「毛皮のマリー」美輪明宏 インタビュー

寺山修司が美輪に捧げた伝説の舞台がよみがえる!

 

美輪明宏が演出・美術・主演を務める『毛皮のマリー』が3年ぶりに上演される。寺山修司が美輪のために書き上げた伝説的名作で、美輪が演じるのは美貌の男娼マリーだ。

美輪「マリーと養子の美少年・欣也との親子の愛憎を描いた物語は、実は寺山さんの私小説なんです。お母様のはつさんは、寺山さんを溺愛していました。あまりの愛情の激しさに、周囲の人たちは恐れていたんですけれど、私には優しかったんです。なぜですかとお聞きしたら、自分を綺麗に演じてくれるからだと(笑)おっしゃっていました」

 

詩人、劇作家、小説家、映画監督など数々の肩書を持っていた寺山は、1967年に演劇実験室◎天井桟敷を旗揚げ。アングラ演劇の一大ブームを巻き起こした。

美輪「寺山さんの作品は洗練されていて、ヨーロッパ風の感じがしますが、演じるとなるとバケモノのように厄介なんです。新派や新劇、デカダンスといったすべての要素が入っていますから。そもそもアングラと言っても今はピンとこない方が多いでしょう。今回は麿赤兒さんが下男・醜女のマリー、若松武史さんが美少女・紋白という当たり役で揃って出てくださいますので、とても心強いです」

 

マリー役に臨むにあたっては「1940年代のフランス映画や田中絹代さんがやられた母親像などの雰囲気をミックスしています」とも。美少年役は毎回オーディションで選んでいる。

美輪「今回は最後の最後にふさわしい人に出会いました。華奢で綺麗な少年というよりも、丈夫そうなんだけれど、えくぼのある可愛い感じの方ですね」

 

同じくオーディションで選んだ男優たちが半裸に近い姿で繰り広げるラインダンスなど、頽廃美あふれるゴージャスな演劇の世界は、一度観たら忘れられない力を持っている。

美輪「最近、私のコンサートを聴きにいらっしゃる若い方たちが増えています。それはデジタルの世界にいながら、本能で危険を察知して、情緒を求めているからだと思うのです。LPレコードが再び人気を集めているのもその表れでしょう。『毛皮のマリー』は上演してほしいというリクエストが多く、今回やることにしました。若い方はもちろん、いろいろな方にぜひご覧いただきたいと思っています。」

 

インタビュー・文/宇田夏苗
Photo/御堂義乘

 

※構成/月刊ローチケ編集部 1月15日号より転載

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【プロフィール】
美輪明宏

■ミワ アキヒロ 長崎県出身。シンガーソングライターの元祖として「ヨイトマケの唄」など数々のヒット曲を生む。主な演劇作品に『愛の讃歌』、『黒蜥蜴』、著書に「紫の履歴書」、「人生ノート」など。