歌手の吉幾三が、明治座での特別公演を2月に上演する。第一部では、東京・日本橋人形町を舞台にした人情喜劇を上演し、第二部では数々の名曲で織りなす歌とトークのステージを繰り広げる。果たしてどのような公演となるのか、話を聞いた。
――第一部の「人形町『末っ子(おとんぼ)物語』」では、吉さんが原案を手掛けられています。どのような思いで物語を描いていったのでしょうか?
今回のお芝居は、私が過去にやった作品を基にして改めて書いたものです。最近は“兄弟姉妹仲”とか“親想い”とか、そんなことが薄れて来たように感じられるんだけど、人形町にはご近所付き合いの大切さ、町内の人々の絆みたいなものが少なからずまだ残ってるような気がしていてね。そこを舞台に、物が何もかも揃ってるような裕福な家庭で育って来なかった私の子供時代の経験なども思い起こしたりしながら、書かせてもらいました。
――吉さんが演じられるのは、呉服屋の末っ子・四郎です。ポスターの少しおトボケなビジュアルも楽しいですが、どのような役どころなのでしょうか?
もう、見ての通りですよ(笑)。根は優しくて何事にも一生懸命なんだろうけど、何か抜けてるんでしょうねぇ…。そんな四郎を演じさせていただきます。
――キャストには、芳本美代子さん、江藤潤さん、前田耕陽さん、曽我廼家文童さんなど、多彩なみなさんが出演されます。共演のみなさんの印象をお聞かせください
みなさんしっかりとした役者さんなので、安心しているんですけども、中でも曽我廼家文童さんは今回初めてご一緒させていただくんですよ。稽古もまだなんで、先日のスチール撮影でちょっとご挨拶だけさせていただいたんですが、どこかでお見かけしたお顔だな…と思っていたら、大好きな松竹新喜劇に出られてた方なんですよね。あの曽我廼家文童さんか!って感じになりました。
――共演は初めてですが、以前から曽我廼家文童さんをご覧になっていたんですね
本当に松竹新喜劇が大好きなので、ビデオも何本か持っていて、昔は時間がある時にはよく観ていました。今回はお世話になります。
――人情味と笑いにあふれたお芝居になりそうで、楽しみです。第二部では歌とトークが繰り広げられますが、どのようなステージになるのでしょうか?
2月の公演ということで季節的なことも考え、第二部のSHOWタイトル副題を『冬から~春爛漫へ』と決めさせてもらいました。が、内容は現時点ではなぁ~んにも考えておりません!!本公演、稽古が始まる前に”充電”のため少しお休みをいただいてますので、そこでゆっくり、しっかり考えてみます。幕が開いてからのお楽しみということで!
――ゲストには先日、吉さんとのデュエットソング「似たもの父娘(おやこ)」をリリースした長女のKUさんも登場されるそうですね。歌手としてのKUさん、そして娘としてのKUさんの姿はいかがですか?
歌手としては…早く一人前になって私に楽させて欲しい!!なんて言うのは、冗談ですが…(笑)。でも、みなさんに知っていただいて、可愛がっていただけるようになってもらえたら。まだまだこれからですね。娘としては…よくしかられるんですよ。なんというか、嫁が2人いるみたいで…。
――きっと奥様に似たしっかりした娘さんなんですね。歌のゲストにはもうひとり、吉永加世子さんが出演されます。吉永さんは吉さんの楽曲「夜汽車」をカバーされていますね
加世子が“吉幾三の歌を唄い継ぐ”と、私が昔作って唄っていた歌を、改めて現代で唄って行くということで。加世子が唄うと驚かされる部分もありまして、「おぉ!こう唄ってきたな!」とか、思うんですよ。唄も上手くなって来ましたし、楽しみにしています。
――カバーによってまた別の良さが聴こえてくるんですね。楽しみです。明治座のステージには2022年の芸能生活50周年『吉幾三特別公演』、2024年の『吉幾三コンサート~時代(とき)を越えて~』と2度立たれていますが、劇場の印象はいかがですか?
楽屋から舞台袖に行くのに、いつも迷っちゃうんだよ。上手に行くのにも、下手に行くのにも…迷路みたい(笑)。連れて行ってもらわないと、舞台がどこにあるか分かんないんだよね。
――次の公演では慣れてきて、迷われなくなることを祈ります(笑)。最後に、吉さんの明治座公演を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします!
舞台は現代ですが、どこか懐かしさも感じられ…とにかく泪あり、笑いありの“吉幾三版下町人情喜劇“を潤色・演出の岡本先生はじめ、座組の皆さんと一緒に作り上げて行きたいと思っております。2月は7日(金)から、24日(月・休)まで!と長丁場の舞台ですが、私自身も大変楽しみにしております。寒さも日増しに厳しくなって来ましたが、皆様もお身体に気をつけて!2月明治座で、お待ちしております!
取材・文/宮崎新之