“今月の”優先順位高めです【2025年3月号】

2025.03.01

3月になりました。気候も随分と暖かくなってきたように感じます。そう、春です。暖かくなってきたので、アクティブに行動したいですね。そんな時は劇場にたくさん行きたいと思います。というわけで、今月の『優先順位高めです』です。よろしくどうぞ。

俳優・田代明の優先順位高め!

みなさんこんにちは、田代明です。
出会いと別れの時期、3月。
舞台は映像作品のように永遠に残るものではありません、始まりがあれば終わりがあるのが、舞台。
そんな刹那な体験を今月もどうぞ。

ミュージカル『ボニー&クライド』
私の周りでも作品ファンの多いボニクラ。2011年ブロードウェイにて上演、その後2022年のウエストエンド公演でブラッシュアップされ再演。今回はウエストエンドで行われた新演出版での上演となります。
実在したギャングカップルであるボニーとクライド。「アンチヒーローが必要な時代というのは社会に歪みがある時代。そういう意味では今の日本も世界的にもそういう時代。彼らに熱狂したのはなぜなのか、想像しながら作っていきたい」演出の瀬戸山美咲さんのお言葉は、よりこの作品を、今観たいという気持ちにさせてくれます。
世界を魅了した”犯罪者”のお話、ワイルドホーンが彩るジャジーでポップな楽曲にのせて東京・シアタークリエにて3月10日(月)から上演です。

シス・カンパニー公演「やなぎにツバメは」
キャスト様が…良すぎます…
そして脚本、横山拓也さん…
演出、寺十吾さん…
もう、これ以上文章書かなくていいんじゃないかと思ってしまいます…
シスカンパニーさん、TikTokInstagramでキャストの皆様のショート動画を投稿されているのですが、その動画からも皆さんの魅力がムンムン伝わってきます。
何気ない会話から浮かび上がる大人の事情、登場人物達の成長と葛藤を描いた物語。

ミュージカル『TARRYTOWN』
オフブロードウェイにて2017年初演、日本では2023年にリーディング公演として日本初演が行われました。
「狭い村での生活、そしてブロムとの生活に不満を持つカトリーナ、カトリーナとの結婚がうまくいっていないことに気付いているブロム、カトリーナとの友情、そしてブロムへの想いの狭間に揺れるイカボッド。三人の関係は楽しく軽快に、そして少しずつ霧深い森の中へと迷い込むように変化していく。(公式HPより)」
“大人”を生きようとすると、人はどうしても上手くいかない現実と直面しなければなりません。何かを変えたい、変わりたい、でも変わらない、変えられない…この作品の登場人物達も、今ある世界を必死で良くしようともがきます。
ピアノとヴィオラ、そして3名のキャストでお送りする、大人のミュージカル。
という事で、最後に紹介致しましたミュージカル『TARRYTOWN』田代も出演致します…!
山梨公演は3月8日(土)・3月9日(日)にYCC県民文化ホール、東京公演は3月15日(土)〜3月30日(日)に東京・浅草九劇にて!
毎公演後行われるアフタートークも本当に豪華なゲスト様達が来てくださいます!詳しくはsns等をご覧いただけると嬉しいです。
劇場でお待ちしてます!

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。
X(旧:Twitter):@akkarindays
公式Instagram:@akkarindays

俳優・東野良平の優先順位高め!

本日3月1日(土)は、本番の舞台に立っている予定。東野良平です。

はえぎわ25周年本公演『幸子というんだほんとはね』が本多劇場にて3月2日(日)まで公演中。
四半世紀演劇をつくり続ける劇団が放つ、渾身の“嘆きの喜劇”。
ぜひ劇場でご覧ください。

そして公演が終わっても3月は注目作品が目白押し!

サモ・アリナンズプロデュース第28弾『蹂躙さん』
まず3月の大本命といったらこの公演でしょう。
僕らの世代にとっては伝説の劇団“サモアリ”の最後の公演。
座長・小松和重さんのコメント。痺れる。“1mmも心に残らない演劇”よすぎる…!
小松さんをはじめ、荒川良々さん、平田敦子さん、久ヶ沢徹さん…ぎゅうぎゅうのスズナリで観る演劇怪獣たちの饗宴なんて、想像しただけで胸が昂る!
チケット即完でまだ予約できてないけど、何回だって当日券行列に並ぶ!絶対観る!

COCOON PRODUCTION 2025 Bunkamuraオフィシャルサプライヤースペシャル
『アンサンブルデイズ-彼らにも名前はある-』
松尾スズキさんが主任を務める若手俳優の養成機関「コクーン アクターズ スタジオ」。
第1期生の集大成となる発表公演は、松尾さんが書き下ろした新作ミュージカル。演出は杉原邦生さん、劇場はもちろんシアターコクーン。羨ましいなあ!
うちの劇団のスタッフを務めてくれたあのこや、高校生の頃から知っているあのこが学んでいます。
ほかにも何人か昨年お会いする機会がありましたが、みんなギラギラしてて、イイ。
“その他大勢”として括られるアンサンブル俳優を描くほろ苦い青春群像劇。真剣に、楽しみです。
 
南極ゴジラ第7回本公演『wowの熱』
“あたらしくはじまったゆかいな劇団”南極ゴジラの新宿シアタートップス進出公演。
とにかくビジュアルのお洒落さ・可愛らしさが抜群で、つくる演劇もポップ&キュートでダイナミック。
このキャッチーでワクワクする感じをメンバーみんなで手作りしてて思わず応援したくなる劇団です。
お笑い芸人の客演やアーティストによる生演奏など、カルチャーを縦横無尽に駆け回るエネルギッシュさも演劇本来の力を感じます。今回はオールメンバーのみの公演で劇団の魅力をガツンと味わえそう!
クリエイティブ&プレーヤー会社「株式会社南極」も設立し、なんだかますますおもろそうだぞっ!

桃尻犬企画公演「春のお花見桃祭り」
こちら東野が出演いたします。全5本の短編を3本ずつ上演する短編集祭り!
主宰・野田慈伸さんの戯曲は、人間関係の機微を掬いあげる繊細さと、ニンゲンの異常な生態をぶっ込んでくる突破力、どちらでも笑いをとれるのが魅力です。
例えば1月のテアトロコントで上演した短編『妹の彼氏』は物語の余白を客席に委ねるラストで「うわ!おもろ!かっこよ!」となりました。
総勢15名・小劇場のナイスプレーヤー勢揃い。はえぎわで共演している町田水城さん、柴田鷹雄さんの二人芝居もめちゃ楽しみです!

東野良平
俳優。劇団「地蔵中毒」所属。
★出演中→はえぎわ25周年本公演『幸子というんだほんとはね』2月26日(水)〜3月2日(日)@本多劇場
★次回出演→桃尻犬企画公演「春のお花見桃祭り」3月19日(水)〜3月23日(日)@ステージカフェ下北沢亭
X(旧:Twitter):@lycoris1210

俳優・佐久間麻由の優先順位高め!

3月。花粉はいかがですか?もうここ何年も花粉に悩まされる晩冬〜初夏を送っている私ですが、少し前に、清水みさとちゃんから「首の後ろに打つ注射がとっても効くらしい」という、有力情報であろう情報の手がかりを授かり、その後に出逢う人と花粉症の話題になるたび聞いて回っているのですが、手がかり以上の発展は無く…。こんなところですみません。誰かご存知でしたらぜひ、教えてください。代わりにはならないかと存じますが、3月の私的おすすめ演劇をここに記します。

サモ・アリナンズプロデュース第28弾『蹂躙さん』
待ってました!サモ・アリナンズ!7年振りの公演です!そして、最後の本公演とのことです。寂しすぎます…。ずっと観ていたい劇団なのに。でも〝本公演〟が〝最後〟なだけだよね、きっと。と、不確かな微かな希望をもち、「最後の本公演」をとても楽しみにしております!

南極ゴジラ第7回本公演『wowの熱』
今回もすてきな宣伝ビジュアル。グッズもすてき。株式会社南極を立ち上げ、脚本・演出のこんにち博士さんが劇作家を本職に生活をはじめ……。勢い止まらぬ南極ゴジラの最新作は、どうやら「ほんとうの平熱を取り戻す旅」のようで。〝おもしろう〟と思わせ続けてくれるの最高演劇集団。楽しみです!!

COCOON PRODUCTION 2025 Bunkamuraオフィシャルサプライヤースペシャル
『アンサンブルデイズ-彼らにも名前はある-』
松尾スズキさんが主任を務める演劇の学び場「コクーン アクターズ スタジオ」の発表公演!松尾さん書き下ろしの新作ミュージカル『アンサンブルデイズ―彼らにも名前はある―』を杉原邦生さんが演出。第1期生の発表公演というのも楽しみですが、松尾作品を観に行くたび、「わぁ、素敵な俳優さんが…」と、初めて拝見する俳優さんに出逢っては想いを寄せていた私としては、あらすじも楽しみで。久しぶりのシアターコクーンでの観劇も胸躍ります!

玉田企画「地図にない」
約2年半ぶりの新作公演!久しぶりの新作にもちろん胸躍るのですが、出演者にも胸踊るサンバです。玉田真也さんに加え、劇団普通の石黒麻衣さん、コンプソンズの金子鈴幸さん、、。こ、こ、これは、お稽古から覗き観したすぎます。楽しみですー!

他にも、テアトロコントspecial/ひくねとコントサークル主宰「わたくしチーズトーストをこぼさず食べれますっ!!」や、桃尻犬企画公演「春のお花見桃祭り」「関西演劇祭 in TOKYO」のつぼみ大革命『DIVERSION』オーストラ・マコンドー『影のない女』も楽しみです!!

そして、私ごとで恐縮ですが、きださおりさん×ホリプロステージが送る、イマーシブ演劇『RE:PLAY AFTER SCHOOL』に出演します。ずっと興味があったイマーシブ演劇へ初参加。ご来場くださる皆さんをオープンアフタースクールに訪れる参加者としてお迎えし、皆さんには、美術部・ロック部・生徒会・クイズ部の4つの中から選んでいただいた部活体験や学校案内を楽しんでいただきます。ご参加いただくコースによって体験できる内容が変わり、きっと受け取る物語も変わります。これってなんだか人生みたいだなぁとふと思いまして。やがて人生に成る日々を、今創ってるんだな、私は、と思いながら、お稽古を重ねております。本物の学校を舞台に紡がれるその瞬間限りの物語、ご興味ありましたら、ぜひ。

以上、3月の私的おすすめ演劇でした。もうすぐ別れと出逢いの季節ですね。新芽の芽吹きに希望を込めて、皆さまに良い春が訪れますように。……ヘックシッ。

佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。次回出演作品→イマーシブ演劇『RE:PLAY AFTER SCHOOL』 3月27日(木)〜3月30日(日)  @千代田中学校・高等学校(令和7年4月より当名称に学校名を変更予定)
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
Instagram:@mayusakuma221
Lit.Link:https://lit.link/mayu221
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
最近、自分は睡眠時間が8時間半必要なことを知りました。平均睡眠時間は6時間です。さて、残り2時間半をどう捻出しようか。
てなてなことで、3月の優先順位高めな作品はこちら!!

タンツマインツ『PROMISE』
世田谷パブリックシアター主催公演の本作。前情報ゼロだったのですが、折り込みチラシで何度も何度も出会い、これは運命だ思い、チケット購入しました。ドイツのコンテンポラリーダンスカンパニー「タンツマインツ」が振付家シャロン・エイアルとコラボし、初来日とのことで、何か新しいものと出会えそうな気配が物凄くしてます。当日券も出るそうなので是非!

『三月大歌舞伎』
情報が発表された時からずっと楽しみにしていました。今月の歌舞伎座は三大名作の一つ、『仮名手本忠臣蔵』が通し狂言で上演されます。通し狂言とは、頭からお尻まで上演される形式で、近年お送くの演目は部分的に切り抜いて上演されることがほとんどなので、とても珍しいのです。出演者もその配役も、とてもとても豪華なので是非この機会に歌舞伎座へ!

岡本昌也演劇作品キッズ・ノワール番外編「心臓グミ」
前回公演『仔犬たちの午後』を観に行ったのですが、それがとても面白くて、情報解禁されたのを観て、行きたいと思った本作。作・演出をシアタートラム・ネクストジェネレーションなどにも選出された経験を持つ岡本昌也さんが務められるのですが、まず脚本が面白い。映像的なエッセンスを加えながら、それを上手く演劇に消化している感じがしてて、社会問題を題材として扱っているけど、エンタメとして観れる。そんな魅力を感じます。本作は「放置子」を題材に扱っているとのことで、どんな世界が生み出されるの、とても楽しみです!

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!

ローソンチケット演劇部3月の定例報告会を行います。
我々、ローソンチケット演劇部が気になった演劇を報告し、少しでも学外の方に広めていけたらと思います。
では、以下活動報告。

排気口『金曜日から』
排気口最新作は、珠玉の再演。金曜日から。
もの寂しさが残る作品の中でも排気口随一。再演は再演の難しさがあると思います。まず一回見せた作品をもう一度やるというのがフェアではないですよね。そっちも見せてよと思います。是非。

猿博打『右往左往』
今回は、かわいいコンビニ店員飯田さんの池内さんの脚本どちらのファンも駆け込んでください。観たい時に演劇は観た方が良いから。一筋縄では行かないでしょうね。

桃尻犬企画公演「春のお花見桃祭り」
野田慈伸さんの短編集です。
楽しみ。2チーム制で、野田さんを味わい尽くしたい時は全通しましょう。

劇団武蔵野ハンバーグ『ユニバ行って歩いて帰ろ』
高橋さん率いる武蔵野ハンバーグ。すごいペースで演劇ずっとやっていて、まずそれがすごい。物価も上昇してるというのに。あと高橋さんは前に差し入れくれたので、好きです。頑張ってください。

オーストラ・マコンドー『影のない女』
前回出演いただいた清水さんの劇団さんです。すごいメンツで、楽しみです。Xで告知見てエレガント人生さんだ!と声出しました。家でなんで別に出してよかったんですが。それくらい驚きました。

玉田企画「地図にない」サモ・アリナンズプロデュース第28弾『蹂躙さん』
この二つも絶対に外せませんね?これ3月皆観たい芝居あったらお金払って観に行った方が良いですよ!

終わり!3月も目白押しですね!観たい芝居がたくさんある!
でも4月、5月も観たい芝居が目白押しだと思います!
困る!そしたら4月にまた!

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!

もう2月自分が何してたのかほぼ覚えていません。一度面白い演劇みて落ち込んだりしました。
消費できるコンテンツは相変わらず無限にあるけど、落ち込ませてくれるほどのものってあんまりなくて、それはそれで貴重な体験なのかなって思ったり思わなかったりしました。では3月の優先順位です。

ダダルズ『New me (^ ^)』
こんな表現してる人あんまりみたことないし、ただのファンです。一度は体験してみてほしいなと思います。タイトルにNewって書いてあるし新しい何かが出て来そうです。東京は2日間で2回しかやらないみたいですのでお見逃しないように。

お布団『XXXX(王国を脅かした悪霊の名前)』
すみません、まだ拝見したことないのですが評判はだいぶ響き渡っていて私の耳にも随分届いていて、観たいなってずっと思ってます。今回の原案はマクベスとのこと。団体名もタイトルも興味そそります。

エトエのミニ公演『忘れ物』
自分の公演で恐縮なのですが、ミニマムなサクッと観れる感じの公演をやります。1時間弱くらいの予定です。2,500円です。もしよかったら散歩がてら観に来てもらえたら嬉しいです。

桃尻犬企画公演「春のお花見桃祭り」
複数の短編を日替わりで上演するお祭り的な公演。役者陣が豪華でみなさんのお目当ての役者さんも一人はいらっしゃるのでは。短編なので気楽に観れそうなのもいいですね。

テアトロコントspecial/ひくねとコントサークル主宰「わたくしチーズトーストをこぼさず食べれますっ!!」
GAG好きなのにまだ観てないってよくないなと反省してます。脚本はGAG福井俊太郎さんですが演出はラブレターズの塚本直毅さん。今のコントの最前線が観れそうです。

菊池美里一人芝居『ベットタイム・ライフ』
私が初めて菊池さんを観たのはくによし組でした。この公演もくによし組の國吉さん脚本だそうで相性のよいタッグで期待しています。
まもなく春。花粉舞う季節。引っ越しシーズン。ぼくも引っ越しました。みなさんも今のうちに春を楽しむ準備ができたらいいですね。

滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
コントユニット「エトエ」主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

トーストだった朝食を年明けから納豆ご飯に変更したのですが(健康診断で引っかかったのです……)、その成果なのか何なのか、去年まであれほど酷かった花粉症が今年はほぼ出ていません。箱ティッシュを持ち歩いていたこともあったのが今年は薬すら飲まずに済んでいます。別人になってしまったのかしらん。この調子でやっていきたい3月。

優先順位高め1本目はお布団『XXXX(王国を脅かした悪霊の名前)』
古典の改作で現代を抉り出してきたお布団が今回取り組むのはあの『マクベス』。しかも人々が集まった館で死者の影や予言が飛び交い、渦巻く欲望と王殺しが展開する本格ミステリならぬ本格演劇(!?)としてそれが上演されるとあっては見逃すわけにはいかない。

2本目の文学座『リセット』(演出:西本由香)は20年の不在を経て母の前に突然再び現れた息子をめぐる物語。劇壇ガルバで上演された『鈍色の木馬』の評判を聞いて気になりつつ、これまでタイミングが合わず長編を観る機会を逃し続けてきた劇作家・山﨑元晴の新作ということで今回は万難を排して臨みたいところ。

3本目の劇団温泉ドラゴン第19回公演『痕、婚、』(作:原田ゆう、演出:シライケイタ)は2024年10月に戯曲のブラッシュアップのためのリーディング公演とディスカッションを実施した作品の本公演。私は残念ながらリーディング公演は見られなかったのだが、2023年の『悼、灯、斉藤』で実施した同様の取り組みは大きな成果を上げていたので今回も期待したい。関東大震災における朝鮮人虐殺に材を取った本作は、歴史修正主義が勢いを増し、自分とは異なる属性を持つ者へのヘイトがより高まりを見せる今、より一層見るべき作品でもあるだろう。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

3月、体も心も寒さから解放されて、ウキウキと劇場へ参りましょう♪

ミュージカル『昭和元禄落語心中』
2月28日(金)から上演中の山崎育三郎さん企画のミュージカル。雲田はるこの人気漫画『昭和元禄落語心中』が原作で、昭和初期の落語の世界を舞台に若き落語家たちの成長と葛藤を描いた物語。NHKでドラマ化もされた名作で、育三郎さんはドラマと同じく天才落語家・初太郎【助六】を演じます。同期入門の菊比呂【八雲】を演じる古川雄大さんとの共演も楽しみです。

ミュージカル『イリュージョニスト』
2021年1月に、コロナ禍のため僅か5公演のコンサートバージョンで上演されて、フルバージョンでの公演を観たいと思っていた作品です。主人公のイリュージョニスト・アイゼンハイムを演じる海宝直人さんはじめ、成河さん、濱田めぐみさん、愛希れいかさん、メインキャストが再結集しての嬉しい上演。19世紀ウィーンの退廃的な香りを漂わせる魅惑的な音楽、舞台上で巻き起こるイリュージョン、ハラハラする物語展開と驚愕の結末。見逃せません。

舞台「マスタークラス」
20世紀最高のソプラノ歌手マリア・カラスが、現役引退後に米ジュリアード音楽院で行ったマスタークラス(公開授業)の講義録をもとに、カラスの栄光と挫折の人生を描いた作品。1996年にブロードウェイで初演され、トニー賞・最優秀演劇作品賞を受賞した名作を望海風斗さんが主演します。日本の上演は、黒柳徹子さん主演で行われた1999年以来、26年ぶりになるそう。望海さん×森新太郎さんの演出でどう蘇るのか、期待が高まります。

今月のおススメ2.5次元舞台は、安定の人気作品2本。

ミュージカル『刀剣乱舞』~坂龍飛騰~
今年はミュージカル『刀剣乱舞』シリーズが上演されて十周年の記念イヤー。2.5次元を牽引し続ける刀剣男士たちの魅力は衰え知らずです。歴史上の人物として坂本龍馬が登場する今作でもドラマティックな物語が観られるはず。

MANKAI STAGE『A3!』ACT3! 2025
イケメン役者育成ゲーム『A3!』を原作とした舞台、MANKAI STAGE『A3!』シリーズは2018年から続く人気作。新作は、3月22日(土)~5月10日(土)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉でのロングラン公演です。原作ゲームのメインストーリー第三部の第9幕『失われたた日々を求めて』・第10幕『夢の跡』にあたる2作、第11幕『ACTING ON MY OWN』・第12幕『永遠の一瞬』にあたる2作が、前期(3月22日(土)~4月13日(日))と後期(4月18日(金)~5月10日(土))に分けて上演されます。楽しくて温かい気持ちになれる『エーステ』の世界観を味わってみてください。

井ノ口裕子
ライター。演劇の入り口は中学生のときの宝塚。それから演劇は一番の趣味。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも観ます。

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

ここ最近、お笑い界にもいろいろと騒がしい動きや変化がありますが、それでも変わらずライブは毎日行われ、たくさんのネタが生み出されています。演劇もそうですけど、作品の魅力に比してそれを知る人数があまりにも少ないことに、たまに気が遠くなります。

「ワラムゲ!」
3月はまずなによりも、東京・渋谷にあるヨシモト∞ホール(無限大ホール)に行くことをおすすめします。2006年、オリエンタルラジオの公開生放送番組のスタジオとして開館。以降、長らく吉本所属の若手芸人の拠点だったこの劇場は、20周年を目前に閉館が決まり、4月から「渋谷よしもと漫才劇場」に変わります。19年の間にもシステムはどんどん変わっていきましたし、劇場名が変わっても劇場自体も、ライブの内容もさほど変わらない可能性もあります。が、やはり「無限大ホール=東京吉本の若手が集う」という、お笑いファンがなんとなく共有していたひとつのカラーは終わりを迎えます。下旬にはこれまでのライブの再現などもありますが、ひとつ選ぶなら、やはり劇場の看板、毎日上演されているネタとコーナーライブ「ワラムゲ!」がおすすめです。

男性ブランコのみんなで豊岡!ライブ
兵庫県豊岡市。演劇ファンにとっては青年団の本拠地、豊岡演劇祭の場としておなじみのこの場所、男性ブランコ二人の出身地でもあります。昨年1月に開催されたこのライブ、とにかく参加した芸人さんたちがSNSにアップするようすが楽しそうで、気になっていました。大好評だったとのことで、第二弾。地元凱旋ライブがこうして街を盛り上げるの、すごくいいなと思います。そういえば平井さんは昨年、豊岡演劇祭で上演されたスリーピルバーグス『リバーサイド名球会』(配信で観ましたが超名作でした!)でも豊岡に。豊岡の演劇とお笑いをつなぐ存在ですね。

ほかにもダイヤモンドを解散したばかりの野澤輸出さん単独ライブ『お笑い漫才』、昨年のR-1グランプリチャンピオンである街裏ぴんくさんの『街裏ぴんくの新しい一日』も気になっています。演劇ではサモ・アリナンズプロデュース第28弾『蹂躙さん』玉田企画「地図にない」劇団武蔵野ハンバーグ『ユニバ行って歩いて帰ろ』などに注目しています。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

ライター・河野桃子の優先順位高め!

若手演出家コンクール2023年度最優秀賞受賞記念公演である、ILL TOKAI UNDERGROUNDの『そんなつもりじゃない』
東京・愛知で上演されます。コンクールでは『演出家コンクール最優秀賞受賞予定作品』を上演。観には行けなかったのですがその意欲的な作品の話題は耳に届いていて、「そんな作品を!?したの!?観たかったー!!」と声が出たほど。今作がどんな作品なのかものすごく気になります!(勝手にハードル置いてすみません)

mixiが誕生して20年がすぎ、Twitterが誕生してまもなく20年。SNS地獄にもがく人たちは増えるばかり。本谷有希子が書いた承認欲求をめぐる物語『セルフィの死』(2024)を一部原案としたひとり芝居『少し前から、何かがずっと震えていた。スマホの振動なのかもしれないし、私の身体がぶるぶるしているだけなのかもしれなかった。』は限定的なカフェ公演として上演されます。

さまざまに上演されている『ガラスの動物園』を滋企画で。演出がヌトミックの額田大志さんということに、「どうなるの!?」という予想のつかなさと安心感が混在します。滋企画のサイトには一番上に大きくどかーんと「大好きな仲間と、やりたいことをやる。しあわせな冒険です。」とあるのですが、こういう根源的ともいえるモチベーションが演劇への一番のラブレターかもしれないとも思います。小さな頃、ようちえんのおへやの片すみで友だちと本気のつもり遊びをした、夢かもしれない光景が鮮やかに色づくような。

ほかにも、こまつ座 第153回公演 「フロイス-その死、書き残さず-」では井上ひさし作品ではなく長田育恵さんの書下ろし上演という企画が楽しみです。

そして、お布団の公演は、なんでしょうね、わたしのなかのどこかに生息しているオタク心がお呼ばれしてみたら演劇にめった刺しにされて帰ってくるような感覚は。今回のお布団『XXXX(王国を脅かした悪霊の名前)』は原案『マクベス』だそうです。

最後に玉田企画「地図にない」、内容がまったく公開されていないにも関わらず着実に残席が減っていく気配から多くの期待を感じます。そしてその期待にわたしも「うん、そうですよね」と納得しているのです。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

今月楽しみにしているのは、ミュージカル『イリュージョニスト』です。
2021年にコンサートバージョンとしてわずか5公演のみ上演されましたが、満を持してのフルーバージョンでの上演となります。幸いにも、5回のうちの1回を観劇しましたが、ええ!?もう一回最初から観たい!!!と唸りました。フルバージョンでの上演はイリュージョンにも心奪われるステージになるようです。奇才トム・サザーランドの演出で、一筋縄なクリエーションのわけがない。ミュージカルには欠かせない音楽も魅力的。手練のキャストの皆様によるステージに期待しかありません。ちなみに、観劇後絶対に「もう一回最初から観たい」となるはずなので、お早めの観劇を全力でお薦めいたします!

そして、ミュージカル『ボニー&クライド』
世界恐慌下のアメリカ中西部で銀行強盗や殺人を繰り返した実在の人物、クライド・バロウとボニー・パーカーを題材に描いたミュージカル。2012年に日本で上演された時も観劇しましたが、2023年に宝塚歌劇団・雪組公演で久しぶりに観劇した時に、改めてこんなに魅力的な作品だったのかと驚きました。フランク・ワイルドホーンの多彩な音楽がクセになります。さらに、今回の上演発表を受けて、キャスティングにときめきました。柿澤勇人さんと矢崎広さんのクライドと、桜井玲香さんと海乃美月さんのボニー、さらに小西遼生さんのバック・バロウ。ボニー&クライドはもちろん、バロウ兄弟も見逃せません。

望海風斗さん主演、森新太郎さん演出で、26年ぶりに上演される舞台「マスタークラス」にも期待しています。取材を通して戯曲を拝見したりもしましたが、正直、これを演じられるのか、、、と驚きました。望海さんの圧巻のステージに打ちのめされる予感です。

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

最強寒波とか言われた2月が終わって3月です。ここから春ですね。やっぱり寒いよりは暖かい方がいい(個人の感想です)。そんなわたしの3月の「優先順位高めです」こちら!

まずは、桃尻犬企画公演「春のお花見桃祭り」
短編集です。全部で5本。テアトロコント等で良質な短編を披露してくれてる野田さん作品に、玉田真也さんの『披露宴』もラインナップにあります。5本全部観たい。つまりは最低2公演行きましょう!

そしてその玉田さんの玉田企画「地図にない」も優先順位高めでいきましょう。
劇作家・演出家としても活躍する、劇団普通の石黒さんとコンプソンズの金子さんが俳優として出演するのも大注目ですね。みんな行きましょう。

前回初めて観させてもらった、南極ゴジラの新作公演も今月です。
タイトルは、南極ゴジラ第7回本公演『wowの熱』。先日稽古場にも少しお邪魔したのですが、勢いとタレント集団みたいなカッコよさを感じました。ぜひ行きましょう。

あと、本谷有希子さん久々の舞台とか、ひくねとコントサークル、お布団とかを観たいと思っています。