんが。鈴木さんは、兄と弟両役を。
妹は、門田さん、福喜さん、山﨑さんが演じます。
スタッフも、俳優も、挑戦ばかりの新作ミュージカル。
小さな劇場からの初飛行に、皆様のご搭乗をお待ちしております。