Musical shoW「WE ARE MUSIC」vol.1│東啓介&加藤大悟 インタビュー

ワタナベエンターテインメント所属の俳優 東啓介、愛加あゆ、豊原江理佳、斎藤瑠希、加藤大悟が一堂に会し、「Musical shoW『WE ARE MUSIC』vol.1」が開催される。初日は全員が出演してさまざまなコラボレーションが、2日目は東啓介のソロコンサート、3日目は加藤大悟のソロコンサートと、3日間それぞれ異なるコンセプトとなる。各回、ゆかりのあるゲストも出演する。東と加藤にどんなコンサートにしたいか話を聞いた。また、ほぼ初めましてのふたりが、音楽への熱い思いを語り合った。

多くの人に見ていただけるコンサートの一歩目に

――コンサート開催へのお気持ちをお聞かせください

 ワタナベエンターテインメントの俳優を中心に、ゲストをお呼びしてのコンサート開催になります。以前、D2 LIVEというのがありましたが、また事務所内で、一緒に協力して、皆さまに盛り上がっていただけるものを作っていけること、そしてその一員になれていることが嬉しいです。ミュージカル曲や邦楽など、いろんなものを歌って、皆さまと素敵な時間を過ごしたいです。同時にこの企画が広がって、より多くの方に見ていただけるコンサートの第一歩になったらいいなと思います。

加藤 大きな企画に参加させていただくことが光栄です。僕は元々名古屋を拠点に活動していたので、共演者の方々も、もちろんお名前は知っていましたが、初めてお会いする方ばかり。そんな先輩方と同じステージに立てることがとても嬉しいので、がむしゃらに進んでいきたいと思います。

――東さんは、これまでの作品などでは一番年下のことも多かったと思いますが、先輩ですね

 最近すごく後輩が増えてきていて、気付けば僕も28歳なんだと。後輩と関わるのはすごく楽しいですね。

――おふたりはどんな関係性ですか?

東・加藤 初めましてです。

加藤 でも、東さんは覚えていないと思いますが、1年半〜2年前に、稽古場でちょっとご挨拶させていただいたんです。今回改めてお会いしましたが、覚えられていなかったので、その時の僕の生きる力が足りなかったなと思います(笑)。

 あっ!思い出した!

加藤 急に!?

 先輩と一緒に来てくれたよね?

加藤 そうです!先輩に「いるよ」と教えてもらったんです。

 彼と会話してた印象が強かったので、ごめんな。

加藤 その時に「でかっ!」と思いました(笑)。身長が高いことはもちろん知っていたんですが、思ったよりでかかった。

 (笑)。

――コンサートへ向けて、どんな風にコミュニケーションを取っていきますか?

 事務所内で、男性でミュージカルや歌をやっている人は少ないので、一緒にできるのは素直に嬉しいですし、ミュージカルを知らないのも逆にいいことだと僕は思っていて。「こういう歌はこうやって歌わなければいけない、歴代の方々みたいな歌い方をしなければならない」ではなく、知らないからこその大悟なりの歌い方ができると思うんです。大悟を観てくれるお客さんにもミュージカルを知っていただいたり、僕のお客さんだったら「こういう子がいるんだ」と知ってもらったり、新しいことが生まれると思うので、一緒に歌うのもすごく楽しみです。

加藤 ザ・ミュージカルというか、僕以外の方々が本当にすごくて。東さんがおっしゃったように、僕なりの解釈で歌を皆さまにエンタメとして届けられたらと思いますし、ワタナベエンターテインメントのひとつの大きなプロジェクトとして動いている中で、異文化交流と言いますか、新鮮な気持ちで臨んで、一生懸命取り組みたいと思います。

――どのようなコンサートですか?

 皆さんがよく知っている曲を、ふたりで歌えたらと思っています。誰と何を歌うかなど、まだ具体的には決まっていませんが、上口耕平さん、森崎ウィンさんにゲストで出演していただくので、かなりバラエティ豊かになると思います。

――加藤さんは馴染みの方はいらっしゃいますか?

加藤 僕のコンサートの日は、矢田悠祐さんが出てくださいます。プライベートで1か月に1回は絶対会って、食事や飲みに行ったりゲームをするほど可愛がってもらっています。最初の舞台で矢田さんが歌っている姿を見て「うわ、格好いいな!」と思いました。経歴を拝見したらミュージカルの方で、やはりすごくて、矢田さんからいろいろと教えていただきました。今度は僕が矢田さんをゲストにお呼びするという形で、一緒にやれたらいいなと思いました。

――東さんのコンサートのゲストはどなたですか?

 遥海さんが来ます。英語の曲でもいいし、ディズニーの曲でもいいし。彼女は何でも歌えるので、一緒に楽しみたいなという気持ちです。昼公演は大悟が出てくれるよね。

加藤 すごく嬉しいです。3日間通して、僕の全力を皆さまにお見せしたいです。

コンサートのコンセプトは、東「Connecting Puzzles」加藤「A-Ways

――初日は特にデュエットが多いとのことですが、誰かと声を合わせるということに関してはいかがですか?

 混ざるというのは、言葉を選ばずに言ってしまえば、何かよく分からない興奮があります。「こうやって混ざるんだ!」とか、「今、めっちゃ波長が合ってる!」とか、誰と声を合わせても感じますが、大悟とだと、どんな感情が生まれるか楽しみですね。遥海さんとはインスタグラムでもすでに何度か一緒に歌っていて、めちゃくちゃ楽しいので。デュエットならではの感動があります。

加藤 僕はソロでアーティスト活動もしているので、ソロライブをしている時はコーラスで入ってくださる方と一緒に合わせることが多いのですが、ひとりで歌う良さはもちろんあるけれど、やっぱりコーラスが入ってくださった時の一体感というか、何かが合わさった時のハーモニーはすごく興奮します。その興奮は、僕たちの特権だなと思っています。

――加藤さんのライブの映像を少し拝見したのですが、すごく甘い歌声だな思いました

加藤 よく言われます。

 甘いのか(笑)。

――東さんの歌声は、コクがあるというか。コクと甘味が合わさるとどうなるのかなと妄想しています

東・加藤 カレーができそう(笑)。

加藤 ちょっといいルーにはちみつとりんごを足したような。

 そう考えると、どういう曲が合いそうとかが分かってくるかもしれませんね。

加藤 僕は基本バラードしか歌ってこなかったので。

 僕の時はバラードはやめよう(笑)。

加藤 東さんの時は1回ぶち壊して(笑)。

――声だけで聴く人をとろけさせられるおふたりなのかなと思います

加藤 本当ですか。

 ふたりでアカペラするか。

加藤 楽しそうですね。

 何でもできますからね。

加藤 しかもふたりとも長身なので、体の楽器として、よく響きやすいそうなんです。

 確かに。僕も声がでかいって言われる。

加藤 僕も言われるんです。身長が高いがゆえの何かができたらいいなと思います。

 確かに低い音だったり深みのある音は、合うふたりかもしれないね。

――それぞれのコンサートは、どんな思いで作られるか、改めてお聞かせください

 僕がライブを続けるにあたって、今後使っていきたいサブタイトルをずっと考えていたんですが、「Connecting Puzzles」に決まりました。何かを作るということはパズルのピースを集めていくようなものだと思っていて、観客の皆さんがいることによって、そのパズルの最後のピースが埋まったり、バンドも、スタッフさんも、いろいろなピースを集めた時にこのコンサートが完成する、という風にしたくて。内容自体はミュージカルと邦楽をメインに、これからチャレンジしたい役や、自分が歌い込んできたものなど、なじみのある曲を予定しています。

加藤 今回のコンサートは、自分が芸能生活を送る上でモットーにしている言葉をもじって、「A-Ways」としています。「ありがとう」の“A”、「道のり」の“Ways”、「いつもありがとう、と皆さんに伝える道のりでもありますよ」という意味で“A-Ways”。自分のライブパフォーマンスで皆さんを巻き込んで、一体感のあるライブコンサートにしたいなと思っています。ワタナベエンターテインメントのミュージカルショーということで、ゲストの方々をお招きして、ミュージカルの楽曲に僕もチャレンジさせていただいたり、自分の楽曲やソロ曲など、見ていて飽きないようなライブ構成にしたいです。

音楽は一生終わらない道のり

――ここからは、コンサートから広げて、音楽について色々伺えたらと思うのですが

 大悟はどういうきっかけで音楽を初めて、音楽を作るに至ったの?

加藤 僕はAAAの西島隆弘さんが大好きなんです。

 アマプラのドームツアー(『Nissy Entertainment 4th LIVE ~DOME TOUR~』)映像見た?あれやばいよね。

加藤 あれやばいっす。家でひとりで泣いてました。

 こだわりがすごいよね。

加藤 西島さんのアーティスティックさ、発想力、エンタメ力をすごく尊敬しています。昔から母のめちゃくちゃ上手い歌を聞いていて、母より歌が上手くなりたいなと思ったのがきっかけで、ひとりでカラオケに行ったりするようになって、スカウトしていただいてこの世界に入りました。当時は芸能界に入るという気持ちもなくて、でも芸能界に入るなら歌をやりたいなと思い、最初はボーイズグループから、舞台などもやらせていただきました。そこから、お芝居の入った歌がすごく素敵だなと思うようになりました。その経験を取り入れながら、ソロアーティスト活動では自分の曲などもできたらすごくいいなと思えたんです。ソロライブなどは、自分で構成を組んで、エピソードなども考えるようにしています。

 自分で作詞作曲したオリジナル曲もあるんだよね。作ったきっかけは何だったの?

加藤 音楽チームに「やってみたらいいんじゃない?」と言ってもらいました。ギターは少しやっていましたが、楽器も触れないのに、怖いじゃないですか。でも、いざやってみたらめちゃくちゃ楽しくて。例えば鼻歌で適当に歌った音階が音になって反映されたりして、クリエイティブなことをしているなと。

 僕もコロナ禍で初めて曲を作ったけど、すごく楽しい。でも、ピアノとギターは弾けるけど、どうやってドラムを入れるのかとか、ベースがどうなったら格好いいのかとか、コードもどうやったらおしゃれなのかとか曲を作る為に知らないことが沢山あって、考え始めたら、「やばい!何もできない!」って。

加藤 そうなんですよね。

 それも全部自由なんですよね。考えている時間はやっぱり楽しいですし、でき上がった時に自分の子供じゃないですが、「ひとつできたんだ」と。でも、自分の納得いくものをどうやって作っていけばいいんだろうと。自分の歌声についても、いろんな人の歌声を聴いて、こんな風に歌ってみたいなと思うこともあったり。ブロードウェイスターや海外アーティストの歌声を聴いて、「この人たちの声質はどうなっているんだ!?どうやったら出せるんだろう?」とか、一生終わらない道のりだなと思います。

加藤 めっちゃ分かります。

 でもそれが苦じゃなくて、楽しくて毎日やってしまう、日常のひとつみたいな感じです。

加藤 僕は韓国の方の歌い方が大好きで、よくYouTubeで聴いています。どんな声帯しているんだろうと自分で学び始めて、まず日本人と外国の方の発声方法が違うんだ、じゃあそのアプローチをどうしようとか考えているのがすごく幸せなので、めちゃくちゃ分かります。

 「とんちゃんの声はすごくスモーキーな感じだよね」と、(井上)芳雄さんにも言われたんですが、最近歌い方を意識的にスモーキーにしているんです。今まではもう少し軸があるという感じだったのですが、息の量を増やしたり、グルーヴがもっとある感じを目指してやっています。元々慣れていた歌い方を急に変えるというのは相当難しくて、高音なども急に出なかったり、裏返ってしまったり、これも一生考え続けると思います。

――役ではなく、自分自身として歌うのはいかがですか?

 最近、楽しいなと思いますね。ミュージカルの曲を歌っている時は、役にならなければ、その時の背景を考えなければと思うんですが、コンサートだからこそ自由に歌ってみようと。邦楽もアーティストの方の歌い方を、尊敬しているがゆえに追ってしまったりするのですが、そうじゃなくて自分の歌い方にしてみようかなとか、生バンドだしちょっとアレンジを変えてみようとか、音楽を楽しめている気がします。

加藤 役ではなく自分自身で歌うことが、僕の生きがいですね。お芝居での歌い方と全然違うじゃないですか。でも、お芝居で得たものを追加することで、また色が違ったいろいろなライブを作れると思うので、俳優の経験も歌にもいかしていきたいなと思います。

――ご自身の人生に加えて、役を生きることで、経験値が増えるようなことですか?

加藤 やっぱりその役ごとの感情の入れ方が違いますし、自分でそれを歌った時に、「この役はこんな風な感じで歌ってたな」みたいものを取り入れられたら、より幅が広がると思いますね。

 確かにそうだよね。

――コンサートでは、元の作品を重視して歌いますか?

 僕はあんまりとらわれすぎなくていいかなと思っています。その人たちの歌声の魅力だったり、例えば僕が森崎ウィンさんと歌うとして、この二人の○○という作品が見たいと思っていただけるような、そういう広がりのひとつになればいいかなと。楽器も作品の本番の構成とは違ってくるので、そのときに生まれる音楽そのものを楽しんでいく方向がいいなと思っています。ミュージカル作品や曲を知ってもらって、その音楽を一緒に楽しんでいただける場にしたいです。

――加藤さんはこの機会に東さんに聞いてみたいことはありますか?

加藤 ミュージカルの時と邦楽の時で歌い方が違うと思うんですが、喉が壊れませんか?

 慣れるよ。僕は喉を壊したことはなくて。でも、1日2公演、ミュージカルや邦楽を歌って、もちろん喉が疲れたなと感じるし、それをどうしたら楽に歌えるようになるかなと探してる。でも、いろんな人に聞いたら、筋トレみたいに、歌っていくしかないと。喉を壊して成功する場合もあるし、それで初めて、自分でやり方に気付いて、歌がどんどん伸びていくこともあるし、違う発声法を自分で編み出しちゃったとか。だから結局独学なのかなと思う。人によって使い方が違って、教えてもらうことは、もちろんひとつのヒントになるんだけど、自分に合わないことももちろんある。現場でやってみて、こうやって歌えばいいんだ、とやり方が見つかったりするので、歌い続けていればいいと思うよ。

加藤 ありがとうございます。頑張ります!

底知れぬ未知なるエネルギーに満ち溢れた空間になる

――お客様にお伝えしたいメッセージはありますか?

 ここでしか見られないコラボレーションが沢山あるので、ミュージカルも音楽も、いろんな意味で楽しむことを目的に、寒い時期ではありますが、ホットな気持ちになれるように頑張りたいです。ぜひ会場にお越しいただければと思います。

加藤 まず、本当に素敵な先輩方と共演させていただけることがすごく幸せですし、その中で自分という存在を皆さまに知っていただけたらと強く思います。東さんもおっしゃっていたように、いろいろな化学反応を起こしていけたらと。やっぱりひとつのエンタメを作るにあたって、素晴らしい方々が揃う、歌としてのエンタメにはすごくパワーがあると思います。何か底知れぬ未知なるエネルギーに満ち溢れた空間になると思いますので、ぜひ足を運んでいただければ嬉しいです。僕もそのエネルギーの一端をしっかり担いたいです。

――最後に2024年の抱負をお聞かせください

 多くの人に自分の歌やお芝居、映像作品などにも取り組み、よりマルチに、またいろんな方面に羽ばたけるような1年にしたいです。

加藤 僕は2023年の抱負で「大人の色気を目指す」という意味が分からない抱負を立ててしまい、出しゃばって失敗しました。やっぱり年相応のことをしないといけないですよね。2024年は「無邪気な心を忘れずに」です。無邪気な心で、がむしゃらに、ひたむきに、前を向いて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

インタビュー・文/岩村美佳
写真/ローチケ演劇部