風間俊介約3年ぶりの単独主演舞台『モンスター』大阪公演開幕

2024.12.02

撮影:河上 良


風間俊介約3年ぶりの単独主演舞台!日本初演となる衝撃作が開幕!!

11月30日(土)に大阪・松下IMPホールにて、風間俊介主演舞台『モンスター』が開幕しました。大阪公演を皮切りに、茨城・福岡・東京と巡演いたします。

『モンスター』は、家族から十分な愛情を受けられず社会に問題児として扱われる生徒と、かつての華やかな職場から 逃れ、自分自身も深い問題を抱える新人教師との対峙を軸に、大人の子育てと責任、未成年の反社会的な行動といった、 教育・家族関係を鋭く表現した物語です。本作の演出を手掛けるのは、国内外の骨太な戯曲の本質を浮き彫りにして見せると同時に、アングラから歌舞伎、そし てシェイクスピアまでジャンルを問わず様々な演目に挑み、観客の予想を裏切るポップかつダイナミックな演出が特徴 の演出家・杉原邦生。主役のトムを演じるのは風間俊介。心に深い闇を抱えながらも状況を変えたいと考えているトムが、教師としてダリルと対峙することで自分の問題とも向き合っていきます。共演は、トムと対峙する14歳のダリルに松岡広大、トムの妻でダリルに脅かされるジョディに笠松はる、ダリルの祖母リタを那須佐代子が演じ、濃密な4人芝居をお届けします。登場人物それぞれが抱える“苦悩=モンスター”は、現代社会が抱える問題でもあります。役者という鏡を通して観客も“モンスター”と向き合い、物語を追体験することでしょう。

 

コメント

演出・美術:杉原邦生
驚くべきことに、ダンカン・マクミランによる『モンスター』という作品をはじめて読んだときの印象と、約1ヶ月の稽古を経たいま見えているものの印象とがまったく異なっています。その大きな要因は、風間俊介さん、松岡広大さん、笠松はるさん、那須佐代子さんという優れた俳優の皆さん、翻訳の髙田曜子さん、音楽の原口沙輔さん、そして、強力なスタッフたちと共に稽古場で意見を交わし合い、試行錯誤を重ねた先に、この作品の〈あたたかさ〉を見つけることができたからだと思っています。この作品をお客様がどのように受け取ってくださるのか、これまで抱いたことのない不思議な期待感があります。どうか劇場で体感してください。ご来場お待ちしております!

トム役:風間俊介
稽古を重ねていく毎に、素晴らしい作品だと実感しています。2005年に書かれた戯曲ですが、その時代に芽吹いた問題が今の社会で表面化している。今、私たちが考えたい、向き合いたい課題に真っ向から挑んでる作品だと感じています。依然として、膨大なセリフ、幾重にも織り込まれたメッセージにのたうち回っていますが、答えが見つかるような問題を題材にしている舞台ではない以上、この時間自体が希望になる事を信じてのたうち回っています。僕が演じるトムは、社会の象徴だと感じています。観てくださる皆様がトムを通じて、この問題と対峙して頂けたら、これからの未来は変わるのではないか?そんな力を感じます。大阪公演が私たちにとっての初日となります。大阪の皆さんからエネルギーを頂き、これからこの作品を多くの人に届けたいと思います。

ダリル役:松岡広大
ダンカン・マクミランさんが書く戯曲の特徴を掴むのはとても大変で、今でもわかったとは言い切れませんが、大きな挑戦の機会を頂けていることに感謝しています。初日が開いてからも高みを目指していきたいので、手応えはきっと最後まで感じられないと思います。慢心せず臨みたいです。普通の教育、家庭、食事、など『普通』という言葉が多く出てくる作品です。その言葉を使ってあたかも自分だけは異常じゃないと主張する大人の登場人物は、一筋縄じゃいかない人間を表しています。普通を振りかざして自分は普通だと言い切ることはある種の暴力なのではないか、無意識で線引きを容易く行うのは残酷なことなんじゃないかと、様々な思考ができる作品は魅力的だと思います。物語を通して、自分や周りを知って見つめてもらえたら幸いです。 宜しくお願いいたします。

ジョディ役:笠松はる
いよいよ開幕。今はワクワクヒリヒリと痛痒い感覚です。地元大阪での開幕も大変嬉しいです。 初めてこの台本を読んだ時に見えた景色から、稽古中どんどん作品の読み方が変わっていきました。特に、稽古中盤に演出の杉原邦生さんが仰った今演出の方向性を示す言葉は、現代に生きる私自身の心にも沁み渡るようでした。以降ずっとその方向性を心に、ジョディとしての在り方を模索してきました。『モンスター』は言葉がはっきりと明示されていない分、演じるカンパニーの数だけ作品のメッセージがあるような不思議な戯曲です。そして、私はこのカンパニーで『モンスター』に参加できた事を誇りに思います。開幕までも、開幕してからも、また作品は変化していくと思います。 それは私たちが、生きる事や人と関わる意味を日々探すような、そんな気持ちに似ているかもしれません。日本初演です。ぜひ劇場でその日だけの『モンスター』をご体感ください。

リタ役:那須佐代子
稽古期間を振り返ると、濃密でシリアスなシーンの多い作品なのに稽古場の空気感が常に明るく健やかだった事が印象深いです。それは演出の杉原さんの俳優の意見を受け入れ共に考察しながら創作する姿勢と、共演の皆さんの素敵なお人柄によるところだと感じています。私が演じるリタという役は、一見クレイマーのような面倒な性格の人物に思えますが、彼女の抱えている状況が切迫しているからこその言動だと思っており、その状況が徐々に明らかになっていく様子を丁寧に演じられたらいいなと考えています。『モンスター』の魅力のひとつ、スピード感のある展開を、原口さんの音楽の力もお借りして見事に表現した舞台になっていると思います。多くの皆様のご来場を心よりお待ちしています!

 

[あらすじ]

ねえ聞いていい?
もしも、ある日目がさめて両足が吹っ飛んでたら、そしたらあんたはどうする?

教育現場で新たな人生を歩み出したトム(風間俊介)の目の前にいるのは、14歳の少年ダリル(松岡広大)。
何も恐れない、壊れてしまった少年に、大人は何ができるのか—
二人きりの教室で少年と向き合い続けるトム。
歴史は変えられなくても、より良い未来を作ることはできるかもしれない、
ひたすらにそれを信じて。これから生まれてくる自分自身の “小さなモンスター”のためのより良い未来を。
トムを心配するが故に苛立ちを募らせる婚約者のジョディ(笠松はる)。
失うことを恐れ何もできずに天使に縋るダリルの祖母リタ(那須佐代子)。
ある夜、トムの帰宅を一人待つジョディの前に、ダリルが現れる—

 

舞台写真

撮影:河上 良

撮影:河上 良

撮影:河上 良

撮影:河上 良

撮影:河上 良

撮影:河上 良

撮影:河上 良